数が増えた借入先を一本化できれば、返済も楽になるうえ、利息の負担も軽くなるのでは?と考える人もいらっしゃるでしょう。
1 借金の一本化ができるおまとめローンとは
「おまとめローン」とは、消費者金融やクレジットカード会社など、借入先が複数ある場合に、借金をまとめて借入先を一社にして返済するサービスのことをいいます。
借入先が複数になると、返済日の管理などが煩わしくなったり、1社の返済額が少額でも合計の支払額は大きくなる場合もあるため、まとめた方がお得のようにも思えますが、本当にそうなのでしょうか?
(1)金利が下がり、月の返済が減らせる可能性がある
金利について定める利息制限法は、借入金額によって、利率の上限を定めていますが、おまとめローンは、利息制限法が定める上限利率よりも低い利率であることが多いといえます。
そのため、借金を一本化する前に支払っていた金利より、金利を抑えることができる可能性があります。
また、1社に返済を絞ることで最低返済額が下がり、月々の返済額を減らすことができます。
最低返済額は消費者金融やクレジットカード会社など各業者が設定している月の最低返済額です。
おまとめローンでは金利が下がるため、月々の最低返済額をその分減らせる可能性があります。
他にも、おまとめローンで返済期間を延ばすことで月々の返済額を減らすという方法もあります。
(2)返済期間が延び、支払総額が増える危険性
おまとめローンでは、月々の返済額を減らすことができる反面、返済期間が延びる傾向にあります。
返済期間を延ばすことで月々の返済額は減るのですが、代わりに、延ばした期間に対して金利が掛かってしまいます。
これは本来の計画通りに支払っていればなかったはずの期間となりますので、余分にお金を支払うことになります。
2 おまとめローンで借金問題は解決できるのか?
おまとめローンのメリット・デメリットを見てきましたが、これだけを見ると、月々の返済額を減らすことができるものの、返済期間が延び、支払い総額が増える可能性もあるため、おまとめローンを利用していいのかどうかよくわからないと思います。
おまとめローンで借金問題を解決するためには、おまとめローンを正しく利用することがポイントになります。
(1)おまとめローンをした場合の返済シミュレーション
先に見たように、おまとめローンでは、返済期間が延びてしまい、結果的に返済総額が増えてしまうという危険性があります。
そのため、完済時期についてしっかりと計画を立てて、月にどの程度の金額を返済していけばいいのかシミュレーションすることが非常に大切です。
返済シミュレーションをしておくことで、完済への道のりが分かるようになります。
月々の返済額、返済期間、元金、利息、支払い総額あたりは把握しておきましょう。
(2)返済が長期化するケースでの注意点
おまとめローンを利用すると、それまで複数あった借入先を一本化することになるため、おまとめローンを除き、他の借入先に対しては、借金を完済することになります。
ここで注意しなければならないのが、完済した借入先との関係では、再び借入れができる状態になっているということです。
おまとめローンは、複数の借入先に負っていた借金を一本化するだけあって、金額も高額になるため長期化する傾向にあります。この間に、完済した借入先から再度借金をするようなことはしてはなりません。
このようなことをしてしまうと、月々の返済額が増えてしまい、返済シミュレーションの通りに返済を続けていくことが困難になります。これでは、おまとめローンで借金を一本化した意味がなくなってしまいます。また、借入先の変更に伴い、返済方式が変わる可能性もがあることにも注意する必要があります。
一般的に多くとられている返済方式は、元金定額方式と元利定額方式です。
一方で、「元利定額方式」とは、元金の返済分と利息の返済分を足した毎月の返済額を、一定の金額に固定する返済方式のことをいいます。
おまとめローンにおいて、借入残高の多い初期段階で、元利定額方式により返済をしても、毎月の利息の返済分が高くなるため、元金がなかなか減りません。
その結果、返済が長期化することで利息分が大きくなり、返済総額が増える可能性があります。
3 もう一つの解決方法は「任意整理」
おまとめローンを利用した場合の返済シミュレーションの結果、この方法での解決に不安を覚えた方には、任意整理を検討することをお勧めします。
(1)任意整理とは?
「任意整理」とは、裁判所を通さずに、債権者と任意で交渉をする手続きのことをいい、交渉の中で、支払額や支払期間といった支払条件を決めていきます。
支払条件について、債権者と債務者の間で合意が成立すれば、あとは、合意した支払条件にしたがって、借金を返済していくことになります。
(2)任意整理のメリット
任意整理では、借金の元金を減額することは難しいといえますが、将来利息をカットしてもらえる可能性は高いです。
そのため、債権者との和解成立後は、金利をカットした状態で借金を返済していくことができ、利息に悩まされることもなくなります。
また、支払方法についても、基本的には、3~5年の長期で返済していくことが可能です。もちろん、この間も利息は一切かかりませんので、滞納することなくきちんと返済していくことにより、着実に借金を減らすことができます。
(3)任意整理のデメリット
任意整理では、先に見たように、借金を大幅に減額することは見込めません。そのため、任意整理により解決を図るにしても、安定した収入があることが必要になってきます。
また、任意整理をすると、信用情報機関に事故情報として登録されることになります。いわゆるブラックリストに載るとは、このことです。
■ブラックリストに載る期間は、完済後およそ5年間といわれています。
4 まとめ
おまとめローンは、借金を一本化することができ、返済日の管理等が楽になるというメリットがありますが、その反面、返済総額が増えてしまうという危険性もあります。
おまとめローンの利用を検討している方は、返済シミュレーションをするなどして、計画通りに返済していけるという確証を得ない限り、安易に利用するべきではありません。
借金問題は、おまとめローンのほかにも債務整理という方法で解決することが可能です。