
債務整理には様々な種類があり、その内容も債務の状況によって適した選択が異なります。
自己破産と聞くとネガティブな印象を持つ方もいるかもしれませんが、今後の経済状況を立て直していくにあたって強い味方になる選択肢でもあります。
しかしもちろんリスクも存在するので、個人で自己破産を検討される方は、メリットとデメリットの両方を把握しておくことが重要になります。
個人が行う自己破産のメリット・デメリットとは?
まず最初に、個人が行う自己破産の「個人」とはどのような範疇を指すのかについて説明していきます。
自己破産は株式会社などの法人はもちろん、個人事業主でも手続きを行うことが可能です。
ここでは、個人事業主や自営業者を含む法人ではない者を「個人」と表現します。サラリーマンや主婦も「個人」に当たります。
また、法人が自己破産の手続きを行うことを「法人破産」呼びます。
自己破産は原則的に財産を処分するケースが多くなりますが、どの程度財産を所有しているかによって内容や費用が変わります。
よって、個人と法人では、そういった観点からも内容が異なるということが言えます。
自己破産のメリット
自己破産を行う最大のメリットは、免責が認められれば借金の支払い義務が法的に無くなるということです。
そして、個人と法人ではその手続きの期間や費用が変わってきます。
法人の場合は、必ず「管財事件」という手続きになります。
管財事件では「破産管財人」が選任されるので、破産管財人への報酬を支払う必要があります。
加えて、
・約3ヶ月の期間は送られてくる郵便物が破産管財人の所に転送されてしまう
・債権者集会にも出席する必要がある
など、さまざまな負担が生じることになります。
一方で、個人の自己破産の場合はその負担が軽くなる可能性が非常に高いことが言えます。
個人破産の約7割は、費用も手間も最も少ない「同時廃止事件」という手続きになると言われています。なお、残りの約3割は「管財事件」となります。

自己破産のデメリット
しかし、もちろん反対に懸念点も存在します。
自己破産を行ううえでのデメリットは、
・財産を手放す
・家族や親族にも影響が出る場合がある
・ブラックリストに載る
・官報に個人情報が載る
・一定期間は就けない職業がある
・保証人に迷惑がかかる
などが挙げられます。
財産に関しては、「自由財産」以外は原則的に処分の対象となります。この「自由財産」とは、手続き後に生活を送るうえで、必要最低限とみなされる資産のことを指します。家や車などの財産を所有している個人は、手放さなければいけないケースが多くあります。
もし持ち家を手放すことになれば、同じ家に住んでいる家族に影響が出てしまうことは必至です。共有財産も処分の対象となります。多くの場合は引っ越しが必要になるため、学区が変わって子供は転向を余儀なくされてしまうかもしれません。
また、もし親族が連帯保証人になっている場合は、その親族にも請求の連絡が行くなど、家族・親族への影響は少なからず発生します。
さらにはブラックリストに掲載されることは有名かもしれません。これは、事故情報として扱われることになり、現金の借入や、新規のクレジットカード発行などが認められないという制限がかかります。一方で、官報へ掲載されるということは知らなかった方もいるのではないでしょうか。
官報とは、簡単に言うと国が発信している新聞のような媒体のことです。この官報に、自己破産を行った旨の個人情報が掲載されることになります。
また、就けない職業が一定期間発生するということもデメリットの一つになりえます。これは、貸金業、建築業、生命保険の営業、警備業など、一部の職種で一定期間の業務が認められない制限が発生します。
元々これらの業種に就いていた場合は、休職の申請を出して自己破産の手続きが終わるのを待つか、制限とは関係のない業種に転職をする必要があります。
そして、保証人に迷惑がかかるという部分もネックになる点の一つです。自己破産を行うと、そのタイミングで保証人のもとに借金の返済請求通知が届きます。他の人に影響を及ぼすことなく、当事者のみで手続きを完全に終わらせるのはほぼ不可能と言ってよいでしょう。

自己破産の手続き
実は、自己破産の手続きに関しては、弁護士に依頼せずに進めることも可能ではあります。
しかし、手続きの中身は複雑な法律の専門知識が必要で、書類の訂正や裁判所に出頭する回数が必要以上に増えてしまうなどのリスクがあります。
また、債権者側から残金の一括返済を求められることもあり得るため、手続きは弁護士へ依頼するケースが圧倒的に多いと言えます。
弁護士へ依頼した場合は、相談から免責認定まで包括的なサポートを受けることが可能です。また、自己破産を行うことには確かにメリットも存在しますが、場合によっては自己破産をせずとも借金問題を解決できるケースもあります。
これは、債務整理には自己破産の他にも、任意整理や個人再生などの手続きが存在するためです。弁護士に現在の借金状況を相談すれば、どの債務整理が最適であるかについても検討してもらうことが可能です。

他の債務整理との違い
自己破産には大きなメリットもありますが、リスクも多く存在することをお伝えしました。一方で、任意整理や個人再生は自己破産に比べてメリットもデメリットも内容が異なります。

任意整理とは
任意整理とは、和解成立後は原則的に元金のみを返済できるよう、利息の発生がないようにしてくれる手続きのことです。
借金全ての法的支払い義務を無くしてしまう自己破産とは違い、任意整理は毎月着実に借金の返済を行って完済を目指します。
裁判所を介する必要が無いなど、自己破産に比べて手続きの手間は少なく、原則的に保証人を設ける必要がないことが利点として挙げられます。
また、「官報に掲載される」「一定期間は就けない職業がある」などのデメリットも存在しません。
一方で、任意整理は少額になっても毎月の返済が発生するため、和解成立後も安定した収入が必要となります。また、大幅な元金の減額という観点では自己破産に比べて効果は低くなってしまいます。

個人再生とは
個人再生は、裁判所を通して借金を減額させることができる手続きです。国が認めた借金救済制度の1つであり、自己破産と同じく裁判所を介する必要があります。
しかし、自己破産と大きくことなる点は、住宅ローンのある住宅を失わずに手続きが可能ということです。また、減額の幅も、借金が100万円以上500万円未満の場合は個人再生後の借金は100万円に、現在の借金が500万円以上1500万円未満の場合は個人再生後の借金は5分の1にまで減らすことが可能など、任意整理と比べると借金の大きな減額が魅力的な手続きです。
一方でデメリットとしては、自己破産と同じく官報に載ってしまうこと、保証人に迷惑がかかってしまうことがなどが挙げられます。
また、手続きを完了するまでに任意整理よりは時間が必要になることや、借金総額が5,000万円以下でないと、手続きを行うことができないという制限の厳しさもあります。
自己破産を検討するなら弁護士へ相談しよう
このように、様々な債務状況によってそれぞれ適切な手続きは異なり、その判断をするには専門的な見地が必要になります。本当は個人再生でも十分に借金問題の解決は可能なのに、知らずにリスクの大きい自己破産の手続きを始めてしまった、ということもケースとしては十分にあり得ることです。
借金問題の相談は弁護士の他に、司法書士に依頼をするという手段もあります。費用は事務所ごとで費用が異なりますが、一般的な相場は、弁護士よりも少し安くなることが多いというメリットがあります。
しかし、弁護士は自己破産手続きのほとんどを代理で行ってくれるのに対し、司法書士は文書作成業務のみの代行と定められています。従って、司法書士に依頼した場合は、裁判所での面接や債権者集会などについて対応してもらうことができません。
また、管財事件として手続きが進められた場合、弁護士であれば管財事件を「少額管財」というケースに持ち込んで費用を下げることが可能ですが、司法書士にはその権限が存在しません。

このようなことから、自分に合った手続きはどのようなものになるかを知るためには、弁護士へ相談することが得策と言えます。
無料相談を行っている弁護士事務所であれば、相談料が発生せずに借金問題のサポートを始めることが可能です。
どの手続きが適していて、どの程度費用がかかり、どんな効果があるのか。それは今後の人生を大きく左右する情報になるので、借金問題にお困りの方はぜひ一度弁護士へ相談することをおすすめします。
まとめ
この記事では、個人で自己破産をした場合のメリットとデメリット、そして自己破産以外の手続きで借金問題を解決できる可能性について解説してきました。
自己破産は現在抱えている借金の法的な支払い義務が清算されるという魅力がありますが、自己破産を選択しなくても借金問題は解決できるケースもあります。それは任意整理や個人再生などといった手続きですが、どの選択が効率的になるかの判断は難しく、弁護士に相談してアドバイスをもらうことが得策と言えます。
それぞれに合った解決策を導き出してくれるので、無料相談を行っている弁護士を頼るという選択肢をおすすめします。

一人だけで根本的な解決をすることは非常に難しく、精神的にも疲弊が大きいため、ぜひこの機会に無料相談を利用してみてください。