債務整理の種類や意味とは?それぞれの流れややり方を解説!

債務整理

債務整理にはいくつかの種類があるため、どの種類の手続きを選べば良いのか、わからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか?自分が置かれている状況などに見合った方法を選択しないと、最悪の場合、債務整理を行う意味がなくなってしまいます。

そこで今回は、債務整理の種類とその意味について、それぞれの流れややり方にも触れながら、わかりやすく解説していきます。


1 債務整理とは?

「債務整理」とは、債権者との間で借金の減額や支払方法について交渉を行ったり、裁判所に支払いができない状態にあることを認めてもらうことにより、借金問題を解決することをいいます。

債務整理にはいくつかの種類があり、流れややり方もそれぞれで異なります。債務整理を効果的に行うためには、その種類や意味をきちんと理解したうえで、自分の状況に見合った整理方法を選ぶことが重要になってきます。
 

2 債務整理の種類と意味

「債務整理」には、大きく分けて4つの種類があり、いずれも債務者が抱える借金問題を解決することを目的としていますが、その意味には大きな違いがあります。

(1)任意整理

「任意整理」とは、債権者と債務者が、借金の減額やその支払方法などについて、直接に交渉を行う手続きをいいます。交渉の結果、支払額やその支払方法などについて、お互いが合意すれば、和解書を交わし、支払いをしていくことになります。

また、取引期間が長いような場合に過払い金が発生していることがあります。この場合には、過払い金の返還を請求することができます。

(2)特定調停

「特定調停」とは、債権者と債務者が借金の支払方法について話し合う調停手続きをいいます。任意整理と似た手続きではありますが、裁判所を利用した手続きであるという点に違いがあります。

調停が成立すれば、調停調書が作成され、その内容にしたがって支払いが開始されます。

(3)個人再生

「個人再生」とは、減額された借金について、返済計画を立てるための手続きをいいます。裁判所を利用した手続きであるという点では、特定調停と同じです。

個人再生では、任意整理よりも大幅な減額が認められ、減額された借金を返済計画(再生計画)にしたがって3年から5年にかけて分割で支払っていくことになります。
 

(4)自己破産

「自己破産」とは、借金を免除してもらうための手続きをいいます。自己破産も裁判所を利用した手続きであり、最終的に裁判所から免責(借金の支払義務を免除してもらうこと)の許可が出れば、借金の支払いは一部を除いて免除されます。

3 債務整理の流れとやり方

債務整理に4つの種類があることは既に見たとおりですが、手続きの流れとやり方はそれぞれにおいて異なります。

(1)任意整理の場合

任意整理をする場合、まずはじめに弁護士は相談者からの依頼に基づき、「受任通知」を債権者に送付します。「受任通知」とは、依頼者にかかる債務整理を開始する旨の通知のことをいいます。

通知を受けた債権者は、債務者と直接連絡を取ることをやめて、債務者にかかる取引履歴を弁護士に開示します。弁護士は、この取引履歴を基に利息制限法に引き直す計算をして、借金の残額を確定し、返済案を作成します。

この返済案に債権者が合意すれば、和解書を作成・締結のうえ、支払いが開始されることになります。また、利息制限法に基づき引き直した結果、過払い金が発生していれば、過払い金の返還を請求することになります。

任意整理で合意する支払期間は、4年~5年であることが一般的ですが、債権者や取引期間、取引内容によってはさらに長期の分割ができることもあります。

(2)特定調停の場合

特定調停を申し立てる場合には、申立書とともに、必要書類を添付したうえで、簡易裁判所に提出する必要があります。

その後、調停を担当する調停委員が選任され、調査期日が開かれます。調査期日には、債務者のみが出頭し、借金の状況の聴き取りや返済計画などが策定されます。

調査期日を終えたら、後日、第一回の調停期日が開かれます。この期日には、債権者も出頭し、返済計画について合意が成立すれば、調停調書が作成され、債務者は調停調書に従って返済を開始することとなります。

一回目の期日で合意に至らない場合は、期日を重ねることになります。数回の期日を開いても合意が成立すれば、特定調停は不成立となり、借金の問題は解決できないままとなります。

(3)個人再生の場合

個人再生は非常に複雑な手続きであるため、弁護士に依頼することが一般的です。個人再生手続きについて受任した弁護士は、任意整理と同様、債権者に「受任通知」を送付し、債権調査を行います。そのうえで、債務者の住民票や収入証明書などといった必要書類を揃え、地方裁判所に個人再生を申し立てます。

個人再生が申し立てられると、場合によっては裁判所により個人再生委員が選任され、近いところで個人再生委員との面談が実施されます。

面談では、債務状況や収入面などの確認が行われ、特に問題がなければ個人再生手続きの開始決定がなされます。この時点から、債務者の支払能力を確認する意味で、毎月の積み立てが開始されます。

個人再生手続きの開始決定後には、裁判所による債権調査が行われ、最終的な債権額が確定されます。

確定された債権額は、大幅に減額され、減額された借金について再生計画案を策定することになります。


策定された再生計画案は、裁判所によりチェックされ、問題がないと判断された場合には、債権者に対しても意見を聞くこととされています。

そのうえで問題がなければ、再生計画案は認可され、再生計画案に従って返済を開始することになります。

(4)自己破産の場合

自己破産についても、手続きが複雑であるため、弁護士に依頼することが一般的になっています。

自己破産手続きについて受任した弁護士は、任意整理や個人再生と同様、債権者に「受任通知」を送付し、債権調査を行います。そのうえで、債務者の住民票や収入証明書などといった必要書類を揃え、地方裁判所に自己破産を申し立てます。

自己破産手続きには、「同時廃止」と「管財事件」という2つの種類があり、それぞれにおいて手続きの流れが異なります。「同時廃止」とは、自己破産の申立時において、財産がほとんどない場合や、免責不許可事由と呼ばれる事情が無い場合に採られる手続きで、手続き自体はさほど複雑ではありません。

具体的には、自己破産の申立て後、自己破産手続開始決定がなされ、それから数か月後に、裁判官との間で10分程度の面談(「免責審尋」といいます。)が実施されます。特に問題がなければ、免責許可決定が下り、手続きは終了します。

他方で、「管財事件」とは、自己破産の申立時において、一定の財産を持っている場合や、免責不許可事由がある場合に採られる手続きで、手続き自体も複雑なものとなっています。

具体的には、自己破産の申立後、裁判所により破産管財人が選任されることになります。「破産管財人」とは、債務者が所有する財産を管理・処分する権限を与えられた者をいうため、破産管財人は、債務者が所有する財産を現金化し、債権者に配当することになります。

管財事件の場合は、債権者集会などが開かれることになっており、その場で破産管財人は、債権者に対して、自己破産事件の進捗を報告します。破産管財人が、債務者の所有する財産をすべて配当し終えたら、破産手続きは終了し、近いところで免責許可決定が下りることになります。

4 債務整理のメリット・デメリット

それぞれの債務整理方法には、メリットとデメリットがあります。

(1)任意整理の場合

任意整理では、和解成立後にも本来は発生するはずの利息をカットしてもらえる可能性が高いです。そのため、利息に苦しむことがなくなり、元本のみを返済していくことで借金をなくすことができるというメリットがあります。

また、個人再生自己破産では、すべての債権者が手続きの対象となりますが、任意整理では、債権者を選ぶことができます。

たとえば、保証人を立てている借金を任意整理の対象に含めてしまうと、保証人に請求される可能性があったり、車のローンに介入してしまうと車が引き上げられる可能性がでてきます。このように、任意整理の対象に含めることで不都合性が生じる借金を任意整理の対象から外すことができます。

その反面、任意整理では、和解成立後の利息をカットしてもらえる可能性は高いものの、元本自体をカットしてもらうことは困難です。そのため、借金の額があまりに大きい場合には、あまり効果的な方法とはいえません。

任意整理は、あくまで債権者から合意を得ることが前提となりますが、近時では、任意整理に応じない債権者も少しずつ増えてきているため、任意整理では解決できない可能性があることもデメリットといえるでしょう。

(2)特定調停の場合

債務者と債権者との直接交渉では、立場の弱い債務者にとってどうしても不利な状況になりがちですが、特定調停では、調停委員が間に入って話し合いが進められるため、債権者と対等な立場で話し合いを進めることができます。

また、裁判所を利用する手続きの中では、費用が安いというメリットがあります。具体的には、債権者1名あたりにかかる費用は、印紙代(500円)郵便切手代のみです。経済的に厳しい債務者にとっては、大きなメリットといえるかもしれません。

その反面、特定調停は、あくまで当事者間の話し合いが前提となる手続きであるため、相手方が返済条件などに合意すれば、調停は成立しません。また、任意整理と同様に、借金の元本についての減額は見込めず、場合によっては、利息のカットに応じない債権者もいます。

そのため、借金の額があまりに大きい場合には、効果的な方法とはいえません。さらに、調停が成立すると調停調書が作成されることになるため、返済が遅れると、給料の差し押さえなどを受けてしまう可能性があります。

(3)個人再生の場合

任意整理や特定調停では、元本を減額することまではできませんが、個人再生では、元本を含めた借金の額を大幅に減額してもらえます。

具体的には、借金が500万円までの場合は100万円、500万円~1500万円までの場合はその5分の1、1500万円~3000万円までの場合は300万円まで、3000万円~5000万円までの場合は10分の1まで減額することが可能です。

また、個人再生の大きなメリットとして、住宅ローン特則を使うことができるという点が挙げられます。たとえば、自宅を所有している状態で自己破産を申し立てると、原則としては自宅を処分されることになりますが、個人再生では、自宅を処分されることなく、住宅ローンを除く借金を整理することが可能です。

この場合、従来通り、住宅ローンを支払いながら、その他の借金について、返済計画を策定することになります。


もっとも、個人再生手続きを利用するためには、債務者に安定した収入があることが必要であるため、アルバイトや無職である場合には、個人再生手続きを利用することはできません。

また、既に見たように、個人再生は手続きが非常に複雑であるため、弁護士に依頼することが一般的です。その場合、弁護士費用として30万円~50万円かかる事務所が多いですが、借金を解決するための一生に一度の手続きと考えれば、さほど高いというわけでもありません。

(4)自己破産の場合

自己破産が、ほかの3つと大きく異なるのは、借金が免除されるという点です。その意味では、借金の問題を根本的に解決する唯一の方法であるといえます。

また、個人再生ほどには、安定した収入が必要となることもないため、アルバイトや無職であっても、自己破産を申し立てることができるというメリットがあります。

もっとも、自己破産をすれば、それまでに所有していた財産を処分されることになります。また、借金の原因がギャンブルや浪費にある場合で、その程度が酷い場合は、免責が許可されない可能性もあり、その場合は、借金は免除されず、借金の問題を解決することができません。

さらに、管財事件として扱われた場合には、管財人への予納金として20万円が必要になる点もデメリットといえるでしょう。

5 まとめ

債務整理には4つの種類があり、それぞれにおいて手続きの流れややり方が異なります。効果的に借金の問題を解決するためには、自分の状況に見合った方法を選択する必要がありますが、その判断が困難な場合も多くあります。

債務整理を検討している場合には、誤った方法を選択しないためにも、なるべく早く相談料無料の当事務所にご相談することをお勧めします。


関連記事

  1. 親が自己破産したら、子供にどんな影響があるのか?
  2. 個人再生(個人民事再生)を行うための条件とは?
  3. 給料の差押えを防ぐには?流れと対処方法も解説!
  4. 弁護士相談 任意整理の返済と費用の支払い開始時期はいつから?
  5. 代位弁済とは?通知のリスクと対処方法を弁護士がわかりやすく教えま…
  6. 任意整理が保証人に与える影響を解説!対処法はあるのか?
  7. 任意整理 特定調停のメリット・デメリットまとめ|失敗しない債務整理
  8. ローン 代位弁済とは?知っておくべきリスクと通知が来た場合の対処法

無料相談はコチラ

PAGE TOP