個人再生の圧縮額はどう決まる?計算の仕組みと具体例を解説

「個人再生をすると、借金は実際どのくらい減るのだろう?」
「自分のケースでは、いくらまで圧縮できるのだろう?」

借金の返済に行き詰まったとき、多くの方がこうした疑問を抱きます。

個人再生の圧縮額は、借金の総額・保有資産・収入によって変わります。誰でも一律に10分の1になるわけではありません。まずは自分のケースの目安を知ることが大切です。

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、原則3〜5年で分割返済する法的手続きです。負債総額が5,000万円以下で、継続的な収入がある方が利用できます。

個人再生の主な特徴
  • 借金を最大で10分の1まで圧縮できる可能性がある
  • 住宅ローン特則を使えば、マイホームを手放さずに済む
  • 給与所得者・自営業者のどちらでも利用できる

ただし、圧縮後の返済額は借金の総額や保有資産によって異なり、一律ではありません。手続きを進める前に、自分のケースでの圧縮額の目安を把握しておきましょう。

本記事では、個人再生の圧縮額の決まり方・計算の仕組み・具体的な数字例・利用条件を、専門知識のない方にもわかりやすく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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この記事の目次

個人再生の圧縮額の目安と利用できる条件

個人再生では借金の総額に応じて最大10分の1程度まで圧縮できる可能性があり、圧縮後の残額を原則3年(最長5年)で分割返済します。

個人再生を使うと借金がどれくらい減るのかを最初に把握しておくと、手続きを検討する際の判断がスムーズになります。

大きな特徴は、家や車などの財産を手放さずに借金を大幅に減らせる点。自己破産とは異なり、一定の収入がある方が利用しやすい手続きです。

まず押さえたい3つのポイント
  • 借金の総額によっては、最大で10分の1程度まで圧縮できる可能性がある
  • 利用条件は「負債総額が5,000万円以下」と「継続的な収入がある」の2点
  • 圧縮後に残った借金は、原則3年・最長5年かけて分割返済する

住宅ローン特則という仕組みを利用すれば、マイホームを手放さずに手続きを進められる場合もあります。ここでは、圧縮の仕組み・利用条件・返済期間の3点を順に解説します。

借金が最大10分の1まで減る仕組み

借金の総額ごとに「最低弁済額」が法律で定められ、それを超える部分はカット。

個人再生では借金の総額に応じて最低弁済額が法律で決まり、それを超える部分がカットされます(この基準を「最低弁済基準」と呼びます)。圧縮後に残る金額の目安は、次のとおりです。

借金の総額最低弁済額(残る金額の目安)
100万円未満全額(圧縮なし)
100万〜500万円未満100万円
500万〜1,500万円未満借金総額の5分の1
1,500万〜3,000万円未満300万円
3,000万〜5,000万円以下借金総額の10分の1

たとえば借金が500万円なら最低弁済額は100万円で、残り400万円が原則カットされ、この基準だけで見た圧縮率は80%前後になる計算です。

ただし、最低弁済基準だけで圧縮額が決まるわけではありません。手元の財産の合計額を下回る返済計画は認められない「清算価値保障原則」があります。

保有財産が多いと、最低弁済額より多く返済するケースがあります。たとえば借金500万円で最低弁済額が100万円でも、財産合計が150万円相当あれば返済額は150万円以上。預貯金が数十万円程度なら影響は出にくい一方、不動産やまとまった預貯金がある場合は清算価値が返済額に直接影響します。

まずは「最低弁済基準」で大まかな下限をつかむと、イメージしやすくなりますよ。

個人再生が使える2つの条件

「負債総額5,000万円以下」と「継続的な収入がある」の2点を満たすかどうかが、利用可否の目安です。

個人再生を申し立てるには、法律で定められた2つの条件を満たす必要があります。この2つを満たしているかを確認するだけで、手続きの対象になるかどうかの大まかな見当がつくでしょう。

個人再生を利用するための2つの条件
  • 負債の総額が5,000万円以下であること(住宅ローンを除いた合計額)
  • 継続的な収入があること(または継続的な収入を得る見込みがあること)

「5,000万円以下」という上限は、複数の金融機関からの借り入れがある場合はその合計で判断します。

「継続的な収入」は正社員に限りません。パート・アルバイト・自営業・年金受給者なども、安定した収入があると認められれば対象です。収入が不安定な場合は、過去6か月程度の実績や今後の見込みをもとに判断されることが多く、不安があるときは専門家への確認が確実です。

パートや年金でも、収入が続いていれば対象になり得るんですよ。

圧縮後の借金は原則3年・最長5年で返済する

圧縮後の残額は分割払いで返済します。返済期間は原則3年、やむを得ない事情がある場合のみ最長5年です。

圧縮後に残った借金は、一括ではなく分割払いで返済します。返済期間は原則3年で、病気や失業など収入が一時的に大きく減った場合など、やむを得ない事情があるときのみ最長5年まで延長できます。

たとえば返済総額が100万円なら、3年(36回)払いで毎月の返済は約2万8,000円前後。現在の返済額と比べて、月々の負担が大きく軽減されるケースは少なくありません。

返済を途中でやめると再生計画が取り消されるリスクがあります。無理のない返済計画を最初に設計することが重要です。

返済が難しくなった場合は、返済計画の変更を申し立てることができます。ただし可否は裁判所の判断となるため、早めに弁護士や司法書士へ相談すると安心です。

原則3年ですが、事情があれば5年まで延ばせる場合もありますよ。

個人再生と他の債務整理、圧縮額の違いと向いている人

個人再生・任意整理・自己破産は「借金をどう減らすか」の仕組みが根本的に異なります。圧縮の仕方・残せる財産・収入の有無で、合う手続きが変わります。

どの手続きを選ぶかで、毎月の返済額や手元に残せる資産が大きく変わるでしょう。自分の状況に合った選択のために、各手続きの違いを正確に理解しておきましょう。

3つの手続きの違い
  • 任意整理:利息はカットできるが、元本は原則そのまま残る
  • 自己破産:借金をゼロにできるが、財産の多くを手放す必要がある
  • 個人再生:元本を大幅に圧縮しつつ、マイホームなどを残せる可能性がある

ここでは、任意整理・自己破産との違いと、個人再生が向いている人の特徴を順に見ていきます。

任意整理との違い:元本は圧縮されない

任意整理で減らせるのは将来利息・遅延損害金が中心で、借りた元本は基本的に残ります。

任意整理は、元本の圧縮がない点で個人再生と大きく異なります。裁判所を通さず債権者と直接交渉でき、借金が比較的少なく現在の収入で返済を続けられる場合に有効な手続きです。一方、元本が数百万円規模になると、利息のカットだけでは月々の返済が重いままになりがちです。

カット対象の違い
  • 任意整理でカットできるのは:将来利息・遅延損害金(元本は残る)
  • 個人再生でカットできるのは:元本を含む借金総額そのもの

たとえば借金が500万円ある場合、任意整理では500万円の元本がそのまま残ります。個人再生では最低弁済額の基準で100万円程度まで圧縮できる可能性があり(実際の額は清算価値や可処分所得などで変わります)、毎月の返済額の差は大きくなりやすいです。現状の返済が到底追いつかない場合、任意整理より個人再生のほうが実質的な負担軽減につながる可能性が高いといえるでしょう。

元本が大きいと、任意整理では追いつきにくいことが多いですね。

自己破産との違い:財産を残せる可能性がある

最大の違いは「財産をどこまで守れるか」です。個人再生は住宅ローン特則でマイホームを残せる可能性があります。

自己破産では借金をゼロにできますが、いわゆる「自由財産」(99万円以下の現金など)を除いた不動産・車・預貯金などは原則として処分の対象です。住宅ローンが残っているマイホームも、多くのケースで手放すことになります。

財産への影響の違い
  • 自己破産:借金はゼロになるが、一定額を超える財産は処分される
  • 個人再生:借金は大幅に圧縮されるが、住宅ローン特則でマイホームを残せる可能性がある

個人再生には「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」があり、住宅ローンの返済を続けることを条件に、マイホームを手放さずに手続きを進められます。持ち家を守りたい方や、子どもの学区を変えたくない方にとって、自己破産より現実的な選択肢となるでしょう。

賃貸にお住まいの方でも、元本を大幅に圧縮したい場合には個人再生を選ぶ意義があります。

個人再生は圧縮後の借金を原則3年(最長5年)返済し続ける必要があります。収入がまったくない状況では自己破産が適する場合もあるため、まずは専門家に状況を確認してください。
家を残したい方には、個人再生が候補になりやすいですよ。

個人再生が向いている人の特徴

「元本が多い」「継続的な収入がある」「手放したくない財産がある」の3つが重なる方に、特に適した手続きです。

個人再生は、次の3つの条件が重なる人に特に向いています。住宅ローンを抱えながら他の借金も増えた方や、事業を続けながら債務整理を検討している方などが、活用を検討しやすいケースです。

個人再生が向いている人
  • 借金の元本が多く、任意整理では返済が追いつかない
  • 継続的な収入があり、圧縮後の借金を返済し続けられる
  • マイホームや事業用資産など、手放したくない財産がある

逆に、収入が不安定または無収入の状態が続いている場合は、向いていない可能性があります。圧縮後の返済計画が認可されるには、返済を継続できる収入の見通しが必要だからです。守りたい財産が特になく、返済義務そのものをなくしたい場合は、自己破産のほうが合理的なケースも少なくありません。

弁護士や司法書士に相談すれば、手続きの選択肢と圧縮額の試算を同時に確認でき、多くの事務所は無料相談を設けています。

収入が続く見通しがあるかどうかが、大きな分かれ目になりますね。

借金総額別の圧縮額早見表

借金の総額に応じて最低弁済額が法律で決まります。この早見表で、自分の借金がおおよそいくらに圧縮されるかの目安を確認できます。

まずは法律上の基準値として、借金総額ごとの最低弁済額を確認しておきましょう。

借金総額最低弁済額(圧縮後の目安)
100万円未満原則として全額返済が必要
100万〜500万円未満最低100万円まで圧縮可能
500万〜1,500万円未満借金総額の5分の1まで圧縮可能
1,500万〜3,000万円未満最低300万円まで圧縮可能
3,000万〜5,000万円未満借金総額の10分の1まで圧縮可能
後述する「清算価値保障原則」や「可処分所得要件」によって、実際の返済額がこれより高くなるケースもあります。表の数字はあくまで法律上の基準値です。

ここでは、借金総額の帯ごとの圧縮イメージと、月々の返済額の見方を順に解説します。

100万円未満・100万円以上500万円未満の場合の圧縮額

100万円未満は原則全額返済。100万〜500万円未満は、総額にかかわらず最低弁済額が一律100万円です。

借金100万円未満の場合は、個人再生を使っても元本は原則として全額返済が必要です。100万円以上500万円未満の場合は最低弁済額が一律100万円と定められ、借金が多いほど圧縮率が高くなります。

圧縮イメージ(100万〜500万円未満)
  • 借金150万円 → 圧縮後100万円(約3分の2に減額)
  • 借金250万円 → 圧縮後100万円(約5分の2に減額)
  • 借金400万円 → 圧縮後100万円(約4分の1に減額)

たとえば借金400万円のケースでは返済総額が100万円となり、3年(36回払い)なら月々の返済額は約2万8,000円前後の計算です。ただしこれは最低弁済額に基づく下限値で、保有財産の価値が100万円を超える場合は「清算価値保障原則」により返済額が上がることがあります。

この帯では、借金が多いほど圧縮率が高くなりやすいんですよ。

500万円以上1500万円未満の場合の圧縮額

この帯は、借金総額の5分の1(20%前後)が最低弁済額の基準です。総額に比例して返済額も増えます。

借金が500万円以上1,500万円未満の場合は、借金総額の5分の1が最低弁済額の基準になります。総額に比例して返済額が増えていく仕組みです。

圧縮イメージ(500万〜1,500万円未満)
  • 借金500万円 → 圧縮後100万円(最低弁済額の下限と一致)
  • 借金800万円 → 圧縮後160万円
  • 借金1,000万円 → 圧縮後200万円
  • 借金1,200万円 → 圧縮後240万円

たとえば借金1,000万円のケースでは返済総額が200万円となり、3年(36回払い)なら月々約5万6,000円前後の計算です。元の借金が1,000万円あったことを考えると、月々の負担感は大きく変わります。

なお住宅ローン特則を利用している場合、住宅ローンの残高は圧縮対象から外れるため、手元の借金の内訳を確認したうえで対象となる借金総額を算出しましょう。

この帯では、借金総額の5分の1が目安になりますね。

1500万円以上3000万円未満の場合の圧縮額

この帯は最低弁済額が一律300万円。下限が変わらないため、借金が多いほど圧縮効果が大きくなります。

借金が1,500万円以上3,000万円未満の場合は、最低弁済額が一律300万円と定められています。返済の下限が変わらないため、借金が多いほど圧縮の効果が大きくなります。

圧縮イメージ(1,500万〜3,000万円未満)
  • 借金1,500万円 → 圧縮後300万円(5分の1)
  • 借金2,000万円 → 圧縮後300万円(7分の1強)
  • 借金3,000万円 → 圧縮後300万円(10分の1)

借金3,000万円のケースでは返済総額が300万円となり、3年(36回払い)なら月々約8万3,000円前後が目安です。元の借金と比べると、返済負担は大幅に軽減されます。

なお住宅ローンを除く借金総額が5,000万円を超える場合は個人再生を利用できないため、弁護士・司法書士に手続きの選択肢を確認してください。

下限が300万円で固定なので、多いほど効果が大きく出ますよ。

月々の返済額の目安(早見表の見方と注意点)

早見表の金額は最低弁済額の下限値です。「圧縮後の返済総額 ÷ 返済回数」が月々の返済額の基本になります。

返済期間は原則3年(36回払い)で、特別な事情がある場合は最長5年(60回払い)まで延長が認められることもあります。月々の返済額の基本となる計算式は「圧縮後の返済総額 ÷ 返済回数」。ただし、次のような場合は早見表の数字がそのまま適用されない点に注意が必要です。

実際の返済額が早見表より高くなるケース
  • 保有財産(預貯金・不動産・車など)の評価額が最低弁済額を上回る場合は、財産の評価額が返済総額の下限になる
  • 給与所得者等再生を選択した場合は、可処分所得の2年分以上の返済が必要になるケースがある
  • 住宅ローンは圧縮対象外のため、住宅ローン特則を使う場合は別途返済が続く

自分の状況に当てはめた正確な試算を知りたい場合は、弁護士・司法書士への無料相談を活用するのが確実です。保有財産の評価や収入状況を踏まえて、実際の圧縮後の金額を試算してもらえます。

早見表はあくまで下限ですよ。財産しだいで変わる点に注意ですね。

圧縮額を決める3つの計算基準

個人再生の返済額は、3つの計算基準のうち最も高い金額で決まります。自分に有利な基準を選べるわけではありません。

個人再生で借金がいくらになるかは、独立した3つの計算ルールをすべて計算したうえで、最も高い金額が実際の返済額になります。なお、対象となるのは負債総額が5,000万円以下の場合に限られます。

圧縮額を決める3つの基準
  • 借金の総額に応じた「最低弁済額基準」
  • 手持ち資産の合計に基づく「清算価値基準」
  • 収入から生活費を引いた「可処分所得基準」(給与所得者のみ)

自分の圧縮後の借金額を正確に把握するには、3つの基準をそれぞれ理解しておくことが重要です。以下で、各基準の計算方法と考え方を順に解説します。

借金の総額だけで決まる基本の金額

最低弁済額基準とは、借金の総額に応じて法律で定められた最低弁済額です。資産や収入に関係なく、必ずこの金額以上を返済します。

民事再生法では、負債総額に応じた最低弁済額が段階的に定められています。誰でも必ずこの金額以上を返済しなければなりません。

負債総額最低弁済額
100万円未満全額
100万円以上500万円未満100万円
500万円以上1,500万円未満負債総額の5分の1
1,500万円以上3,000万円未満300万円
3,000万円以上5,000万円以下負債総額の10分の1

たとえば借金が800万円の場合、最低弁済額基準による返済額は800万円の5分の1にあたる160万円です。借金が2,000万円であれば、300万円の返済が最低ラインになります。自分の借金総額に近い金額を、次の目安表で確認してみてください。

借金総額の目安最低弁済額の目安
300万円100万円
500万円100万円
700万円約140万円(5分の1)
1,000万円約200万円(5分の1)
1,500万円300万円
2,000万円300万円
この金額はあくまで最低弁済額基準のみの目安です。次に説明する清算価値基準や可処分所得基準が上回る場合は、そちらの金額が適用されます。
まずは総額だけで決まる、いちばん基本の金額ですよ。

手持ち資産が影響する清算価値基準

清算価値基準とは、申立て時点で保有している資産の合計額以上を返済しなければならないルールです。

清算価値基準は「もし破産した場合に債権者が受け取れる金額と同等以上を個人再生でも返済すべき」という考え方に基づきます。清算価値に含まれる主な資産は、次のとおりです。

清算価値に含まれる主な資産
  • 預貯金・現金
  • 不動産(自宅を含む場合もある)
  • 自動車(時価評価)
  • 生命保険の解約返戻金
  • 退職金の見込み額(見込み額の4分の1程度が算入される例が多いとされるが、在職年数や就業規則で異なる)
  • 有価証券・投資信託

たとえば預貯金100万円・解約返戻金50万円・退職金見込みの4分の1相当が75万円なら、清算価値は合計225万円です。この場合、最低弁済額基準が160万円でも、清算価値基準の225万円が上回るため、返済額の下限は225万円になります。

一方、預貯金が少額で保険や退職金もほとんどない場合、清算価値はごく小さくなり、最低弁済額がそのまま返済額の基準として機能しやすくなります。

手元の財産が多いほど、この基準が効いてきますね。

給与再生で適用される可処分所得基準

可処分所得基準は、給与所得者が「給与所得者等再生」を選んだ場合にのみ適用されます。小規模個人再生では適用されません。

給与所得者等再生を使えるのは、給与やこれに準じる定期的な収入があり、その変動が小さいと認められる方です。小規模個人再生は、継続的な収入があれば自営業者や収入が不安定な方も対象になりますが、債権者の同意(議決)が必要になります。

可処分所得基準の計算の考え方
  • 年間の可処分所得 = 年収 − 生活費の政令基準額
  • 返済総額 = 年間可処分所得 × 2年分(24か月分)

生活費の政令基準額は世帯人数や居住地域で異なり、目安は単身世帯で年間約150万〜170万円前後、2人世帯で年間約200万〜220万円前後。たとえば年収400万円で政令基準額が240万円なら、年間可処分所得は160万円となり、2年分の320万円が最低弁済額の基準になります。

給与所得者等再生は債権者の同意なく進められる一方、可処分所得基準が加わることで小規模個人再生より返済額が高くなるケースもあります。

給与所得者等再生を選んだときだけ加わる基準ですよ。

3つの基準のうち最も高い額が返済額になる

返済額は3つの基準をすべて計算したうえで、最も高い金額が採用されます。申立人が選べるものではありません。

これは法律上の強制ルールです。具体的なイメージとして、次の3ケースで返済額の決まり方を確認してみましょう。

ケース①:給与所得者等再生を選んだ場合
  • 借金総額:800万円
  • 最低弁済額基準:160万円
  • 清算価値基準:225万円(預貯金100万円・解約返戻金50万円・退職金見込みの4分の1が75万円)
  • 可処分所得基準:320万円(年収400万円・政令基準額240万円の場合)
  • → 実際の返済総額は最も高い320万円
ケース②:小規模個人再生を選んだ場合(同条件)
  • 可処分所得基準は適用されない
  • 最低弁済額基準160万円と清算価値基準225万円のうち高い方 → 225万円
  • 給与所得者等再生と比べて95万円分の負担軽減につながる計算
ケース③:資産がほとんどない場合(小規模個人再生)
  • 借金総額:500万円
  • 最低弁済額基準:100万円
  • 清算価値基準:30万円(預貯金30万円のみ・保険・退職金なし)
  • 可処分所得基準:適用なし(小規模個人再生のため)
  • → 返済総額は100万円が目安

このように、手続きの種類や資産状況によって最終的な返済額は大きく変わります。3つの基準を正確に計算するには、法テラスや各弁護士会・司法書士会の無料相談を利用し、弁護士や司法書士に試算を依頼するのが確実です。

3つを計算して、いちばん高い額が返済額になりますね。

清算価値の計算と資産がある場合の影響

清算価値とは、手持ちの資産を換金したと仮定した場合の合計額です。これが最低弁済額を上回る場合は、清算価値が返済額の下限になります。

個人再生では、圧縮できる金額は最低弁済額だけで決まるわけではありません。まとまった預貯金や解約返戻金、不動産の純資産などがあると清算価値が最低弁済額を上回ることがありますが、資産が少ない方には影響しないケースもあります。

清算価値の基本ポイント
  • 清算価値とは、手持ちの資産を換金したと仮定した場合の合計額
  • 預貯金・車・保険の解約返戻金なども計算対象になる
  • 資産が多いほど圧縮後の返済額が増える可能性がある
  • 住宅ローン特則を使えば、自宅を手放さずに手続きできる場合がある

ここでは、清算価値の計算対象・影響の仕組み・住宅ローン特則の概要を順に解説します。

清算価値の計算に含まれる資産の種類

清算価値は「もし破産した場合に債権者が回収できたであろう金額」を基準に算出され、この金額以上を返済します。

主な計算対象は、次のとおりです。生活に必要な最低限の家財道具や評価額が低い資産は、計算対象から除外されるのが一般的です。

清算価値の主な計算対象
  • 預貯金(全額が対象)
  • 生命保険の解約返戻金(数十万円以上になる場合に影響が出やすい)
  • 自動車(査定額ベース)
  • 不動産(評価額から住宅ローン残高を差し引いた額)
  • 退職金見込み額(在籍中の場合、見込み額のおおむね4分の1程度が対象となることが多い)
  • 有価証券・投資信託など
退職金は、実際に受け取っていない将来の分でも、在籍期間に応じた見込み額の一定割合が清算価値に算入されます。手元にない資産でも対象になり得る点は見落としやすいので注意してください。
退職金の見込みも入る点は、見落としやすいので注意ですよ。

不動産・車・預貯金がある場合の影響

清算価値の合計が最低弁済額を上回ると、清算価値が返済総額の基準になります。資産が多いほど返済額が増える構造です。

たとえば最低弁済額が100万円でも、清算価値の合計が150万円なら、返済すべき金額は150万円が下限です。資産の種類ごとに、影響の出方を確認しておきましょう。

資産の種類ごとの影響
  • 預貯金:全額が算入される。申立て直前の引き出しや使い込みは、資産隠しとみなされ却下等のリスクがあるため避ける
  • 自動車:時価評価。ローンが残っていれば残債を差し引いた額が算入。古い車は影響ほぼなし、新しめ・高価な車は清算価値を押し上げる
  • 不動産(自宅以外):評価額から担保の債務残高を差し引いた純資産額が算入。評価額1,000万円前後で担保残高が少ないと影響が特に大きい

自宅については、後述する住宅ローン特則を利用することで取り扱いが異なります。通常の生活費の支出であれば問題になりにくいものの、意図的な資産隠しとみなされると手続きの進行に支障が生じます。

新しめの車や不動産があると、返済額が上がりやすいですね。

住宅ローン特則を使うと自宅を残せる

住宅ローン特則とは、住宅ローンだけを個人再生の対象から切り離し、返済を続けることで自宅を手放さずに済む制度です。

この特則を利用すると、自宅の評価額は清算価値の計算に含まれず、住宅ローン以外の借金だけを圧縮しながら自宅を維持できます。たとえば、住宅ローン以外の借金が500万円ある場合は、その500万円が圧縮の対象です。

特則を使わない場合は自宅の純資産額も清算価値に加算されるため、返済総額が増える可能性があります。

住宅ローン特則の主な利用条件
  • 「住宅」として実際に居住している建物であること
  • 住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと(他の借金の担保に入っていない)
  • 住宅ローンの返済を今後も継続できる収入があること(返済後も生活費と再生計画の返済をまかなえる水準)
住宅ローン特則を使っても、住宅ローン自体の返済額は変わりません。返済が現時点で滞っている場合は判断が複雑になるため、早めに専門家へ確認してください。
家を守りながら他の借金を圧縮できる、心強い制度ですよ。

具体的な計算例:借金500万円・900万円のケース

最終的な返済額は「最低弁済基準額・清算価値・可処分所得(2年分)」の3つのうち最も高い金額になります。実際の数字で追うと理解しやすくなります。

個人再生を利用するには、継続的な収入があること、借金総額がおおむね5,000万円以下であること(住宅ローンを除く)、債権者の過半数が反対していないことなどの前提条件があります。当てはまるかどうかは弁護士・司法書士に確認するのが確実です。

ここでは、2つの代表的なケースで計算の流れを確認していきましょう。

借金500万円・資産なし・会社員のケース

最低弁済基準額100万円、清算価値ゼロに近く、可処分所得が最終的な返済額を左右するケースです。

借金500万円の最低弁済基準額は100万円で、資産がなければ清算価値はほぼゼロなのでこの基準は超えません。残るのは可処分所得の2年分です。

3基準の比較(借金500万円・資産なし・会社員)
  • 最低弁済基準額:100万円(借金500万円は「100万〜500万円未満」の区分)
  • 清算価値:資産なしのため0円に近い
  • 可処分所得:手取り月20万円・生活費月15万円なら、月5万円 × 24か月=120万円
  • → 高いほうの120万円前後が返済総額

つまり借金500万円が120万円前後まで圧縮され、圧縮率はおよそ75〜80%の範囲です。返済期間は原則3年(36回払い)なので、月々の返済額は約3万3,000円〜約3万4,000円程度の水準になります。

可処分所得の算定は家族構成・住居費などで変わります。扶養家族がいる場合や家賃が高い地域では生活費の控除額が増え、返済総額がさらに低くなることもあります。
資産が少ないと、可処分所得が返済額を左右しやすいですね。

借金900万円・住宅ローンあり・自宅を残すケース

住宅ローン特則を使うと、住宅ローンはそのまま払い続けながら、その他の借金だけを圧縮できます。自宅の資産価値は清算価値に含まれます。

たとえば総負債900万円のうち住宅ローンが700万円、その他のカードローン等が200万円だとします。圧縮の対象になるのは住宅ローンを除いた200万円で、最低弁済基準額は「100万〜500万円未満」の区分の100万円。次に清算価値を確認すると、自宅の時価2,000万円・住宅ローン残高1,800万円なら、差額(自宅の純資産)200万円が清算価値として加算されます。

3基準の比較(借金900万円・住宅ローンあり)
  • 最低弁済基準額:100万円
  • 清算価値:200万円(自宅の純資産分)
  • 可処分所得2年分:仮に年間60万円 × 2年 = 120万円
  • → 最も高い清算価値200万円が返済総額

住宅ローン以外の借金200万円が、そのまま200万円の返済義務として残る計算です。返済期間は原則3年(36回払い)のため、この例では月々おおむね約5万5,000円〜約5万6,000円程度。

この例で圧縮効果がほぼ出ないのは自宅の純資産が大きいためで、純資産が少ない(住宅ローンが時価を上回る「オーバーローン」状態の)場合は清算価値がゼロになり、圧縮効果が大きく出ます。

自宅を残したいケースでは、自宅の純資産をどう評価するかが圧縮額の核心になります。圧縮が難しいと感じた場合は、自己破産との比較も含めて専門家に相談すると、より適した選択肢を検討できます。
自宅の純資産をどう見るかが、圧縮額のカギになりますよ。

圧縮額が変わる3つの条件

圧縮額は、申立てをする人の「資産」と「収入」によって大きく変わります。「5分の1になる」は最低弁済基準だけを見た目安にすぎません。

実際の圧縮額は、最低弁済基準・清算価値基準・可処分所得基準の3つのうち最も高い金額が採用されます。資産や収入の状況によっては、5分の1より返済額が増えることがあります。

まず、負債総額ごとの最低弁済基準(目安)を確認しておきましょう。

負債総額の目安最低弁済額の目安
100万円未満負債総額の全額
100万〜500万円未満100万円程度
500万〜1,500万円未満負債総額の5分の1程度
1,500万〜3,000万円未満300万円程度
3,000万〜5,000万円以下負債総額の10分の1程度
税金・養育費・罰金などは個人再生の対象外です。これらの債務がある場合は、別途の対応が必要になります。

ここでは、圧縮額が変わる3つの条件を順に整理します。

資産が多いと清算価値が高くなり返済額が増える

清算価値基準は「破産した場合に債権者が回収できる金額以上は返済する」ルール。資産が多いほど最低弁済額が引き上げられます。

清算価値の計算に含まれる主な資産は、次のとおりです。

清算価値に含まれる主な資産
  • 預貯金(手元の現金・口座残高)
  • 不動産(評価額から住宅ローン残債を差し引いた額)
  • 自動車(時価評価が一定額を超える場合)
  • 生命保険の解約返戻金
  • 退職金見込み額(在職中の場合、一定割合が対象となることがある)

たとえば預貯金200万円・解約返戻金100万円なら、清算価値は合計300万円程度です(評価方法や算入割合で多少前後します)。最低弁済基準より清算価値が高ければ、300万円が返済の基準額になります。

注意したいのは自宅の評価方法です。住宅ローンが残っていれば差し引きゼロになることが多い一方、完済済みや評価額が高い物件を持っている場合は清算価値が大きく跳ね上がることがあります。

資産の内訳を事前に整理しておくと、相談がスムーズです。預貯金残高・保険証券の解約返戻金額・自動車の年式と査定額・不動産の固定資産税評価証明書などをまとめておきましょう。
完済済みの不動産があると、清算価値が跳ね上がりやすいですね。

収入が高いと可処分所得基準が適用されやすい

給与所得者等再生では、年間の可処分所得(収入−生活費)の2年分以上を返済しなければなりません。収入が高いほど返済額が増えやすくなります。

可処分所得は「年収 − 政令で定める生活費(収入額に応じた基準額)」で計算します。たとえば年収600万円前後なら可処分所得が年間50万円前後となり、その2年分で100万円を超えるケースも。一方、年収300万円台前半程度なら、最低弁済基準のほうが高くなるケースが多い傾向です。

給与所得者等再生を選ぶ場合のポイント
  • 小規模個人再生と異なり、債権者の同意が不要な点がメリット
  • 可処分所得基準が上乗せされるため、収入が高い人ほど返済額が増えやすい
  • 小規模個人再生は、負債総額5,000万円以下で「債権者の過半数かつ債権額2分の1以上の反対がない」場合に利用でき、条件次第では圧縮額を大きくできる

年収が一定水準を超えると、清算価値基準・最低弁済基準のいずれよりも可処分所得基準が高くなることがあります。「収入があるから個人再生は不利」と決めつける必要はありませんが、収入が高い方は特に基準の比較を丁寧に行うことが大切です。

収入が高い方は、基準の比較を丁寧に行うのが安心ですよ。

圧縮額を正確に把握するには専門家への確認が必要な理由

どの基準が適用されるかは、資産評価・収入計算・手続きの種類で変わります。自己判断だと実際の返済額と大きくずれるリスクがあります。

専門家への確認が必要な主な理由は、次のとおりです。

専門家への確認が必要な主な理由
  • 資産の評価額は固定資産税評価額・時価・解約返戻金など複数の基準があり、どれを使うかで清算価値が変わる
  • 退職金の算入割合は在職年数や就業規則で異なり、専門的な判断が必要になる
  • 小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらが有利かは、債権者の構成と収入額を合わせて分析しないと判断できない

弁護士や司法書士に相談すると、現在の資産・収入・負債の内訳をもとに、どの基準が適用されるかを試算してもらえます。多くの事務所が初回無料相談を設けているため、まず概算だけでも確認しておくと、手続きを進めるかどうかの判断がしやすくなります。

どの基準が効くかは、プロに試算してもらうのが確実ですね。

圧縮額の目安を確認したら次にすること

計算の仕組みを理解したら、次は実際に自分の借金がいくらになるかを専門家に確認するステップに進みましょう。

この記事で学んだ計算は「目安を把握する」ためのものです。最終的な圧縮額は個々の財産状況・収入・債権者の構成で変わるため、専門家による試算が欠かせません。

次のステップでやること
  • STEP1:弁護士・司法書士への無料相談で、自分の状況に合った正確な圧縮額を試算してもらう
  • STEP2:相談前に借金総額・収入・財産の情報を整理しておく
  • STEP3:手続き費用が難しい場合は、法テラスの立替制度で分割払いに対応する

以下では、相談に向けた具体的な準備と費用の考え方を解説します。

弁護士・司法書士への無料相談で正確な圧縮額を試算してもらう

圧縮額は最低弁済基準額・清算価値・可処分所得の3つを比較して決まります。この計算を正確に行うには専門家の確認が必要です。

多くの弁護士・司法書士事務所では初回相談を無料で受け付けています。相談では、借金の総額や種類・毎月の収入・保有財産をもとに、どの基準が適用されるかを確認したうえで圧縮後の返済額の目安を提示してもらえます。

退職金の見込み額や生命保険の解約返戻金が清算価値に含まれるなど、自己計算では見落としがちな要素も少なくありません。個人再生が適しているか、任意整理や自己破産のほうが有利かという比較も、一緒に検討してもらえます。

相談先は、債務整理の実績が豊富な事務所を選ぶことが重要です。個人再生は手続きが複雑なため、経験が少ないと書類の不備や裁判所とのやり取りに時間がかかる場合があります。

選ぶ手がかりとして、事務所のサイトに個人再生の専門ページがあるか、相談実績の件数が公開されているかを確認する方法があります。日本司法支援センター(法テラス)の弁護士紹介制度を利用する方法もあります。

多くの事務所が初回無料。まず概算だけでも聞けますよ。

相談前に準備しておくと役立つ情報

相談の質を高めるために、借金・収入・財産・生活費の情報を、わかる範囲で事前に整理しておきましょう。

すべてを完璧に揃える必要はなく、わかる範囲で構いません。不足があっても、専門家が必要に応じて確認方法を案内してくれます。

相談前に整理しておきたい情報
  • 借入先の一覧(消費者金融・銀行・カードローン・住宅ローンなど)と、それぞれのおおよその残高
  • 直近3か月分程度の給与明細または収入がわかる書類
  • 保有財産の概算(預貯金残高・不動産・車・保険の解約返戻金など)
  • 毎月の生活費の内訳(家賃・光熱費・食費など)

借入先が多く残高の把握が難しい場合は、信用情報機関(CICやJICC)に開示請求を行うと借入状況をまとめて確認できます。開示請求はオンラインでも手続きが可能です。

わかる範囲でOKですよ。足りない分は相談時に案内してもらえますね。

手続き費用の目安と費用の立替制度

費用の負担が難しい場合は、法テラスの立替制度を利用できます。立替後は月額5,000円前後からの分割返済です。

個人再生には、弁護士・司法書士への報酬と裁判所に納める費用が発生します。目安は次のとおりです。

費用の種類目安
弁護士費用(住宅ローン特則なし)30万円前後
弁護士費用(住宅ローン特則あり)50万円前後
裁判所への予納金数万円程度

法テラスの立替制度は、収入や資産が一定水準以下であることが条件です。目安として単身者なら月収が概ね20万円台前半以下、扶養家族がいる場合はそれに応じた上限が設けられます(詳細は法テラスの公式サイトや直接の問い合わせで確認できます)。自分が対象になるかは、無料相談の場で確認することも可能です。

借金総額が数百万円規模の場合、圧縮できる借金の総額が手続き費用を大きく上回るケースが多いとされています。ただし結果は個々の状況で異なるため、自分のケースに当てはまるかは相談時に確認してください。
費用が心配でも、法テラスの立替という選択肢がありますよ。

個人再生の圧縮額に関するよくある質問

個人再生を検討するとき、「実際にいくら減るのか」「自分の借金はどこまで対象になるのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。計算の仕組みや対象範囲が複雑なため、正確に把握しにくいと感じるのは自然なことです。ここでは、圧縮額に関して特に混乱しやすいポイントを中心に、よくある疑問をまとめました。

個人再生で借金がゼロになることはありますか?

個人再生は借金をゼロにする手続きではなく、圧縮後の残額を返済する必要があります。

個人再生は、借金の総額を一定割合まで圧縮する手続きで、残った債務はなくなりません。圧縮された残額は、原則3年・事情によっては最長5年をかけて分割返済します。返済を継続できる収入があることが、利用の前提。借金をゼロにしたい場合は自己破産という別の手続きが該当しますが、一定の財産を手放すなどの条件があります。どちらが合うかは「圧縮額を決める3つの計算基準」も踏まえ、専門家に相談して判断することをおすすめします。

ゼロにしたいなら自己破産、家を残すなら個人再生が候補ですね。

住宅ローンは個人再生の圧縮対象に含まれますか?

住宅ローン特則を利用すれば、住宅ローンは圧縮の対象から外れます。

個人再生には住宅ローン特則があり、これを適用することで自宅を手放さずに手続きを進められます。住宅ローン以外の借金だけを圧縮の対象とし、返済総額を減額。ただし住宅ローン自体の返済は通常どおり続ける必要があり、滞納すると自宅を維持できなくなる可能性があります。適用要件については「清算価値の計算と資産がある場合の影響」で解説していますので、あわせて確認してください。

住宅ローン特則を使えるかは、早めに確認しておくと安心ですよ。

個人再生をすると信用情報(ブラックリスト)はどうなりますか?

信用情報機関に事故情報として登録され、一定期間は新たな借り入れやクレジットカードの利用が難しくなります。

登録される期間は概ね5〜10年程度とされ、その間はローンの審査やカードの新規作成が通りにくくなります。いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態です。登録期間や影響範囲は信用情報機関や契約内容によって異なる点にも留意しましょう。一方で、圧縮された債務を計画的に返済していけば、登録期間が終了した後は通常の金融サービスを利用できる状態に戻ることが期待できます。返済しながら生活を立て直せる点は、「圧縮額の目安を確認したら次にすること」で解説した相談ステップともつながります。

影響は一時的ですね。完了後は少しずつ元に戻っていきますよ。

借金の種類によって圧縮できないものはありますか?

税金・養育費・罰金などは、個人再生でも圧縮・免除の対象外です。

個人再生には、手続きを行っても減額されない「非減免債権」があります。該当するのは、税金・社会保険料・養育費・罰金など。これらは個人再生後も、全額の支払い義務が残ります。こうした債務が多い場合は、圧縮できる金額が想定より少なくなる点に注意が必要です。ギャンブルや浪費が原因でも手続き自体は利用できますが、債務の内訳は事前に確認しておきましょう。どの基準が効くかは「圧縮額が変わる3つの条件」もあわせて参考にしてください。

税金や養育費は減らせないので、内訳の確認が大切ですね。

個人再生の圧縮額を自分で正確に計算できますか?

最低弁済額基準の目安は自分で確認できますが、正確な試算は弁護士・司法書士に依頼するのが確実です。

最低弁済額基準は、法律で定められた表に負債総額を当てはめれば、おおよその目安を自分で確認できます。しかし清算価値基準は保有資産の評価額で変わり、可処分所得基準は収入や生活費の実態で算出されます。そのため、いずれも個人差が大きく、自己判断で正確な数値を出すのは容易ではありません。実際にはこの3つのうち最も高い金額が採用されるため、どの基準が適用されるかも含めて慎重に見極める必要があります。詳しい計算方法は「圧縮額を決める3つの計算基準」で解説していますので、あわせて参考にしてください。

最低弁済額までは目安を出せますが、正確な試算はプロが確実ですよ。

まとめ:個人再生の圧縮額は3つの基準で決まる

個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に圧縮し、圧縮後の残額を原則3年(最長5年)で返済する手続きです。圧縮額は最低弁済額基準・清算価値基準・可処分所得基準の3つのうち、最も高い金額が返済額になります。資産や収入によって結果が変わるため、早見表はあくまで目安として押さえておきましょう。

この記事の要点
  • 利用条件は「負債総額5,000万円以下」と「継続的な収入」の2点
  • 圧縮額は3つの基準のうち、最も高い金額が返済額になる
  • 住宅ローン特則を使えば、マイホームを残しながら他の借金を圧縮できる
  • 税金・養育費などの非減免債権は、圧縮の対象外になる

自分のケースでいくらまで圧縮できるかは、資産・収入・債権者の構成によって変わります。まずは弁護士・司法書士の無料相談で、正確な圧縮額の目安を確認することから始めてみてください。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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