「交通事故で入院することになり、楽しみにしていた旅行をキャンセルした…このキャンセル料は誰が払うの?」
「加害者側に、旅行のキャンセル料まで請求できるの?」
交通事故の被害者が入院や通院を余儀なくされ、予定していた旅行のキャンセルを迫られるケースは珍しくありません。そのキャンセル料は、一定の条件を満たせば加害者側への損害賠償として請求が認められます。
- 民法709条の不法行為責任にもとづく損害賠償請求の対象になる
- 「相当因果関係」が認められれば、キャンセル料の実費全額を請求できる
- 慰謝料とは別に、旅行キャンセル料を独立した損害項目として請求できる
事故のケガに加えて金銭的な負担まで抱え込んでしまう前に、ぜひ参考にしてみてください。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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この記事の目次
交通事故による旅行キャンセル料は損害賠償として請求できる
交通事故の被害者が旅行をキャンセルせざるを得なくなった場合、そのキャンセル料は加害者側に請求できるケースが多くあります。可否を大きく左右するのは、事故との因果関係が明確かどうかです。
- キャンセル料は「積極損害」として損害賠償の対象になる
- 請求が認められるには「相当因果関係」を満たす必要がある
- 前払い済みの旅行代金とキャンセル料は、それぞれ別に請求できる
- 新婚旅行・記念日旅行など代替が難しい旅行は、慰謝料の増額事由として考慮されることがある
「キャンセル料まで自分で払うのはおかしい」という感覚は、法的にも正当なものです。多くの被害者が泣き寝入りしていますが、条件を満たせば正当な請求権があります。
ここでは、請求の根拠・条件・請求できる費目の範囲を順番に見ていきましょう。
キャンセル料は「積極損害」として扱われる
積極損害とは、事故がなければ発生しなかった支出のことです。いわば、治療費や修理費と同じカテゴリの損害。
民法709条は、故意または過失によって他人の権利を侵害した者は、その損害を賠償する責任を負うと定めています。事故で余儀なくされた旅行キャンセル料も賠償の対象です。
- 事故がなければ支払う必要のなかった費用である
- 旅行の予約・支払いは事故前に正当な行為として完了していた
- キャンセル料の発生と事故との直接的なつながりが明確である
「旅行費用は贅沢品だから請求できない」という誤解もあります。しかし、事故前に適法に結んだ契約にもとづく損害である以上、賠償の対象から外れる理由はありません。

請求が認められるための条件:相当因果関係とは
相当因果関係とは、その事故があれば通常そのような損害が発生するといえる関係を指します。この条件を満たすかどうかが、請求の可否を左右する最大のポイントです。
- 認められやすい例:入院・安静指示があり、旅行日程と重なっていた場合
- 認められにくい例:軽傷で通院のみ、旅行日程まで十分な回復期間があった場合
- 判断が分かれる例:医師の指示ではなく自己判断でキャンセルした場合
医師から「旅行は控えてください」という指示があれば、相当因果関係の立証はかなり容易になります。一方、自己判断でのキャンセルは、その判断が医学的に合理的だったかどうかが争点になりかねません。
事故直後で身体的な負担が大きいと判断できる状況であれば、医師の明示的な指示がなくても認められる余地があるとされています。診断書や指示内容を書面で残しておくことが、後の請求で重要な証拠になります。

前払い済み旅行代金とキャンセル料、それぞれの請求可否
前払い済みの旅行代金は、旅行会社から返金されない部分が損害として請求対象になります。返金された分は損害が発生していないため、請求できません。
キャンセル料は、旅行会社の約款にもとづいて発生した金額の全額が請求対象です。一般に、出発日に近づくほどキャンセル料の割合は高くなります。
- 前払い済み旅行代金のうち返金されない部分:請求対象
- キャンセル料として新たに発生した費用:請求対象
- 旅行会社から返金済みの金額:請求対象外(損害なし)
- 旅行保険で補填された金額:保険会社との関係で調整が必要
旅行保険に加入していた場合、保険から補填された金額は加害者への請求と重複しないよう調整が必要です。補填額を差し引いた残額が、一般的に加害者側へ請求できる上限額となります。
- 旅行のキャンセル確認書(旅行会社発行)
- 旅行代金の領収書または支払い明細
- 旅行会社の約款(キャンセル料の根拠条項)
- 医師の診断書または安静指示を示す書面
- 事故との関連を示す警察の事故証明書


旅行キャンセル料と慰謝料は別々に請求できる場合がある
楽しみにしていた旅行を断念せざるを得なかった精神的苦痛は、慰謝料として別途請求できる可能性があります。
慰謝料は通常、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料として算定されますが、旅行キャンセルによる精神的苦痛が算定に加味される場合もあるでしょう。
裁判所が慰謝料の増額事由として考慮した例もあるのが、新婚旅行・記念日旅行・家族旅行など、代替が難しい旅行のキャンセルです。
「キャンセル料の請求」と「慰謝料の請求」は混同せず、それぞれ別の根拠で組み立てることが重要です。保険会社に拒否・減額された場合は、医師の書面や旅行会社の書類を改めて提示し、根拠を明示して再交渉しましょう。


請求できる根拠と費目がわかったところで、次は実際にいくら認められるのかを裁判例から見ていきましょう。
実際の裁判例と認定された金額の目安
交通事故によるキャンセル料が裁判でどう扱われてきたかを知ると、請求の可否を判断する参考になるでしょう。
- 新婚旅行・結婚式のキャンセルは高額認定の事例が複数ある
- 通常の旅行キャンセルでも、相当因果関係が認められれば実損額が認定される
- 結婚式の延期では、キャンセル料とは別に慰謝料が上乗せされたケースがある
- 認定額は事故の態様・旅行の目的・キャンセルの必要性によって大きく異なる
裁判例を参照すれば、自分のケースに近い事例を見つけ、請求の根拠として活用できます。ここでは、カテゴリ別に代表的な裁判例と認定の傾向を解説します。
新婚旅行・結婚式キャンセルの裁判例
一生に一度という特別な意味合いが、裁判所にも考慮されるためです。
裁判例では、入院・安静が必要となり新婚旅行をキャンセルしたケースで、キャンセル料の全額に加えて精神的損害への慰謝料が別途認定された事例が複数あります。
認定されたキャンセル料が数十万円規模に及び、旅行代金そのものの全額に近い水準で認められた例も少なくありません。ポイントは、裁判所が「事故がなければ旅行に行けていた」という因果関係をどう評価するかです。
受傷の内容・程度と出発予定日との時系列が明確なほど、因果関係は認定されやすくなります。

通常の旅行キャンセルが認められた事例
地方裁判所の判決では、交通事故による負傷を理由に国内旅行をキャンセルし、実際に支払ったキャンセル料の全額(数万円〜十数万円程度)が認定された事例が複数報告されています。ただし、認定の可否は事案ごとに分かれ、一概に「必ず認められる」とは言えません。
これらの裁判例に共通するのは、相当因果関係が認められた点です。「事故による受傷がなければ旅行に行けていた」という流れを客観的に証明できるかどうかが、請求が認められるかどうかの核心になります。
- 事故による受傷が医師の診断書で客観的に証明されている
- 旅行の出発日が事故後の近い時期に設定されていた
- キャンセルが医師の指示または安静の必要性によるものであった
- キャンセル料の実損額が領収書・明細で証明できた
認定される金額は旅行の規模によって幅があり、国内旅行で数万円程度、海外旅行で数十万円規模に達することもあります。いずれの場合も、キャンセル料の領収書と診断書・指示書が証拠として機能するかどうかが認定の分かれ目です。

結婚式延期に対して別途慰謝料が認められた事例
延期の場合、キャンセル料そのものは発生しないか、減額されることがあります。しかし、本来の日程で挙式できなかった精神的損害は、キャンセルとは別に慰謝料として評価される余地があるでしょう。
裁判例では、結婚式の延期による精神的苦痛に対して、数万円から十数万円程度の慰謝料が認定されるケースは少なくありません。この慰謝料は、交通事故の傷害慰謝料とは別枠で請求できる可能性があるでしょう。
「延期による慰謝料」は示談交渉で提示されないことが多く、弁護士が介入して初めて請求項目になるケースが目立ちます。


何が認められやすいかが見えてきたところで、次は請求が通りやすいケースと通りにくいケースを整理します。
請求が認められやすいケースと認められにくいケース
相当因果関係とは、その事故がなければキャンセルする必要はなかったという因果のつながりが、社会通念上も合理的に認められる状態です。
自分の状況が請求できるケースに当てはまるかは、被害の程度・キャンセルのタイミング・誰が事故に遭ったかの3点で大きく変わります。
- 入院・通院が必要なケガがあれば請求が通りやすい
- 軽傷や物損のみの場合は、因果関係の証明が難しくなる
- キャンセルのタイミングが遅いほど、損害との関係が問われやすい
- 家族が事故に遭った場合も、ケガの程度と付き添いの必要性を客観的に説明できれば請求できる
「自分のケースで請求できるのか」と迷う方は多いですが、判断軸を知っておくだけで動きやすくなるでしょう。ここでは、4つの観点に分けて請求可否の考え方を解説します。
認められやすいケース:入院・通院中の旅行キャンセル
「旅行に行けない医学的な理由」を客観的に証明できるため、加害者側との因果関係を立証しやすくなります。
- 骨折・脱臼・靭帯損傷など、旅行中の活動に支障をきたすケガ
- 医師から「安静にするように」と診断書に明記されている状態
- 入院中または入院直後で、移動そのものが困難な状態
裁判例でも、受傷と旅行キャンセルの間に相当因果関係が認められた事案では、キャンセル料が損害として認定されています。金額は旅行の規模や人数で幅がありますが、実際に支払ったキャンセル料の全額が計上されるケースも珍しくありません。
重要なのは、旅行の日程と治療期間が重なっていることです。予定日が事故後の入院・通院期間と明確に重なっていれば、因果関係の説明がしやすくなります。

認められにくいケース:軽傷・物損のみの場合
ただし、「認められにくい」は「認められない」とは異なります。軽傷でも、医師の指示や旅行の内容次第では請求できる余地があります。
たとえば打撲や軽い擦り傷で通院が1〜2回程度にとどまる場合、そのケガがあれば旅行に行けなかったという必然性は説明しにくいでしょう。物損のみで身体に外傷がないケースでは、旅行に行けない身体的な理由がないため、請求の根拠が成立しません。
「軽傷だから諦める」と即断せず、診断書の内容と旅行の性質を合わせて確認することが大切です。

キャンセルのタイミングと請求可否の関係
事故直後のキャンセルは因果関係が明確ですが、時間が経ってからのキャンセルは「本当に事故が原因か」という点で疑義が生じやすくなります。

家族が事故に遭った場合のキャンセル料
家族が重傷を負い、付き添いや看護が必要な状況でキャンセルした場合は、合理的な理由として認められやすくなります。一方、家族のケガが軽微で付き添いの必要性が薄い場合は、因果関係の立証は難しいでしょう。
- 家族のケガの程度(入院・手術の有無など)
- 付き添い・看護の必要性を客観的に説明できるか
- 旅行が家族全員で参加する予定だったか(一人欠けると成立しないか)
たとえば、子どもの入院で親がキャンセルしたケースや、配偶者の重傷にともない家族全員でキャンセルしたケースでは、損害として認定された裁判例があります。

自分のケースが認められやすいかを確認できたら、次は実際に請求するための手順と必要書類を見ていきましょう。どんな書類をそろえ、どの順番で動けばよいかを次の章で解説します。
旅行キャンセル料の請求手順と必要書類
交通事故が原因で旅行をキャンセルせざるを得なくなった場合、そのキャンセル料は損害賠償として請求できると法的に認められています。裁判例でも、数万円から十数万円程度が認容されたケースが報告されています。
- 事故との因果関係を示す医療書類と、キャンセル料を証明する旅行関連書類の両方が必要
- 請求先は自賠責保険ではなく任意保険が基本
- 示談書にキャンセル料を明記しないと、後から請求できなくなるリスクがある
- 損害賠償請求権には時効があるため、早めに動くことが重要
請求漏れや示談後の追加請求トラブルは、書類の準備不足や手順の誤りから起きるケースが少なくありません。ここでは、書類の集め方から請求先の選び方、示談書の書き方、時効の注意点まで順に解説します。
用意すべき書類一覧
どちらが欠けても請求が通りにくくなるため、両方を漏れなくそろえることが基本です。
- 交通事故証明書(自動車安全運転センターが発行)
- 診断書(医師が作成したもの)
- 入院・通院の記録(診療明細書、入院証明書など)
- 旅行の予約確認書またはクーポン・契約書
- キャンセル料の領収書またはキャンセル確認書
- 旅行会社・航空会社・宿泊施設が発行したキャンセル料の明細
診断書は「旅行が不可能な状態だった」ことを示す根拠になります。診断書の安静指示期間と旅行日程が重なっていることが判断基準の一つになります。

キャンセル料の領収書・証明書の取り方
一括でまとめて発行してもらえるケースは少ないため、予約先ごとに連絡を取ることが基本です。
- 旅行会社:「解約通知書」または「キャンセル確認書」を受け取る
- 航空会社:キャンセル手数料の明細(オンライン予約はマイページから印刷可)
- ホテル・旅館:キャンセル料の請求書または領収書を直接依頼
口頭でのキャンセルのみで書面を受け取っていない場合は、改めて書面での発行を依頼します。発行を断られたときは、キャンセルに関するメールや電話の記録を代替の証拠として保管したうえで、弁護士に相談することを検討してください。

自賠責ではなく任意保険に請求する理由
自賠責保険は最低限の人身損害を補填する制度であり、旅行キャンセル料のような財産的損害は支払いの対象外です。一方、旅行キャンセル料を含む、事故によって生じた損害全般を対象とするのが任意保険の対人賠償。
加害者が任意保険に未加入の場合は、加害者本人への直接請求に加えて、被害者自身が加入する人身傷害補償保険などを利用できる可能性もあります。まず自分の自動車保険の契約内容を確認し、弁護士に相談して対応策を検討しましょう。
- STEP1:加害者の保険会社の担当者に連絡し、事故でキャンセルを余儀なくされ、キャンセル料が発生した旨を伝える
- STEP2:事故日・旅行予定日・キャンセル料の金額を合わせて伝える
- STEP3:書類一式を提出し、審査を受ける
- STEP4:損害と認められれば示談交渉で損害額に算入される(認められなければ弁護士を通じて異議申し立て・交渉継続)

示談書へのキャンセル料の明記方法
示談書には通常「清算条項」が含まれており、一度成立すると原則として追加請求ができなくなります。キャンセル料を含めずに署名すると、後から請求しようとしても「示談済み」として拒否される場合もあるでしょう。
- キャンセルした旅行の名称・日程・予約先
- キャンセル料の金額と内訳(旅行会社・航空会社・ホテルごとに分けて記載)
- キャンセル料を損害賠償の一部として認める旨の記述
保険会社が提示する示談書の文面には、キャンセル料が含まれていないことがあります。署名前に損害項目を一つひとつ確認し、キャンセル料が明記されているかをチェックしてください。

請求できる期限(時効)に注意
時効の起算点は「損害を知った時」とされ、キャンセル料については旅行をキャンセルした日が起算点になるケースが一般的です。一方、後遺障害にともなう損害などは症状固定日や損害が確定した日が起算点となる場合があり、項目ごとに起算点が異なる点に注意が必要です。
時間が経つと証拠の収集も難しくなるため、キャンセル料は旅行キャンセルから数週間以内を目安に、早めに書類をそろえておきましょう。
示談交渉が長引く間も時効は進行するため、難航する場合は内容証明郵便や訴訟提起で進行を止める手段があります。

書類と請求先がそろったら、次は保険会社に支払いを渋られたときの対処法を見ていきましょう。
保険会社がキャンセル料の支払いを拒否・渋った場合の対処法
相当因果関係が認められる損害であれば、保険会社への請求対象になります。「キャンセル料は自己負担するしかない」と思い込む必要はありません。
- 保険会社が払い渋る理由には、一定のパターンがある
- 拒否・減額されても、交渉や異議申し立てで覆せる余地がある
- 弁護士費用特約を使えば、実質無料で専門家のサポートを受けられる
ここでは、払い渋りが起きる理由・交渉の進め方・弁護士への相談タイミングの3点に分けて解説します。
払い渋りが起きやすい理由と保険会社の主な反論
相手の主張の構造を事前に把握しておくことが、適切に反論するための第一歩です。
- 旅行キャンセル料は交通事故との因果関係が証明されていない
- 治療の必要性はあったが、旅行を控える必要性は医学的に認められない
- キャンセル料は損害として認められる範囲外である
これらの主張は、被害者側が適切な証拠をそろえることで反論できる余地があります。請求が認められるためには、相当因果関係の存在が鍵になります。
- 事故日と旅行の出発予定日の時系列が一致していること
- 受傷の程度から旅行への参加が困難だったことを医学的に説明できること
- 実際にキャンセル料が発生していることを書類で証明できること
「控える必要がない」という反論には、主治医に「旅行への参加が困難だった」旨を記載した意見書や診断書を作成してもらうことが対抗策になるでしょう。
「損害として認められない」という反論には、過去の裁判例が有効です。入院・安静期間中にキャンセル料が発生したケースで、積極損害と認められた事例を根拠に反論しましょう。

拒否・減額された場合の交渉のポイント
交渉の進め方によって、最終的な受け取り額が変わる可能性があります。
- STEP1:拒否・減額の理由を書面で確認する
- STEP2:証拠書類を補完し、異議申し立てを行う
- STEP3:解決しない場合は、第三者機関・ADR・訴訟を検討する
口頭で「払えない」と言われた場合でも、その理由は必ず書面で確認してください。口頭のやり取りは記録に残りにくく、後の交渉で不利になることがあります。
異議申し立てでは、単に「納得できない」と伝えるだけでは進みません。「診断書の内容から旅行への参加が困難だったことは明白で、相当因果関係が認められる」というように、具体的な根拠を示して反論することが重要です。

弁護士に依頼すべきタイミングと費用特約の活用
特に「弁護士費用特約」を使える状況であれば、費用面のハードルも大きく下がります。
- 保険会社から書面で拒否回答が届いた時点
- 交渉を重ねても回答が変わらない場合
- 弁護士費用特約が付帯していて、相談料・着手金・報酬金の多くをカバーできる場合
弁護士費用特約とは、自動車保険や一部の火災保険・クレジットカード付帯保険などに含まれる特約で、交通事故に関する弁護士費用を保険会社が負担してくれる仕組みです。まず、自分が加入している保険に特約が付帯しているかを、約款や保険証券で確認しましょう。
弁護士が介入すると、保険会社との交渉の力関係が変わります。法的根拠にもとづく主張が明確に伝わり、保険会社が対応を見直すケースは実務でも報告されています。


交通事故と旅行キャンセル料に関するよくある質問
費用の請求が認められるのか、手続きをどう進めればよいのか、判断に迷う方は少なくありません。ご自身のケースと照らし合わせながら確認してみてください。
旅行のキャンセル料は交通事故の積極損害に含まれますか?
旅行のキャンセル料は、交通事故による積極損害として認められる費用です。積極損害とは、事故によって実際に支出を余儀なくされた費用のこと。旅行のキャンセル料は、その典型例にあたります。
裁判例でも、相当因果関係が認められた場合に、キャンセル料を損害と判断した事例は少なくありません。請求にあたっては、領収書や予約状況を示す書類など、損害の発生を裏づける証拠を保全しておくことが重要です。くわしくは交通事故による旅行キャンセル料は損害賠償として請求できるをご覧ください。

物損事故でも旅行キャンセル料を請求できますか?
物損事故のみの場合、旅行キャンセル料の請求は一般的に難しいとされています。身体への損害が生じていないため、旅行キャンセルとの相当因果関係が認められにくいためです。
損害賠償が認められるには事故と損害の間に法的なつながりが必要で、物損のみではその立証が難しい場面が少なくありません。ただし、事故の状況や旅行の目的によっては例外的に認められる余地もあるため、自己判断で諦める前に、請求が認められやすいケースと認められにくいケースも確認してみてください。

交通事故でコンサートやライブのチケット代も請求できますか?
相当因果関係が認められれば、コンサートやライブのチケット代も損害として請求できる可能性があります。負傷が原因でイベントに参加できなくなった場合も、旅行キャンセル費用と同じように扱われるためです。
実際に、チケット代の返金不可部分が損害賠償の対象と認められたケースも少なくありません。ただし、可否は受傷の程度やキャンセルの必要性など個別の事情で変わるため、購入証明やキャンセル不可を示す書類を整理しておきましょう。判断の考え方は請求が認められやすいケースと認められにくいケースが参考になります。

保険会社が旅行キャンセル料の支払いを拒否した場合はどうすればよいですか?
保険会社が支払いを拒否した場合は、まず拒否理由を書面で確認することが重要です。口頭の説明だけでは根拠が不明確になりやすいため、書面での交付を求めてください。
示談が成立する前であれば交渉の余地が残っている場合があるため、早めの対応が望ましいです。弁護士費用特約が付いていれば相談・依頼費用を保険でまかなえるケースもあります。保険会社がキャンセル料の支払いを拒否・渋った場合の対処法もあわせてご覧ください。

キャンセル料の領収書をなくした場合でも請求できますか?
領収書を紛失した場合でも、適切な代替書類があれば請求できる可能性があります。まずは旅行会社やホテルに連絡し、領収書の再発行を依頼してみましょう。
予約情報が残っていれば再発行に応じてもらえることが多く、難しい場合でも予約確認書や銀行の振込記録などで代替できるケースがあります。
認められるかどうかは相手方保険会社や交渉状況によって異なるため、必要な書類については旅行キャンセル料の請求手順と必要書類も確認してみてください。

まとめ
交通事故が原因で旅行をキャンセルした場合、そのキャンセル料は「積極損害」として加害者側に請求できます。ポイントは、事故とキャンセルの間に相当因果関係があるといえるかどうか。入院や安静指示といった医学的な理由を書面で残しておくことが、請求を通すうえで大きな支えになります。
- 旅行キャンセル料は「積極損害」として、慰謝料とは別に請求できる
- 認められるかどうかは、事故とキャンセルの「相当因果関係」で決まる
- 診断書・キャンセル料の領収書など、証拠書類を早めにそろえておく
- 示談前に請求項目へ明記し、迷ったら弁護士へ相談する
キャンセル料の請求は、正しい知識と書類さえそろえれば、決して難しいものではありません。一人で抱え込まず、交通事故にくわしい弁護士へ早めに相談することが、正当な補償を受け取る近道となるでしょう。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
▶︎柔軟な料金設定
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