労働問題は、さまざまなものがあります。2019年流行語大賞には「#KuToo」がノミネートされましたが、パンプスやヒールを履くことを止めるための抗議も行われています。このように、セクハラやパワハラ、不当解雇や残業代の未払いの他にも、労働問題はさまざまなものがあるのです。
ここでは、世界と日本の労働問題の現状について、2019年労働問題ニュースを上げて解説します。
労働問題とは
労働問題は、労働者であれば誰でも直面する可能性がある問題です。後述しますが、労働問題はさまざまなものがあり、不当解雇という生活の基盤である職を失うような切迫した問題から、パワハラやセクハラなどの職場環境に関する問題など、幅広く存在します。
[労働問題の種類]
・解雇や退職の問題
・賃金などの雇用契約の問題
・人事異動の問題
・懲戒処分の問題
・労災の問題
・労働条件に関する問題
・性差別やセクハラ等の問題
・派遣労働の問題
・社会保険の問題
・会社倒産に関する問題
2019年度の日本の労働問題ニュース
2019年の日本の労働問題ニュースとして、次のようなものが話題に上がっています。
東京五輪建設現場の過重労働問題
2020年東京五輪・パラリンピックを巡り、関連施設の建設現場の労働環境に過重労働などの問題があるとして、労働組合の国際組織が大会組織委員会や東京都、日本スポーツ振興センターに対して改善を求める報告書を送りました。
過重労働などの実態が指摘されており、「惨事につながらないように対策をとるべきだ」と話し合いを重ねている現状です。
(引用元:朝日新聞デジタル)
働き方改革の適用外問題
2019年から働き方改革が始まり、残業時間が大幅に減少しました。しかし、働き方改革の適用外の管理職などが業務過多となっている現状で、肉体的にも精神的にも病んでしまう人が続出しています。
このような背景があるため、管理職になりたいと思う人の割合は、アジア太平洋の14か国中で最低という結果にもつながっています。管理職の働き方改革の適用外問題は、今後も大きな波紋を呼ぶことになるでしょう。
(引用元:PRESIDENT)
パンプス・ヒールの強制問題
2019年度の流行語大賞にノミネートされた「#KuToo」は、靴と苦痛を合わせた造語です。女性の社会進出が増えてきており、職場におけるパンプス・ヒール着用の強制問題は注目されました。実際に、外反母趾の手術までしてヒールを履いて働いていた女性もいます。
女性は健康を害してまでパンプス・ヒールを履き続けなければいけないのかという抗議が始まりました。現在も労働組合を結成し、パンプスを履くことを強制する風習を無くしたいという抗議活動が行われています。
(引用元:朝日新聞)
ウーバーイーツの労働問題
2019年にアメリカから日本に上陸した飲食宅配代行サービス「ウーバーイーツ」の配達員が、労働組合の結成に向けた準備をしています。
自転車やバイクで配達する配達員は、個人事業主という立場でウーバーと契約しており、同社と雇用関係にはない状態です。そのため、労災や雇用保険の対象にはならず、配達中に事故に巻き込まれても、治療費などが自己負担になってしまう状態です。このような運営を改善すべく、配達員が労働組合を結成し抗議する準備が開始されています。
(引用元:朝日新聞)
林業の定着率の問題
2018年に出入国管理法の改正が行われて、2019年4月から施行されました。新たな在留資格である「特定技能」の外国人労働者は、人手不足の問題を改善する大きなキーパーソンとなっています。
外国人労働者に頼らざる得なくなってしまったのは、林業の新規就業者の定着率の悪さです。約50%の方が5年以内の離職するのが林業界の事実なのです。待遇面の悪さや、待遇に見合わない重労働、休暇が不定期であることや、事故率の高さも高い。このような背景から、林業を希望する方が減っているのです。
日本人の新規就業者を獲得するためにも、定着率を上げる施策を打たなければいけないということが問題視されています。
(引用元:Yahooニュース)
2019年度の世界の労働問題ニュース
2019年の日本の労働問題ニュースとして、次のようなものが話題に上がっています。
欧州トレーダーの長時間労働問題
仮想通貨などが話題になるのと比例して、海外のトレーダーらの「心の健康と幸福」を心配する声が相次いでいます。実際にトレーダー達が集まり、株式市場などでの取引時間の短縮を求める活動がされています。
取引時間を90分短縮すれば、トレーダーの労働環境を改善するばかりではなく、取引が凝縮されて市場の効率化が促せると欧州金融市場協会(AFME)と英国投資協会(IA)がロンドン証券取引所グループ(LSE)おとび他の欧州の取引所への書簡で論じました。
(引用元:Bloomberg)
下請け業者の過重労働問題
韓国のサムスンはコストパフォーマンスが良いとして、火の鳥が飛ぶように業績を上げている企業です。このような巨大企業グループは、コスト削減と雇用の柔軟性向上のため、下請け企業や非正規労働者への依存度がますます高くなっています。しかし、下請け企業や非正規労働者に対する、労働現場での事故に関しては何も保証されていません。
韓国政府は、企業や当局者に対する処罰が甘いため、労働災害に防止する取り組みが進んでいないのです。このような背景から、韓国では過重労働問題に対して訴訟手続きが進められています。
(引用元:朝日新聞)
人口増加による雇用問題
毎年、オーストラリアの人口と同じ数の2500万人の赤ちゃんが生まれる国、それがインドです。世界第2位の人口大国であるインドの出生率は、日本の25倍以上にもなります。当然、総人口に占める若年層の割合も多く、インドの平均年齢は27歳。
しかし、人口が増え続けるため、なかなか職を見つけることができない若者が増えています。2019年時点で、およそ1500万人の若者が職を求めている現状です。
また、仕事は奪い合いになっている現状で、終身雇用制度というものがないインドでは、不当解雇などの問題も相次いで発生しています。
インド政府は雇用創出に奔走をしていますが、格差社会は拡大する一方で、生活を不安視する生活者も一定数いるのが課題となっています。
(引用元:WEDGE Infinity)
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労働問題の解決方法
労働問題について解説をしてきましたが、これらの問題を解決する方法は下記の通りです。
労働基準監督署等の役所を利用する
労働基準監督署の利用料が無料という点はメリットですが、法律違反の問題しか対応することができず、対応できる範囲が狭いという点はデメリットです。
「残業代が支払われない…」「解雇予告手当が支払われない…」「仕事中にケガをしたのに労災隠しをされている…」というような労働基準法違反に関しては、労働基準監督署で対応してもらえます。
労働組合に参加して、団体交渉や争議を行う
労働組合は、労働者同士で助け合う組織をいいます。会社から独立して組合を結成しており、働く上でのトラブルを解決するところです。
一般的に上場企業などには労働組合があり、日本国内では会社ごとに労働組合が結成されるのが主流です。これまで、企業別労働組合は、正社員しか加入できない場合が多く、また、中小企業では労働組合がありませんでしたが、職場や雇用形態に関わらず、産業や業種、地域ごとに作る個人加盟の合同労働組合も作られました。
労働組合に参加して、企業と話し合いで労働問題を解決していきます。どうしても、話し合いで折り合いがつかない場合は、労働組合は必要に応じて「争議」を行います。
弁護士等に相談する
不当解雇やセクハラ門愛など、さまざまな相談に乗ってくれるのは弁護士です。弁護士は、依頼者の利益を第一優先に考えて、代理人として会社側と交渉してくれます。そのため、企業側と直接顔を合わせなくて済みます。
まとめ
この記事では、2019年で話題に上がっている労働問題のニュースをご紹介しました。今回、ご紹介した労働問題の他にも、さまざまなものがあります。労働者である以上、いつ労働問題に巻き込まれるか分かりません。そのため、労働問題に関する正しい知識を身に付けておきましょう。
もし、労働問題に悩んでしまった場合は、1人で悩まずに労働基準監督署や労働組合などを利用してみてください。