インターネットの誹謗中傷を削除できる?
ネット上の書き込みは該当するWebサイトの運営者や検索エンジンの運営会社に削除請求を行うことで削除が可能な場合があります。
ネット上に書かれた誹謗中傷や名誉毀損の書き込みは、放っておくと検索エンジンにページが認知されてしまい、閲覧する人が増えて拡散してしまう可能性があるため、なるべく早く削除することが望ましいといえます(もっとも、慰謝料請求もしたいという場合は異なる対応が必要となります。)。
削除方法には以下のものがあります。
- サイト運営者への削除請求
- 検索サイトへの削除請求
それぞれについて説明していきます。
サイト運営会社に削除を求める
誹謗中傷が書き込まれたサイトやSNSの運営会社に削除依頼する方法です。
書き込みを削除したいと思ったとき、最も一般的なやり方です。管理者の連絡先に問い合わせるか、サイトによっては削除用の連絡フォームが設けられています。費用もかかりませんし、早ければ数日以内に対応してくれるサイトもあります。
ですが、削除するか否かが運営者の判断に委ねられるため、依頼しても削除してもらえなかったり、サイトによっては連絡もないまま放置されてしまうこともあります。
また、書き込みのどこにどのような問題があるのか、あなた自身の文章でサイト運営者に理解してもらう必要があります。
検索サイトに削除を求める
Google、Yahooなどネットの閲覧で使用する検索エンジンに検索結果を削除してもらい、悪質な書き込みが他人の目に触れないようにする方法です。
一般の人がWebページを閲覧するときは、検索エンジンからの流入が大半を占めていますので、検索結果に表示されなければ見られることもなく、事実上、書き込みが存在していないのと同じ状態にできます。
Googleの場合は削除リクエストのページは以下のURLになります。
>> Google からコンテンツを削除する
暴力的なものや性的表現、特定の集団に対して差別的なコンテンツなどのGoogleのポリシーに批判するサイトや書き込みに対して削除依頼を行えます。
また、Googleでは以下のフォームから、検索時に表示されるサジェストに対しても削除申請を実施できます。
>> 法律に基づく削除に関する問題を報告する
ただ、サイトに削除を求める場合と同じく、申し立てを行っても必ず削除されるとは限りません。
また、この方法はあくまでも検索結果だけに対してのもので、書き込みそのものをWeb上から削除できるわけではありません。Google自身も、まずはサイト運営者への削除依頼を推奨しています。
誹謗中傷を削除依頼したいときはどうすればいい?
次に、ネット上の投稿を削除する具体的な方法を解説します。一口に削除依頼といっても、誰がどのように行うかで削除される可能性が変わってきます。
削除依頼の対象は書き込みかアカウントか?
まずはなにを削除してもらうかを決めます。特定の書き込みが削除依頼の対象となることはもちろんですが、Twitterやフェイスブック、YouTubeなどにおいては、悪質な投稿を繰り返すアカウントそのものに対して削除依頼することもできます。
依頼方法は書き込みの場合と同じで、各サイトの報告用フォームを利用して特定のアカウントから誹謗中傷の被害を受けている旨を伝えます。
誰が削除依頼を行うか
削除請求を行えるのは基本的に本人か、本人から依頼を受けた弁護士だけです。削除依頼自体は自分自身でも行えますが、弁護士に相談することでより削除できる可能性が高くなります。
弁護士の助けを借りることで裁判所に削除仮処分を求める法的手続きもとりやすくなります。
また、任意での削除依頼の場合でも、弁護士の名前で依頼することにより、サイト運営者に与える説得力・インパクトが強まるため、放置されるリスクが低くなり、管理者が削除に応じる可能性も高くなります。
悪質な削除代行業者に注意
現在、削除を代行するサービスも登場していますが、こうしたサービスにはご注意ください。IT企業のなかには、有料でWeb上の書き込みの削除を代行するサービスを行っている会社があります。
ですが、こうした削除代行サービスに対しては、弁護士でない者が報酬を目的として法律事務を行う非弁行為であるという判決が出されています。
したがって、こうしたサービスを行っている会社は、弁護士法に抵触しない範囲での業務しか行えないため、たとえばサイト運営者等に対する有効な削除請求の方法である、仮処分を代理して行うことなどができません。
また、なかにはきちんと仕事をしないで料金だけを取るような悪質な業者も混ざっています。削除の代行は、信頼のおける弁護士など法律の専門家に依頼されることをおすすめします。
投稿の削除にはどのくらいの期間がかかる?
依頼を行ってから、実際に投稿が削除されるまでにはどれくらいの時間がかかるのでしょうか。
任意の削除依頼の場合
サイト運営者に連絡して任意での削除を求める場合は、サイトや運営者によって対応速度はバラバラです。数日ですぐに削除してもらえるサイトもあれば、いつまでも放置されたまま、連絡さえこない場合もあります。
ガイドラインによる削除依頼の場合
一般社団法人テレコムサービス協会では、ネット上の違法情報に対する削除依頼のガイドラインを作成しており、誹謗中傷の書き込みをされた場合、これに沿ってサイト運営者やプロバイダに送信防止措置依頼を行うことができます。
依頼者はまず、サイト運営者やプロバイダに依頼者を送付します。
管理者・プロバイダは本人からの依頼かどうか確認を行った後、それをもとに投稿者に削除しても良いかどうか、反論などがないかを尋ねます。なにもなければ7日以内に書き込みが削除されます。
任意での削除依頼よりは確実といえますが、相手から反論を受けた場合は削除するかどうかサイトやプロバイダが判断することになるため、不確実な部分もあります。
裁判所の仮処分の場合
裁判所に訴えを起こし、法的措置によっても書き込みの削除を請求できます。
投稿の削除の場合、通常の民事訴訟では時間がかかりすぎるため、仮処分の申し立てと呼ばれる方法がとられます。仮処分は民事保全法に基づき裁判所が行う暫定的な措置で、一般的な裁判のように証明までは求められず、裁判官が確からしいと判断できれば処分が命じられます。
仮処分は通常の裁判ほどの時間はかかりませんが、申立から仮処分命令までに2週間~2か月ほどかかります。
一番早く削除できる方法は?
まとめると、削除されるまでの期間が最も早いのは、サイト運営者がすぐに対応してくれた場合で、数日で削除されることもあります。
次が、7日で結論の出るガイドラインに基づく削除依頼で、1番時間がかかるのは削除仮処分の2週間~2か月になります。
誹謗中傷の削除には費用がかかる?
削除請求は自分1人でやるよりも、弁護士に依頼するほうがよいということがわかりましたが、弁護士に依頼する場合、やはり気になるのがいくらくらいの費用がかかるかというでしょう。
弁護士への相談の場合、1時間あたりの相談料10000円~が相場ですが、なかには初回無料の弁護士事務所もあるので、いろいろな事務所のHPなどを事前に確認しておくことをおすすめします。
正式な依頼になると、着手金・成功報酬等の料金が発生します。こちらも事務所によって料金が異なりますが、サイトへの任意での削除依頼では5~10万円、削除仮処分では30万~50万円が相場です。
報酬金額に関しては依頼内容によっても異なりますから、まずは弁護士に相談して今後どのような対応がとれるのか、どれくらいの費用がかかるのか聞いてみるのがいいでしょう。
まとめ
ネットやSNSで書き込みによる誹謗中傷の被害を受けたときには、削除依頼が可能です。
自分自身でサイト運営者に依頼することもできますが、法律の専門家である弁護士に依頼して、弁護士の名前で削除請求したり、裁判所に削除仮処分の申立をするほうが確実性はより高くなります。
弁護士に依頼すると費用はかかりますが、初回相談無料の事務所もありますので、まずは相談するところからはじめてみてはいかがでしょうか。