「全身打撲で後遺症が残ったら、慰謝料はいくらもらえるの?」
「保険会社から提示された金額が安い気がするけれど、これが相場なの?」
これは自賠責基準の14級32万円・12級94万円と比べて3倍前後の水準。
入通院慰謝料や逸失利益を加えれば、総額はさらに大きくなります。
- 後遺障害慰謝料は認定された等級で決まり、弁護士基準なら14級110万円・12級290万円が目安
- 同じ等級でも自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準で金額が大きく変わる
- 慰謝料以外に、逸失利益・休業損害・治療費なども請求できる
- 症状固定前の示談や通院の中断は、慰謝料を取りこぼす原因になる
保険会社との示談で損をしないための注意点も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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この記事の目次
全身打撲の後遺症で受け取れる慰謝料はいくらか【等級別の相場】
全身打撲の後遺症で受け取れる慰謝料は、認定された後遺障害等級と、使われる算定基準の2点でほぼ決まります。
- 後遺障害等級:14級9号・12級13号など、認定された等級
- 算定基準:自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準のどれで計算するか
- 通院期間と収入:入通院慰謝料・休業損害・逸失利益に反映される
逆にいえば、この3つを押さえておけば、提示された金額が適正かどうかを自分で判断できるようになります。
ここでは、等級別の後遺障害慰謝料・通院期間別の入通院慰謝料・その他の賠償項目・総額のシミュレーションを順に見ていきましょう。
後遺障害慰謝料の相場は14級110万円・12級290万円(弁護士基準)
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる精神的な苦痛に対する補償のこと。
金額は等級ごとに水準が決まっており、同じ等級でもどの基準で計算するかで大きく変わります。
| 後遺障害等級 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
|---|---|---|
| 14級9号 | 32万円 | 110万円 |
| 12級13号 | 94万円 | 290万円 |
自賠責基準は法律で定められた最低限の補償水準で、任意保険基準は各保険会社が独自に設定したもの。
これに対して弁護士基準(裁判基準)は、過去の裁判例の積み重ねから導かれた水準です。
保険会社が最初に提示してくるのは自賠責基準や任意保険基準に近い金額で、14級なら約78万円、12級なら約196万円の開きが生じます。
提示額が110万円・290万円を大きく下回っているなら、増額の余地を疑ってみてください。

入通院慰謝料は通院期間で決まる|弁護士基準の月別早見表
入通院慰謝料は、けがの治療で通院・入院した期間に応じて支払われる慰謝料のこと。
後遺障害慰謝料とは別枠で請求できるため、両方を合わせて受け取れます。
弁護士基準では、打撲やむち打ちなどの軽傷型と、骨折を伴う通常傷害型で表が分かれています。
| 通院期間 | 軽傷型(打撲・むち打ち等) | 通常傷害型(骨折等) |
|---|---|---|
| 1か月 | 19万円 | 28万円 |
| 2か月 | 36万円 | 52万円 |
| 3か月 | 53万円 | 73万円 |
| 4か月 | 67万円 | 90万円 |
| 5か月 | 79万円 | 105万円 |
| 6か月 | 89万円 | 116万円 |
全身打撲だけなら軽傷型、骨折や靭帯損傷を伴えば通常傷害型で計算されるのが一般的。
また、自賠責保険の傷害部分には120万円という限度額があり、治療費と慰謝料の合計がこの枠を超えた分は任意保険会社との交渉になります。

慰謝料以外に請求できる4つの賠償項目
交通事故の賠償金は、慰謝料だけではありません。
- 後遺障害逸失利益:後遺症で将来的に失われる収入への補償。労働能力喪失率は14級9号で5%・12級13号で14%
- 休業損害:仕事を休んだ期間の減収分。自賠責基準では1日あたり6,100円
- 治療費:通院・入院・リハビリにかかった費用全般
- 通院交通費:通院のために実際にかかった交通費
このうち金額が大きくなりやすいのは後遺障害逸失利益で、年収・年齢・労働能力喪失率をもとに計算されます。
休業損害は給与所得者だけでなく、自営業者・主婦・学生も対象になる場合があります。
「働いていないから請求できない」と思い込まないでください。

全身打撲で14級・12級が認定された場合の総額シミュレーション
等級ごとの金額を積み上げると、受け取れる総額のイメージがつかめます。
後遺障害慰謝料:110万円
後遺障害逸失利益:114万4,925円
→ 後遺障害部分の合計:224万4,925円
■ 12級13号に認定されたケース
後遺障害慰謝料:290万円
後遺障害逸失利益:597万1,140円
→ 後遺障害部分の合計:887万1,140円
※年齢・年収・喪失期間によって大きく変動します
上記は後遺障害部分だけの金額で、ここに入通院慰謝料・休業損害・治療費が加算されます。
実際の解決事例では、全身打撲で14級9号が認定されたケースの賠償額が311万1,108円。
首・肩・背中・腰部の打撲で併合14級となったケースでは、総額320万円で解決しています。
14級と12級では、後遺障害部分だけで600万円以上の差。
等級ひとつの違いが、受け取れる総額を大きく左右します。

慰謝料額を左右する後遺障害等級|全身打撲で認定されやすい等級
慰謝料の金額は、後遺障害等級が認定されるかどうかで大きく変わります。
- 後遺症と後遺障害は意味が異なり、慰謝料の対象になるのは後遺障害だけ
- 全身打撲で多いのは14級9号と12級13号
- 14級と12級の分かれ目は他覚的所見の有無
- 複数の部位に症状が残れば「併合」で等級が上がることもある
自分の症状がどの等級に近いのかを知っておけば、提示額の妥当性も判断しやすくなるでしょう。
後遺症と後遺障害の違い|慰謝料の対象になるのはどちらか
後遺症は医学的な概念で、治療を続けても症状が残った状態のこと。
一方の後遺障害は、自賠責保険の基準にもとづいて等級が認定された障害を指します。
後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できるのは、等級が認定された場合だけです。
- 症状を医学的に証明または説明できること
- 症状固定後も症状が残っていること
- 等級認定基準(1〜14級)のいずれかに該当すること
痛みやしびれが続いていても、損害保険料率算出機構の審査を通らなければ、法律上の後遺障害には当たりません。
まずは自分の症状が等級の基準に届きそうかを確認しましょう。

全身打撲で認定されやすい等級と対応する症状
全身打撲は広範囲の損傷をまとめた診断名のため、等級は部位ごとに評価されます。
| 等級 | 対応する主な症状の例 |
|---|---|
| 14級9号 | 局部に神経症状を残すもの(しびれ・痛みが続くが、画像などの他覚的所見が乏しい) |
| 12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの(MRIなどで症状を裏づける所見がある) |
| 12級5号 | 鎖骨・肋骨などに変形が残るもの |
| 8〜10級 | 関節の機能障害が残るもの(可動域制限が計測で証明される) |
複数の部位に症状が残った場合は、それぞれの等級を組み合わせる「併合」で評価されることも。
認定の可否を分けるのは、症状を画像や検査結果として客観的に記録できているかという点。
「痛い」という訴えだけでは認定は難しく、検査データと診断書の記載が不可欠です。

14級9号と12級13号の分かれ目は他覚的所見の有無
14級9号と12級13号では、慰謝料が110万円と290万円で180万円の差。
この2つを分けるのは「他覚的所見があるかどうか」という一点です。
- 14級9号:しびれや痛みが続いているが、画像検査で明確な異常が確認できない。症状の一貫性と通院の継続が重視される
- 12級13号:MRIや神経学的検査で症状を裏づける所見が確認できる。頸椎の椎間板損傷や神経根の圧迫などが典型例
逸失利益に使う労働能力喪失率も、14級9号は5%・12級13号は14%と3倍近い差があります。
慰謝料と逸失利益を合わせれば、両者の開きは600万円以上に広がることも。
痛みやしびれが強い、範囲が広い、日常動作に支障が出ているといった状況が続くなら、精密検査の受診を主治医に相談してみてください。

むち打ちや複数部位を合併している場合の等級
全身打撲にむち打ち(頸椎捻挫)が合併しているケースは少なくありません。
この場合、むち打ちの症状に対する等級が別途評価されます。
頸部・腰部・肩など複数の部位に神経症状が残れば、併合14級のように複数の等級を合わせた認定になることも。
実際の解決事例でも、首・肩・背中・腰部の打撲で併合14級が認定され、総額320万円で解決したケースがあります。
部位ごとに症状を分けて記録・申告しておくことが、取りこぼしを防ぐ鍵。

慰謝料を取りこぼさない後遺障害認定の準備と申請手順
慰謝料を適正に受け取るには、後遺障害等級の認定を正しく取ることが前提になります。
- 症状固定の時期を決めるのは医師であり、保険会社ではない
- 申請方法は「事前認定」と「被害者請求」の2種類。提出書類の質が結果を左右する
- 通院頻度は症状の継続を示す証拠になり、認定結果に直接影響する
ここでは、症状固定の判断・申請方法の選び方・必要書類・通院の進め方を順に解説します。
症状固定の時期はいつか|保険会社の打診に従う義務はない
症状固定とは、これ以上治療を続けても改善が見込めないと医師が判断する時点のこと。
この時点で残っている症状が、後遺障害として評価されます。
ただし、症状固定を判断するのは医師であり、保険会社の打診に従う義務はありません。
全身打撲は「打撲だから1か月」と形式的に扱われやすく、実際の症状と目安が合わないことも少なくないもの。
まだ改善の途上なら、主治医に現状を正直に伝え、治療継続の必要性を確認してください。

事前認定と被害者請求の違い|どちらを選ぶべきか
申請方法は2種類あり、書類を誰が集めて提出するかが違います。
| 比較項目 | 事前認定 | 被害者請求 |
|---|---|---|
| 手続きの主体 | 相手方の任意保険会社が代行 | 被害者自身が自賠責保険会社へ直接申請 |
| 書類収集の手間 | 少ない | 多い |
| 提出書類の確認 | 被害者側が把握しにくい | 自分で内容を選定・追加できる |
| 保険金の受け取り | 示談成立後にまとめて受け取る | 自賠責分を先行して受け取れる |
事前認定は手間が少ない反面、審査に有利な資料が漏れていても気づけません。
被害者請求は手間がかかるものの、提出内容を自分で確認でき、自賠責分を先に受け取れる点も生活面の助けになるでしょう。
他覚的所見が乏しく証拠を積み上げたいケースでは、被害者請求のほうが有利になりやすい傾向。
迷う場合は、弁護士の無料相談で自分の状況を伝えてから決めても遅くはありません。

申請に必要な書類と検査(後遺障害診断書・MRI・レントゲン)
提出書類の内容が、そのまま審査の判断材料になります。
- 後遺障害診断書(症状固定後に主治医が作成)
- 診療報酬明細書・診断書(通院実績の証明)
- MRI・レントゲン・CT画像(フィルムまたはCD-ROM)
- 交通事故証明書・事故発生状況報告書
このうち後遺障害診断書は最も重要な書類です。
残存症状の程度・部位・他覚所見が具体的に書かれていなければ、審査で正しく評価されません。
- 痛みやしびれが続いている部位と程度
- 日常生活や仕事にどのような支障が出ているか
- 症状が天候や姿勢によって変化するかどうか
記載に不足があれば、医師に補記を依頼することもできます。
MRIは軟部組織の損傷確認に有用で、レントゲンは骨折や変形の確認に使われるもの。
症状が出ている部位に対応した検査を受けているか、必ず確認してください。

通院頻度は週2〜3回が目安|整骨院だけの通院は避ける
通院頻度は、症状の継続と治療の必要性を示す客観的な証拠になります。
審査では診療報酬明細書の通院日数も確認され、通院が少ないと「症状が軽微だった」と判断されるリスクがあります。
- 頻度の目安は週2〜3回(3日に1回程度)。週2回を下回ると通院期間の修正を主張されやすい
- 整骨院だけでは画像検査や後遺障害診断書の作成ができないため、整形外科の診察を並行する
- 医師の指示のない過剰な通院は「漫然治療」として減額されるおそれがある
特にむち打ちや打撲は画像に異常が写りにくいため、通院の継続実績が症状の裏づけになるもの。
一方で、慰謝料を増やす目的だけの毎日通院は逆効果。
医師の指示に沿った頻度で、症状固定まで途切れさせないことを優先しましょう。

全身打撲で後遺症が残りやすい症状と経過の目安
全身打撲は、衝突の衝撃が体の複数箇所に分散して損傷が生じた状態です。
外見上の傷が軽くても、筋肉・靭帯・神経などに損傷が及んでいることも少なくありません。
- しびれや痛みなどの神経症状
- 関節の可動域制限・拘縮
- むち打ちや内臓損傷などの合併損傷
どの症状が残りやすいかを知っておくと、通院や記録の優先順位もはっきりします。
神経症状(しびれ・痛み)が残るケース
神経症状は、全身打撲の後遺症として最も多く報告される症状。
しびれや痛みが受傷後2〜3週間以上続いている場合、後遺障害の審査で評価の対象になり得ます。
- 手足や体幹のしびれ・感覚の鈍さが続く
- 安静にしていても痛みが抜けない「常時痛」
- 特定の動作や姿勢で痛みが強まる「誘発痛」
審査では、他覚的所見と自覚症状の一貫性の両方が重視されます。
しびれは、自分から伝えないとカルテに残りません。
毎回の診察で部位と強さを具体的に伝えておきましょう。

関節の可動域制限・拘縮が残るケース
関節の動きが狭くなる「可動域制限」や、筋肉・腱が硬くなる「拘縮」も残りやすい後遺症。
腕が上がらない、膝が曲がりきらないという状態が続けば、仕事や家事への影響は避けられません。
後遺障害の評価では、可動域を角度計で測り、健側(反対側の関節)と比較して判断するのが原則。
定期的に測定を受け、その数値を診断書に記録してもらうことが認定の根拠になります。
安静を続けすぎると癒着で動きが狭まり、無理に動かせば炎症が再燃するもの。
整形外科医や理学療法士の指導のもとで、段階的に進めてください。

見落とされやすい合併損傷(むち打ち・内臓損傷など)
全身打撲では、他の損傷が同時に生じていることがあります。
- むち打ち症(頸椎捻挫):頭痛・首の痛み・手のしびれが続く
- 内臓損傷:腹部への衝撃で肝臓・脾臓・腎臓などが損傷し、外傷がなくても内出血が起きていることがある
- 肋骨骨折・胸骨損傷:呼吸時の痛みとして現れやすい
- コンパートメント症候群・外傷性骨化性筋炎:打撲後に生じることのある重篤な合併症
これらは初診時の診察だけでは見落とされることも少なくありません。
事故直後に痛みが軽いのは、アドレナリンで痛覚が一時的に鈍っているためで、数日後に症状が強まるケースも多いもの。
首の張りや腹部の違和感があれば、MRIなどの精密検査を自分から希望してかまいません。
気になる症状は、遠慮なく主治医に伝えましょう。

全身打撲の慰謝料が減る・もらえなくなる4つのパターンと対処法
全身打撲は「軽傷」と見なされやすく、慰謝料を取りこぼしやすい類型のひとつ。
- 症状固定前に示談してしまう
- 治療費を打ち切られて通院をやめてしまう
- 保険会社の言い分をそのまま受け入れてしまう
- 等級が「非該当」のまま終わってしまう
いずれも、事前に知っていれば避けられるものばかりです。
ここでは4つのパターンと、それぞれの対処法を確認しておきましょう。
症状固定前に示談してしまう|清算条項に注意
症状固定前に示談すると、後遺障害慰謝料を受け取れなくなるおそれがあります。
示談書には通常「清算条項」が入っており、署名すると原則として追加請求ができません。
免責証書や承諾書への署名・押印も、示談に応じる意思表示として扱われるもの。
保険会社の示談提案は、後遺障害の有無が確定する前に届くケースも少なくありません。
サインを求められたら、まず等級認定の手続きを終えてから交渉に入るのが本来の順番。
迷ったら、署名前に弁護士へ確認してください。

治療費を打ち切られて通院をやめてしまう
治療費の打ち切りは、保険会社が一括対応をやめるという通告にすぎません。
治療の必要性が続いているなら、打ち切り後も通院を続けられます。
- STEP1:主治医に治療継続の必要性を確認し、症状固定の時期を相談する
- STEP2:健康保険を使う場合は「第三者行為による傷病届」を提出する
- STEP3:自費で立て替えた治療費は、示談交渉であらためて請求する
ここで通院をやめてしまうと、慰謝料が減るだけでなく後遺障害の認定も難しくなります。
打ち切りと症状固定は別のものと考えてください。

保険会社の言い分をそのまま受け入れてしまう
打撲は画像に異常が出にくいため、保険会社から症状を軽く扱われやすい傾向。
- 「打撲だけなんだから、仕事や家事に大きな支障はなかったでしょう」
- 「痛みがあったなんてどこにも書いていない」
- 「この日以降の治療は余分でしょう」
こうした主張への反論材料になるのが、カルテ・診療報酬明細書・日常生活の記録です。
「どこにも書いていない」と言われないためにも、毎回の診察で症状を口頭で伝え、記録に残してもらいましょう。
家事や仕事にどう支障が出たかを、日付とともにメモしておくことも有効。

等級が「非該当」で終わってしまう
後遺障害の申請結果に納得できない場合、異議申立てで再審査を求められます。
回数の制限はなく、新しい資料を追加して再度審査を受けられる仕組み。
非該当の理由が「症状を裏づける所見がない」ことなら、追加の画像検査や専門医の意見書が有効な補強材料になります。
逆に、同じ資料をそのまま出し直すだけでは結果は変わりません。
非該当でも入通院慰謝料・治療費・休業損害は請求できるので、すべてを諦めないでください。

弁護士に相談するタイミングと費用の目安
弁護士への相談は、示談交渉が始まってからでなくてもかまいません。
- 提示された示談金が適正かどうかを専門家の目で判断してもらえる
- 弁護士基準での増額交渉を任せられる
- 後遺障害の申請や異議申立てをサポートしてもらえる
- 弁護士費用特約があれば、自己負担ゼロで依頼できるケースもある
全身打撲は症状が目に見えにくく、交渉で不利になりやすい類型。
早い段階で相談するほど、通院の進め方や診断書の記載についても助言を受けられます。
弁護士相談が特に有効なケース
迷っている段階でも、次のような状況なら相談を優先して検討しましょう。
- 後遺障害等級が「非該当」または想定より低い等級で認定された
- 提示された示談金が低く、根拠の説明が不十分に感じる
- 症状固定後も痛みやしびれが残っており、今後の補償範囲が見えない
- 治療費の打ち切りを打診されている
弁護士が入れば、医療記録・通院履歴・日常生活への影響を整理し、症状の存在と程度を裏づける主張を組み立ててもらえます。
非該当と判定されたケースでも、意見書や追加検査を補強することで異議申立てが通ることも。
- 症状固定前:通院の方針や後遺障害診断書の記載内容について助言をもらえる
- 症状固定後:等級認定の結果や示談金の妥当性を評価してもらえる
どちらの段階でも、早めに動くほど選択肢は広がるでしょう。

弁護士費用特約の使い方と使えないケース
弁護士費用特約とは、弁護士費用や法律相談料を保険会社が負担してくれる特約のこと。
一般的な上限は弁護士費用300万円・法律相談料10万円で、全身打撲の案件なら上限内に収まるケースが多くなります。
- STEP1:手元の保険証券の「特約一覧」欄を確認する
- STEP2:保険会社のカスタマーセンターに付帯の有無を問い合わせる
- STEP3:使っても等級が下がらないか(ノーカウント事故扱いの有無)も併せて確認する
特約は自動車保険だけでなく、火災保険やクレジットカードに付帯していることもあります。
付いていない場合も、着手金ゼロ・完全成功報酬型を採用している事務所は少なくありません。
初回相談を無料にしている窓口も多いため、まずは費用をかけずに確認してみてください。

交通事故による全身打撲の後遺症と慰謝料について、よくある質問と回答
治療中や示談交渉では、判断に迷う場面が次々に出てきます。
ここでは、全身打撲の後遺症と慰謝料について特に多い疑問にお答えします。
ご自身の状況を整理する参考にしてみてください。
全身打撲の慰謝料は最低でもいくらもらえますか?
後遺障害が残らない場合でも、通院期間に応じた入通院慰謝料は請求できます。
弁護士基準の軽傷型なら、通院1か月で19万円・3か月で53万円・6か月で89万円が目安。
自賠責基準では日額4,300円に対象日数を掛けて計算され、対象日数は「治療期間」と「実通院日数×2」の短い方が使われます。
そのため、通院回数が少ないと金額は大きく目減りするもの。
治療費や休業損害も別途請求できるので、慰謝料だけで判断しないでください。

保険会社から提示された慰謝料が相場より安いか、どう見分けますか?
後遺障害14級で110万円・12級で290万円を下回っていれば、弁護士基準ではない可能性が高いといえます。
自賠責基準の後遺障害慰謝料は14級32万円・12級94万円。
提示額がこの水準に近いなら、増額の余地は大きいでしょう。
ただし示談書には、どの基準で計算したかが明示されないことも少なくありません。
署名前に、内訳を書面で示すよう求めてみてください。

全身打撲で歩ける状態でも後遺症が残ることはありますか?
歩ける状態であっても、全身打撲で後遺症が残るケースはあります。
外見上の傷が軽くても、神経・筋肉・関節などの内部組織が損傷していることがあるためです。
歩行できるかどうかと、内部損傷の深刻さは一致しません。
事故直後は痛みが軽く感じられても、数日後に強まることも多いもの。
「歩けるから大丈夫」と受診を先延ばしにしないでください。

打撲の痛みはどのくらいで治りますか?いつまで続くと後遺症になりますか?
軽度の打撲は1〜2週間で軽快することが多く、保険会社の目安(DMK136)でも打撲は1か月とされています。
しかし、1か月以上痛みが続く場合は後遺症・後遺障害の可能性を視野に入れましょう。
後遺障害の判断の起点になるのが、症状固定という考え方。
これ以上治療しても改善が見込めない状態を指し、打撲ではおおむね3〜6か月が目安とされることが多いようです。
目安と実際の症状が合わないことも多いため、自己判断で通院をやめないでください。

後遺障害等級が認定されなかった場合、慰謝料はもらえませんか?
等級が認定されなくても、入通院慰謝料などの請求は可能です。
等級認定は、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求するための要件にすぎません。
治療期間中の入通院慰謝料・治療費・休業損害は、等級とは切り離して判断される損害項目。
結果に納得できない場合は、異議申立てで再審査を求める道も残っています。
すべてを諦める必要はありません。

保険会社から示談を勧められていますが、今サインしても大丈夫ですか?
症状固定前の示談は、後遺障害の補償を受け取れなくなるリスクがあります。
示談書の清算条項に署名すると、原則として後から追加請求はできません。
治療が続いている段階や、等級認定の結果が出る前の署名は避けましょう。
示談提案が届くのは、症状固定から数週間〜数か月後が一般的。
急かされても、まずは弁護士に内容を確認してもらってください。

まとめ
全身打撲の後遺症で受け取れる後遺障害慰謝料は、弁護士基準で14級110万円前後・12級290万円前後が目安です。
自賠責基準の32万円・94万円とは3倍前後の差があり、逸失利益を加えれば14級と12級の間に600万円以上の開きが生じることも。
認定の分かれ目になるのは、症状を裏づける他覚的所見と、通院記録に表れる症状の一貫性の2点。
通院は週2〜3回を目安に途切れさせず、症状は毎回の診察で具体的に伝えてカルテに残してもらいましょう。
特に注意したいのが症状固定前の示談と、治療費打ち切りをきっかけにした通院の中断です。
提示額が相場を下回っていないか、弁護士費用特約が使えるかも含めて、あまた法律事務所へお気軽にご相談ください。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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