不動産詐欺は、詐欺事件の中でも被害額が特に大きいものが多く、他の詐欺と違って、怪しいと疑うことなく被害者になってしまう方が多いのが特徴です。
不動産詐欺の種類や手口、詐欺の被害に遭ってしまった時の対応方法についてまとめた記事になります。
不動産詐欺とは?
不動産詐欺は大きく分けて二つあります。
一つは自分の所有している不動産物件の売却に関しての詐欺です。
これは不動産を好条件で売却すると近づいてきた詐欺師に売却を任せてしまい、土地を騙し取られてしまうものです。
もう一つは、不動産投資に関しての詐欺です。
この土地は価格が上がると言われて投資したものの、土地の価格が上がって利益が出るどころか投資した金額の全てを騙し取られてしまうものです。
不動産詐欺の2パターン
■価格が上がると言われて投資しが、投資した金額の全てを騙し取られてしまう
不動産詐欺の種類と手口
不動産詐欺にはどのようなものがあるのか?詐欺の種類と手口について説明します。
不動産登記詐欺とは
所有している不動産は法務局で登記されています。売却の際に、登記されている名義を売る側から買う側に変更することで、不動産の売買が完了します。
不動産登記詐欺は、所有者に無断で登記の名義変更を行い、不動産を騙し取ってしまう詐欺です。
手口
売買の代金と引き換えに登記の名義変更に必要な書類(権利証や印鑑証明)などを渡すのが不動産売買の基本となりますが、登記詐欺を狙った詐欺業者は、売買代金を売主に支払いする前に、理由をつけて必要書類を求めてきます。
必要書類があれば、売り主本人ではなくても名義変更が可能になるため、勝手に不動産の名義を書き換えてしまいます。名義を変更した後は、代金を支払わず逃げてしまうので、登記詐欺の被害者は、自分の土地をタダで騙し取られることになります。
登記詐欺に遭ってしまった時は既に、土地が詐欺業者から第三者に転売されてしまっていることが多く、元の売り主が第三者に対して土地の所有権を主張することは非常に難しく、騙し取られたお金が戻ってくるケースはほぼありません。
地面師
他人の土地や建物の所有者になりすまし、本当の所有者の許可がないまま無断で不動産を売却したり、土地を担保に入れたりして土地の売買代金を騙し取ったり、金融機関からの借入金を手に入れる詐欺行為です。
2017年には大手ハウスメーカーの「積水ハウス」が地面師の詐欺被害に遭い、60億円を超える巨額な被害を出したことが大きく報道され、地面師という言葉もよく知られるものになりました。
手口
登記詐欺のように、売り主から登記に必要な書類を騙し取る方法の他にも、印鑑証明などの必要書類を偽造して本人になりすますという手口もあります。被害者は地面師に土地の購入代金を支払いますが、代金と引き換えに渡された書類が偽物であるので、登記名義の変更を行うことができずに、購入代金だけを騙し取られてしまいます。
おとり広告詐欺
実際には存在しない不動産や、所持しているけれども売却するつもりのない不動産を広告に掲載し、購入希望者に対して別の不動産の購入をすすめる手口です。
手口
DMやポスティング、インターネットで公開している販売物件の情報に架空の不動産を販売する宣伝を掲載し、購入希望者からの問い合わせがあったときには、
「その物件はすでに成約済み」
などと話し、別の物件の購入をすすめます。
購入者にとっては、希望の不動産の購入はできないものの、他の物件を購入するため、金銭的な被害は発生しないと思われていますが、条件がよくなく販売が難しいような物件を売るためにおとり広告を出しているケースが多く、購入した後に価格に見合っていない取引だと気づくことが多いです。
架空の物件を広告に掲載するだけではなく、販売するつもりのない所有物件を掲載していることもあるので、宅建業法に違反している手口ではありながら、摘発は難しいです。
原野商法
原野商法とは1960年~1980年に多く見られた不動産詐欺。郊外にある山林や原野など価値のない土地をこれから土地価格が上がるなどと騙して高額で売りつけます。
手口
かなり昔から見られた詐欺手口ですが、未だに被害が出ています。対象になる土地は、都市の中心部から遠く離れていて交通の利便性も悪いものですが
「これから高速道路が通る計画がある」
「新幹線が開通する予定がある」
「オリンピックの施設を建設する予定がある」
等、土地を購入して保有しているだけで数年後には価格が暴騰するような言葉で購入者を騙します。
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海外土地投資詐欺
土地の価格が安い東南アジア諸国での土地購入をすすめ、投資金を支払わせるが、現地の土地は建物が建てられない場所などが多く、購入後の売却もできないものなので、投資したお金を騙し取られてしまう。
手口
原野商法に似ている手口ですが、購入する土地が海外の土地であるため、購入者が与えられる情報が少ないことや東南アジアなどの開発途上国の土地が対象になることが多いので、価格が安く、日本の土地を購入するよりも投資として大きな利益が期待できると騙してきます。
不動産詐欺に遭わないために注意するポイント
不動産取引や投資を行う時に注意すべきポイントについて説明します。
業者の言ってることを鵜呑みにしない
不動産取引でのセールストークでは
「現在は価格の低い土地だけれども、将来的には数十倍の価格になる」
このように、相手の購入意欲を煽るような誇大表現が多く使われます。
気を付けなければならないのは、業者が話している内容を鵜呑みにするのではなく、話していることが事実かどうか裏付けを取ってから購入を検討することです。
「この情報は私達だけしか知らない情報だから」
このような言葉で、情報の価値を高めるようなことを言うことも多いですが、新幹線の開通や、高速道路の開通の予定があれば、情報を入手しているのがその不動産業者だけというのは怪しすぎます。
取引業者が正規業者か調査する
自分の大切な資産の取引を業者に任せるときには、業者から渡された名刺だけで相手を信用するのではなく、正規業者であるかどうかのチェックも行いましょう。
1.宅建免許の確認
土地や建物などの不動産を取引する業者は、宅地建物取引主任者の資格を持っていなければいけません。渡された名刺に宅建の免許番号が記載されていなければ、その業者は正規の業者ではなく、詐欺業者である可能性が非常に高くなります。
詐欺業者は嘘の宅建の免許番号を使うこともありますので、名刺や渡された書類に記載されている宅建番号が正規なものであるかどうか確認してください。
免許番号がわからない場合でも、業者名から確認することができますので、国土交通省の検索システムを利用してみてください。
国土交通省宅建免許検索システム
2.土地の相場の確認
自分の土地を売却する時に、交通の利便性が悪いとか、環境が悪いなどと指摘して、価格を下げてくる業者に騙されないためには、自分の土地の価値がどのくらいのものなのか?相場を調査したり、他の不動産業者からも話を聞いて適正な相場を把握することが必要です。
海外不動産投資の場合は、正確な情報を把握しにくいという点があります。ネットなどで調査しても安全な投資かどうか判断しかねる場合は購入検討をやめるのが無難かもしれません。
3.大事な書類は絶対に先に渡さない
詐欺業者は、様々な理由をつけて代金を支払う前に、登記名義の変更に必要な書類を手に入れようとします。先に書類を渡してしまうと、勝手に名義を変更されて第三者に売買される可能性があり、売却された後に土地の所有権を主張することも、土地の代金を第三者から受け取ることも非常に難しくなります。
不動産詐欺の被害に遭ったときの対応方法
騙されてしまったらどうしたらいいか?対応方法を紹介します。
国民生活センターに相談する
国民生活センターは消費者問題全般の相談を受け付けています。
不動産詐欺も消費者問題になりますので、騙された場合はアドバイスを受けることが可能です。無料で相談ができるのは大きなメリットですが、国民生活センターができるのは和解の仲介と仲裁になり、相手が和解案に従わない場合や、和解の意思がなく交渉に応じない場合でも強制的な措置を取ることができません。
弁護士に相談する
不動産問題や詐欺問題に強い弁護士事務所に相談するのが、お金を取り戻すために期待できる方法です。弁護士費用はかかりますが、不動産詐欺の被害金額は高額なため、弁護士費用を支払ってでも、お金を取り戻したいという人は多いのではないでしょうか?
弁護士に依頼した場合は、最初は相手との交渉で返金を目指しますが、交渉が無理な場合は訴訟を起こして、相手の資産を差し押さえるなどの強制的な措置も取ることが可能なので、絶対にお金を取り戻したい場合は、弁護士事務所の無料相談などを利用してお金を取り戻す方法についてアドバイスを受けてみてください。
まとめ
バブルの崩壊などの例外はありますが、不動産は安定した資産の一つです。
そのため、不動産詐欺の被害に遭う方は老後の資産のために購入したり、売却して騙された高齢者の方も多く見られます。
こちらも冷静な交渉のできる弁護士に依頼して相手に対抗して大事なお金を取り戻すのが大切ではないでしょうか?