「個人再生と自己破産は、何がどう違うの?」
「自宅を残したまま、借金だけを整理できない?」
個人再生と自己破産は、いずれも裁判所を通じて借金問題を解決する法的手続きであり、返済が困難な状態に陥った際に利用できる債務整理の選択肢です。
両者に共通するのは「借金を減らす・なくす」という目的。一方で、自宅を残せるかどうか、財産の処分範囲、手続き後の生活への影響といった点では大きく異なります。
- 自宅を手放さずに済む可能性があるのは個人再生のみ
- 自己破産は借金を原則全額免除できるが、一定以上の財産は処分対象になる
- 職業制限・費用・手続き期間にも、両者で明確な差がある
どちらを選ぶべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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この記事の目次
個人再生と自己破産の基本的な違い
「もう返済が限界かもしれない」と感じたとき、多くの方が最初に直面するのが「個人再生」と「自己破産」という二つの選択肢です。「破産」という言葉に強い抵抗感を持つ方も多いですが、どちらも法律に基づいた正式な債務整理の方法です。
- 個人再生:借金を大幅に減らしたうえで、残額を返済し続ける手続き
- 自己破産:一定の財産を手放す代わりに、返済義務そのものをなくす手続き
- 自宅:残せるかどうかは、どちらを選ぶかによって大きく変わる
- 判断軸:適しているのはどちらかは、収入・財産・借金の額によって異なる
ここではまず、両者の基本的な概要と、制度上のスペックを比較します。
個人再生:借金を減額して返済を続ける手続き
返済義務そのものはなくなりませんが、自宅などの財産を手元に残せる可能性があります。最大の特徴は、住宅ローンに関する特則(住宅資金特別条項)が設けられている点。
- 住宅ローンが残っていること
- 住宅ローンの返済を継続できる収入があること
- 自宅が住宅ローン以外の担保に入っていないこと
これらを満たせば、住宅ローンの返済を続けながら他の借金だけを圧縮することができます。「家だけは残したい」という方にとって、個人再生が選択肢に入る大きな理由はここにあります。
一方で、手続きを利用するには継続的な収入があることが前提条件。減額後の借金を返済し続けられる経済的な基盤がなければ、裁判所に認可されません。

自己破産:返済義務をなくす手続き
免責許可決定が下りた時点で、借金はゼロになります。その代わり、一定額以上の財産は原則として処分(換価)され、債権者への配当に充てられます。
自宅・自動車・預貯金など、一定の基準を超える財産は手元に残せないのが基本的な扱い。ただし、生活に必要な最低限の財産(差押禁止財産)は手元に残すことができます。
収入がない、あるいは収入があっても返済の見込みが立たない場合は、自己破産が現実的な選択肢となるでしょう。個人再生と異なり、継続的な収入がなくても申し立て自体は可能です。
- 弁護士・司法書士
- 宅地建物取引士
- 警備員

制度の基本スペックを比較する
| 比較項目 | 個人再生 | 自己破産 |
|---|---|---|
| 借金の扱い | 大幅に減額(返済は続く) | 原則すべて免除 |
| 自宅の扱い | 条件次第で維持できる | 原則として手放す |
| 収入の要件 | 継続的な収入が必要 | 収入がなくても申し立て可能 |
| 資格・職業への制限 | 原則なし | 手続き中は一部制限あり |
| 手続きの複雑さ | 比較的複雑 | 個人再生より手続きが少ない場合が多い |
| 信用情報への影響 | 一定期間、記録される | 一定期間、記録される |
信用情報(いわゆるブラックリスト)への登録は、どちらの手続きでも発生します。登録期間の目安は概ね5年〜10年程度(信用情報機関によって異なります)で、この期間中は新たなローンやクレジットカードの利用が難しくなる点は共通のデメリット。
- 個人再生:継続的な収入がある/自宅を残したい/資格・職業への影響を避けたい
- 自己破産:収入がない、または返済の見込みが立たない/自宅にこだわらない/一刻も早く返済義務をなくしたい
これはあくまで大まかな目安であり、実際には借金の総額・財産の内容・家族構成など、個別の事情によって判断が変わります。無料相談窓口(法テラスや各弁護士会・司法書士会が設けているものなど)を利用すれば、費用をかけずに専門家の見解を聞くことができます。

債務整理の全体像と3つの手続きの位置づけ
個人再生と自己破産の違いを理解するには、まず「債務整理」という大きな枠組みを把握しておくことが近道です。債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産という大きく3種類の手続きがあります。
- 裁判所を使うかどうか
- 財産への影響がどこまで及ぶか
- どの範囲の負債を整理できるか
この3つは、負担の軽減幅が大きくなるほど、求められる条件や手続きの工程数も増える構造になっています。自分の状況がどの手続きに当てはまるかを把握することが、選択の第一歩です。
任意整理:裁判所を使わず交渉する方法
対象とする借入先を自分で選べる点が最大の特徴です。
- 将来発生する利息のカット
- 返済期間の延長(分割回数の増加)
- 過払い金がある場合の返還請求
裁判所を使わないため手続きの公示(官報掲載など)の影響が小さく、特定の借入先だけを対象にできます。たとえば、住宅ローンは除外して消費者金融だけを整理するといった柔軟な対応も可能です。

3つの手続きの大まかな使い分け
- 任意整理:返済は続けられるが利息が重い/特定の借入先だけ整理したい場合
- 個人再生:収入はあるが負債総額が大きく、自宅を残したい場合
- 自己破産:収入がなく返済の見通しが立たない/財産をほぼ保有していない場合
| 手続き | 裁判所 | 元本減額 | 自宅の維持 | 収入の要否 | 資格・職業制限 |
|---|---|---|---|---|---|
| 任意整理 | 不要 | 原則なし | 可能 | 必要 | なし |
| 個人再生 | 必要 | 可能 | 条件付きで可 | 必要 | なし |
| 自己破産 | 必要 | 全額免除 | 原則困難 | 不要 | 手続き中は一部あり |
個人再生は負債を法律で定められた割合まで圧縮したうえで分割返済する手続きで、最大で元本の5分の1程度まで減額されるケースもあります。実際の減額幅は負債総額・財産状況・収入によって変わり、継続的な収入があることが条件。
自己破産は返済義務そのものを免除(免責)してもらう手続きですが、自宅・車・一定額を超える預貯金など、一定以上の財産は処分の対象になります。「自宅を残せるかどうか」が、両者の最大の分岐点です。
どの手続きが自分の状況に合っているかは、負債総額・毎月の収入・保有している財産の種類と金額によって変わります。判断に迷う場合は、弁護士や司法書士への無料相談で見立てを聞くことも選択肢のひとつです。

自宅・財産への影響の違い
個人再生と自己破産で最も大きく結果が変わるのが、自宅や財産の扱いです。「自宅を守れるかどうか」は、手続き選択の最重要ポイントです。
- 個人再生は「住宅ローン特則」を使えば自宅を手放さずに済む可能性がある
- 自己破産は原則として一定額を超える財産が処分される
- ただし自己破産でも「自由財産」として手元に残せるものがある
- 家族名義の財産や連帯保証人への影響は、両手続きで異なる
家族への影響も含めて把握しておくことで、後悔のない判断ができます。ここでは、財産への影響を4つの観点から比較します。
個人再生:住宅ローン特則を使えば自宅を残せる
- 対象の不動産が「自分の居住用住宅」であること
- 住宅ローンの債権者が抵当権を設定していること
- 住宅ローン以外の借金(カードローン等)を対象に再生計画を立てること
この特則を使うと、住宅ローンだけは従来どおり返済を続けながら、それ以外の借金を大幅に圧縮できます。たとえば住宅ローンを除いた借金が500万円あった場合、再生計画によって100万円程度まで圧縮し、残額を3〜5年で分割返済するという形が典型的。
見落とされやすいのが「返済継続の前提」です。あくまで住宅ローンを今後も払い続けながら他の借金を圧縮する制度のため、手続き後も毎月のローン返済を続けられる安定した収入が必要になります。
- 住宅ローンが配偶者との連帯債務になっている場合
- マンションの管理費・修繕積立金を長期間滞納している場合
- 住宅ローン以外の抵当権(例:事業用の担保)が自宅に設定されている場合
収入が不安定な状況では、特則を利用できても返済が続かず、結果的に自宅を失うリスクが残ります。自宅を残したい場合は、滞納が始まる前など早い段階で専門家に相談してください。

自己破産:原則として財産は処分される
自宅についても、住宅ローンが残っている場合は原則として手放すことになります。
- 現金は99万円を超える部分
- 預貯金・有価証券・保険の解約返戻金なども、一定額を超えると処分対象
- 自動車は査定額が20万円前後を超えると処分対象になるケースが多い(管轄の裁判所や状況によって異なる)
自宅が処分される流れとしては、まず破産管財人が不動産を売却し、その代金を住宅ローンの残債や他の債権者への弁済に充てます。売却後に住宅ローンが残っても、免責決定を受ければその残債も含めて支払い義務もなくなるのです。
つまり自宅は失うものの、借金の帳消しという面では自己破産の効果は大きいといえるでしょう。免責決定後は、賃貸住宅を借りることも法律上は可能です。

手放さずに済む財産の範囲(自由財産)
- 現金99万円以下(破産法で明記されている基準)
- 生活必需品(衣類・家具・家電など)
- 差押禁止財産(給与の4分の3相当額など、法律で保護されているもの)
個人再生の場合は、そもそも財産の処分を前提としていないため、自由財産という概念は登場しません。ただし、再生計画を立てる際には「清算価値保障原則」というルールがあります。
これは、「もし自己破産をしていたら債権者が回収できた金額」以上を、再生計画の返済総額に含めなければならないというルールです。

家族名義の財産と連帯保証人への影響
- 名義は家族だが、実質的に本人の財産とみなされる可能性がある場合(例:本人が購入資金を出した家族名義の不動産)
- 直近で家族に財産を移した場合(否認権の行使対象になる可能性がある)
連帯保証人への影響については、両手続きの間で誤解が生じやすい点があります。どちらの手続きでも、本人の借金が整理されても連帯保証人の保証債務はそのまま残るという点は共通。
両者の差は「本人が返済を続けるかどうか」にあります。個人再生では本人が圧縮後の借金を返済し続けるため、保証人への請求が発生するかどうかは返済状況次第。
一方、自己破産では本人の返済義務が免除されるため、保証人に対して債権者が全額を請求する可能性が高まります。

資格制限と仕事への影響
手続き中に仕事や資格に影響が出るかどうかは、多くの方が気にする点です。現職や就きたい職業が制限対象かどうかによって、どちらの手続きを選ぶかの判断が変わることもあります。
- 自己破産は手続きが終わるまでの一定期間、一部の職業・資格に就けない制限がある
- 個人再生には資格制限がなく、仕事への影響はほとんどない
- 自己破産の制限は「免責許可決定の確定」で解除されるが、免責不許可の場合は解除されないことがある
- 影響の有無は職種によって異なるため、事前の確認が重要
ここでは、制限の内容・期間・解除のタイミングを順に解説します。
自己破産の手続き中に制限される職業・資格
この制限は「破産法」に基づくもので、破産手続き中の期間に限定されます。
- 弁護士・司法書士・税理士・公認会計士などの士業
- 生命保険募集人・損害保険代理店などの保険関連業
- 警備員・警備業の認定を受けた者
- 宅地建物取引士(宅建士)
- 後見人・保佐人などの法定代理人
一般的なサラリーマンや会社員・パート・アルバイトの方は、この制限の対象外です。工場勤務・飲食店スタッフ・事務職・ITエンジニアといった職種にも影響は及びません。
ただし、勤務先の就業規則に「破産申立て中は解雇または異動の対象とする」といった規定がある場合は、別途確認が必要。こうした規定を設けている企業は実務上それほど多くないとされていますが、金融機関や士業法人など、コンプライアンスへの対応が厳しい業種では存在する場合があります。

個人再生に資格制限はない
手続き中も現職を続けられ、資格を要する仕事にも影響は及びません。士業や保険業・宅建士など、自己破産では一時的に制限される職種であっても、個人再生なら手続き中も業務を継続できます。
これは、個人再生が「財産を清算せずに返済計画を立て直す手続き」であり、破産法上の制限が適用されないためです。ただし個人再生でも信用情報には記録が残るため、金融機関の審査や一部の職種の採用選考において影響が出る可能性はあります。
採用選考への影響が生じやすいとされる職種の例としては、銀行・信用金庫などの金融機関や、資産管理を扱う職種が挙げられます。

制限が解除されるタイミング
免責許可決定が確定するまでの期間は、申立てから一般的に3〜6か月程度が目安とされています。ただし、財産の状況や債権者との関係によって異なるため、一律に「〇か月で終わる」とは言い切れません。
制限が解除された後は、制限対象だった職業・資格への復帰が可能になります。たとえば破産申立て前から宅建士として働いていた方であれば、免責確定後に業務へ戻ることができます。
制限期間中に対象職種の業務ができないことは生活や収入に直結するため、手続きのスケジュールや制限の範囲を事前に把握したうえで判断しましょう。

手続き中の日常生活への影響
手続き中の生活にどのような制約が生じるかは、多くの方が気になるポイントです。制約の内容と期間を事前に把握しておけば、仕事や家族への影響を最小限に抑えた準備ができます。
- 自己破産では手続き期間中、一部の職業・資格に就けなくなる制限がある
- 個人再生は職業制限がなく、生活への制約は比較的少ない
- どちらも手続き完了後は制約が解除され、通常の生活に戻れる
ここでは、自己破産と個人再生それぞれの手続き中に生じる制約を具体的に解説します。
自己破産の手続き中に生じる一時的な制約
いずれも手続き期間中の制約であり、免責決定が下りれば原則として解除されます。
- 同時廃止事件(財産がほとんどない場合):申立てから免責決定まで3か月前後
- 管財事件(財産の調査が必要な場合):6か月から1年程度
制限される職種は限られており、会社員・公務員・医師・教員・飲食業・製造業など多くの職種は対象外です。勤務先への通知義務も法律上は定められていないため、職場に知られずに手続きを進めるケースも少なくありません。
居住・移動については、裁判所の許可なく長期の転居や海外渡航が制限される場合があります。これは管財人が財産を適切に管理するための措置であり、国内での日常的な移動まで制限されるわけではありません。

個人再生の手続き中の生活への影響
- 職業・資格の制限:なし
- 居住・移動の制限:なし
- 返済:申立て後から一時停止し、再生計画認可後に再開
- 家計管理:収支の記録・報告が求められる場合がある
手続き期間は申立てから再生計画の認可まで、一般的に6か月から1年程度かかります。その間も給与の受け取りや日常の買い物、旅行などは通常どおり行えます。
住宅ローンのある方がとくに気にされるのが、「手続き中の住宅ローン返済はどうなるのか」という点でしょう。個人再生では住宅資金特別条項を利用することで、住宅ローンの返済を手続き中も継続しながら自宅を維持できる仕組みが設けられています。
住宅ローンだけは他の借金と切り離し、通常どおり返済を続けることになります。この点は、自宅を手放したくないと考えている方が個人再生を選ぶ大きな理由のひとつ。

自己破産後の生活再建について
以前の職業に戻ることも、新たな資格取得を目指すことも制度上は可能です。免責後の生活で注意が必要なのは、主に信用情報の問題。
クレジットカードの新規作成やローンの利用には一定期間の制約が残りますが、日常の現金払いや口座振替による生活には支障がありません。
個人再生は借金を大幅に減額したうえで返済を継続する手続き、自己破産は原則として返済義務そのものを免除する手続きです。どちらを選ぶかよりも、自分の状況に合った選択であるかどうかが重要になります。
弁護士・司法書士への無料相談を活用し、具体的な制約の有無を自分のケースで確認してみてください。

信用情報(ブラックリスト)と官報への影響
個人再生・自己破産のどちらを選ぶにしても、その後のクレジットカード利用やローン審査にどう影響するかは、多くの方が気にされるポイントです。「ブラックリスト」と呼ばれる信用情報への登録は手続きが終われば即座に消えるわけではなく、一定期間が経過するまで残り続けます。
- 信用情報機関への登録期間は、手続きの種類によって異なる
- 登録が残っている間は、新たなクレジットカードやローンの審査が通りにくくなる
- 官報への氏名掲載は、個人再生・自己破産ともに行われる
- 登録期間が明けた後は、原則として審査上の制限は解消される
この影響がいつまで続くのかを把握しておくことは、今後の生活設計を立てるうえで欠かせません。ここでは、それぞれの登録期間と官報掲載の実態について解説します。
個人再生の信用情報への登録期間
起算点は再生計画の認可決定が確定した時点が目安となることが多く、手続き開始から完了までの期間を含めると、制限が実質的に続く期間はやや長くなる場合があります。
- CIC・JICC:5年前後
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC):10年前後
この期間中は、クレジットカードの新規発行や住宅ローン・カーローンの審査が通りにくくなります。ただし登録期間が明ければ信用情報上の制限は原則として解消され、新たな信用取引を始めることが可能です。
個人再生は自己破産と比べて財産を手放す範囲が限定的ですが、信用情報への影響という点では同様に一定期間の制約が生じる点に注意しましょう。

自己破産の信用情報への登録期間
つまり信用情報への影響という観点では両者に大きな差はなく、どちらを選ぶかは財産の有無・収入の状況・自宅の維持希望といった要素で判断するのが現実的です。自己破産では免責決定が確定した時点を起点として登録期間が計算されるため、手続きが長引いた場合はその分だけ制限が続く期間も延びることがあります。
- クレジットカードの新規発行:登録期間中は原則として困難
- 住宅ローン・マイカーローン:同様に審査が通りにくくなる
- 賃貸契約:信用情報を参照しない家主や保証会社の場合は影響しないこともある(個人再生も同様)
自己破産後に「永久にローンが組めない」と思われがちですが、登録期間が経過すれば信用情報上の制約は消えます。新規の金融機関との取引については、登録期間経過後であれば通常の審査基準が適用されるのが一般的。

官報への氏名掲載について
官報は国が発行する公報であり、法律上の義務として掲載が行われます。一般に公開されている情報ではあるものの、日常生活で一般の方が官報を定期的にチェックすることはほとんどありません。
掲載されたからといって、職場や近隣の知人に自動的に知られるわけではありません。一方で、一部の金融機関や信用保証協会などは官報情報を収集・管理しているため、金融取引の場面では影響が生じる可能性があります。
官報情報をデータベース化しているサービスもあるため、検索すれば氏名が表示されるリスクはゼロではありませんが、実際に問題となるのは取引先や知人が意図的に検索した場合が多いとされています。

手続きにかかる費用の目安
個人再生と自己破産では、手続きにかかる費用の水準が大きく異なります。費用の差は手続きの複雑さに比例するもの。
- 個人再生の弁護士費用:50万〜80万円前後が相場
- 自己破産の弁護士費用:30万〜50万円前後が相場
- 裁判所に納める予納金も手続きによって差がある
- 費用が払えない場合は法テラスの立替制度を利用できる
「安い方を選ぶ」という発想では判断を誤りやすいため、自分の状況に合った手続きを選んだうえで費用の調達方法を検討する順序が重要です。ここでは、両手続きの費用の内訳と、費用を抑える方法を解説します。
個人再生の費用の目安
- 弁護士費用:50万〜80万円前後(着手金+報酬)
- 裁判所費用:申立手数料1万〜3万円前後+個人再生委員への報酬(住宅ローン特則を使う場合は25万円前後が目安)
個人再生委員とは裁判所が選任する手続き監督者のことで、弁護士が依頼者に付いていても委員への報酬が別途発生します。とくに住宅ローン特則(マイホームを残す手続き)を利用する場合はこの費用が上乗せされるため、総額が高くなりやすい点を把握しておきましょう。
弁護士に依頼した時点から債権者への返済が一時的にストップするため、その期間に費用を積み立てられる仕組みになっています。この「返済ストップ期間」は一般的に3〜6か月程度が目安で、その間は取り立ても法的に制限されます。

自己破産の費用の目安
- 弁護士費用:30万〜50万円前後(事案の複雑さによって変動)
- 裁判所費用:申立手数料1万〜2万円前後+予納金
予納金は、破産手続きを運営するための費用として裁判所に前払いするものです。財産がほとんどない「同時廃止」の場合は数万円程度で済みます。一方、財産の調査・換価が必要な「管財事件」になると、20万〜50万円前後の予納金が必要になるケースもあります。
- 借金の原因がギャンブルや浪費の場合
- 一定額以上の財産がある場合
- 免責に問題があると裁判所が判断した場合
借金の原因が医療費や失業などやむを得ない事情によるものであれば、同時廃止として扱われる可能性が高まります。自分がどちらに該当しそうかは、弁護士への無料相談で確認するのが確実です。

費用を抑えるための法テラス活用
- 収入・資産が一定水準以下であれば利用できる
- 弁護士費用を法テラスが立て替え、後から月々5,000〜10,000円程度で分割返済する
- 生活保護受給者の場合は返済が免除される場合がある
法テラスが公表している利用条件によると、単身者であれば月収が約20万円以下(手取りベース)であることがひとつの目安とされています。債務整理を検討している多くの方が対象に入りやすい設計です。収入基準は家族構成や居住地によって異なるため、自分が対象かどうかは法テラスの公式サイトや無料相談で確認してください。
- 弁護士を自由に選べないケースがある
- 審査に数週間程度の時間がかかる場合がある
- 立替制度はあくまで「費用の先払い」であり、免除条件に該当しない限り最終的に返済が必要
法テラス以外の方法として、分割払いに対応している事務所を選ぶという選択肢もあります。無料相談の際に「分割払いは可能か」「法テラスは利用できるか」の2点をあわせて確認しておくと、費用面での見通しが立てやすくなります。

状況別の選び方:個人再生と自己破産はどちらが向いているか
どちらが自分に合っているかは、「残したい財産があるか」「一定の収入があるか」「職業上の制約があるか」という3つの軸で整理が可能です。どちらが正解かは一律に決まるものではなく、家族構成・収入・財産・職業など複数の要素が絡み合います。
- 自宅や車など残したい財産がある場合は、個人再生が選択肢になる
- 収入がほぼない、または返済能力が見込めない場合は、自己破産が現実的
- 職業によっては自己破産中に就けない仕事があり、それが判断に影響する
- どちらにも一長一短があり、状況によっては専門家の見立てが必要
ここでは、それぞれの手続きが向いている状況を具体的に整理し、判断の手がかりを示します。
個人再生が向いているケース
自己破産では原則として一定額を超える財産が処分対象になりますが、個人再生では住宅ローン特則を使うことで自宅を維持しながら手続きを進められます。
- 住宅ローンが残っており、自宅を手放したくない
- 安定した収入があり、減額後の返済計画を継続できる見込みがある
- 自己破産による職業制限(士業・警備員・保険外交員など)を避けたい
- 借金の理由を問われずに手続きを進めたい
個人再生では、借金の総額を一定の基準額まで圧縮したうえで、原則3年間で分割返済する計画を裁判所に認可してもらいます。圧縮後の最低返済額は借金の総額に応じた法律上の基準で決まり、たとえば総額100万円未満なら全額、100万円以上500万円未満なら概ね100万円前後が目安。
ただし、保有財産の総額が最低弁済額を上回る場合はその財産額が基準になるなど、個別の事情によって変わります。継続的な収入が前提になるため、フリーランスや自営業者でも収入の安定性が認められれば利用できる場合があります。

自己破産が向いているケース
自己破産は借金をゼロにする手続きであり、返済能力がない状況では最も負担を軽減できる方法です。
- 収入がなく、返済の見込みが立たない
- 借金の総額が、個人再生で圧縮しても返済できない水準にある(個人再生後の最低返済額を毎月の手取りから捻出できないケースが目安)
- 残したい財産が少ない、または財産がほとんどない
- 手続きの費用を抑えたい(個人再生より費用が低くなるケースがある)
免責が認められると、借金の返済義務がなくなります。手続き期間中は弁護士・司法書士・税理士などの士業、警備員、生命保険の外交員など、法律で定められた一部の職業に就けない制限がありますが、免責後はその制限も解除されます。
財産については、生活に最低限必要なものは手元に残せるものの、一定額を超える預貯金や不動産は処分対象。「一定額」の基準は財産の種類によって異なるため、具体的な金額は専門家に確認することをおすすめします。

判断に迷ったら専門家に相談する理由
どちらが適しているかは、収入・財産・職業・借金の原因など、複数の条件を組み合わせて判断する必要があるためです。
- 自分の状況に合った手続きを客観的に見立ててもらえる
- 免責不許可事由など、事前に確認すべきリスクを把握できる
- 手続きの費用・期間・生活への影響を具体的にシミュレーションできる
弁護士や司法書士の多くは、初回相談を無料で受け付けています。「まだ相談するほどでもない」と感じている段階でも、早めに動きましょう。

それぞれの手続きを利用できる条件
個人再生と自己破産は、誰でも自由に選べるわけではありません。それぞれに法律上の利用要件があり、自分の状況がその条件を満たしているかどうかの確認が、手続き選択の出発点になります。
- 個人再生は「安定した収入があること」が必須条件
- 自己破産は「免責不許可事由」に該当しないことが重要
- 借金の総額・収入・財産の状況によって、利用できる手続きが変わる
- どちらも要件を満たさない場合でも、別の選択肢が存在する
「自宅を手放したくない」という方にとって、手続き選択はとくに重要な意味を持ちます。個人再生には住宅ローン特則という仕組みがあり一定の条件下で自宅を維持できる一方、自己破産では自宅は原則として処分の対象になるためです。
個人再生の主な要件:安定した収入が必要
返済計画を立てて実行するという制度の性質上、「これからも一定の収入が入り続ける」状況でなければ、手続きの利用が認められません。
- 将来にわたって継続的に収入を得る見込みがあること
- 借金の総額が原則として5,000万円以下であること(住宅ローンを除く)
- 再生計画に従って返済を継続できる返済能力があること
収入の形態は給与に限らず、自営業者やフリーランスでも認められる場合があります。ただし収入が不安定すぎると裁判所に判断された場合は、要件を満たさないとされることも。
借金の総額については、住宅ローン以外の負債が5,000万円を超えると利用できなくなります。給与所得者等再生を選ぶ場合は、給与やそれに準じる定期的な収入を得ていることが別途条件として加わります。

自己破産の主な要件:免責不許可事由がないこと
ただし申立てができたとしても、借金の免除(免責)が認められるかどうかは別の話。免責を妨げる事由、いわゆる「免責不許可事由」に該当する行為があると、借金がゼロにならない可能性があります。
- ギャンブルや投機的な取引によって借金を増やした
- 特定の債権者だけに優先的に返済した(偏頗弁済)
- 財産を隠したり、虚偽の申告をした
- 過去7年以内に免責を受けたことがある
カードローンや消費者金融からの借り入れ、あるいは生活費のための借金は、それ自体では免責不許可事由に該当しません。「借金があること」や「返せなくなったこと」は不許可の理由にはならないため、一般的な借り過ぎによる債務であれば過度に心配する必要はありません。
これらに該当するからといって、必ずしも免責が認められないわけでもありません。裁判所は事情を総合的に判断し、該当行為があっても「裁量免責」として免責を認めるケースがあります。
自己破産では自宅を含む一定以上の財産は原則として処分の対象となり、自宅に住宅ローンが残っている場合は手続きの中で売却されるのが通常です。自宅の維持を優先したい場合は、個人再生の住宅ローン特則が選択肢になります。

どちらも利用できない場合の選択肢
まず挙げられるのが任意整理です。弁護士や司法書士が債権者と直接交渉し、将来の利息をカットしたうえで返済計画を組み直す方法で、裁判所を通じた手続きではないため収入要件や免責不許可事由といった条件がありません。
- 裁判所の調停委員を介して債権者と返済条件を交渉する手続き
- 費用が低く抑えられる点が特徴
- 任意整理と同様に元本の大幅な減額は難しいが、利息の減免や分割払いの条件改善を求められる
どの手続きが自分に合っているかは、借金の総額・収入・財産の状況・借金の経緯など、複数の要素を組み合わせて判断する必要があります。自己判断だけでは、免責不許可事由の該当可否や住宅ローン特則の利用可否など、見落としが生じやすいもの。
多くの事務所では初回無料相談を受け付けており、「自分はどの手続きを使えるのか」という疑問に対して具体的な見通しを聞くことができます。まずは一度、専門家に状況を伝えてみてください。

個人再生と自己破産に関するよくある質問
どちらの手続きを選ぶべきか、費用や条件、家族への影響など、債務整理を検討するうえで判断に迷う点は少なくありません。ここでは、個人再生と自己破産について多くの方が抱く疑問にまとめてお答えします。
それぞれの手続きの違いや注意点を正しく理解することが、自分に合った選択への第一歩です。
自己破産と個人再生の違いは何ですか?
個人再生は借金を減額して返済を続ける手続き、自己破産は返済義務そのものを原則免除する手続きです。個人再生では借金の総額を大幅に減額したうえで、残った金額を原則3年間で分割返済していく形。
財産への影響という点では、自己破産では一定額を超える財産が処分対象となる場合がありますが、個人再生ではマイホームを手放さずに済む可能性があります。また、自己破産には医師・弁護士・警備員など一部の資格・職業に就けなくなる期間が生じる一方、個人再生にそのような資格制限はありません。

個人再生と自己破産はどちらがいいですか?
どちらが適しているかは、資産・収入・職業など個人の状況によって異なります。自宅を手放したくない場合や安定した収入がある場合は、住宅ローン特則を利用できる個人再生が選択肢になりやすいでしょう。
一方、収入が少なく債務の返済自体が困難な状況では、原則として債務が免除される自己破産が現実的な解決策となる場合があります。医師・弁護士・警備員など一部の資格や職業に就いている方は、自己破産による資格制限が手続き期間中に生じる点も考慮してください。

個人再生の条件とは何ですか?
主に「継続的な収入の見込み」と「負債総額の上限」という2つの要件を満たす必要があります。前者は、減額された債務を3〜5年かけて返済していくための安定した収入基盤が必要であることを意味します。
給与所得者に限らず自営業者や年金受給者なども対象になり得ますが、定期的な収入が見込めることが前提。後者については、住宅ローンを除く負債総額が5,000万円以下であることが条件となり、この上限を超える場合は対象外です。

個人再生と自己破産の費用はどのくらい違いますか?
費用の目安は個人再生が50〜80万円程度、自己破産が30〜60万円程度です。個人再生は手続きの複雑さから弁護士費用が高くなりやすく、裁判所費用と合わせると50〜80万円程度が一般的な目安とされています。
自己破産は手続きが比較的シンプルなケースも多く、30〜60万円程度におさまることが多いもの。いずれも依頼する弁護士事務所や事案の複雑さによって金額は変わるため、複数の事務所に見積もりを確認することをおすすめします。

個人再生と自己破産のデメリットはそれぞれ何ですか?
個人再生のデメリットとしては、返済義務が残る点が挙げられます。債務を大幅に減額できるものの、原則3〜5年にわたって継続的に返済を続ける必要があり、手続きも複雑で期間が長くなる傾向があります。
自己破産のデメリットは、一定額以上の財産が処分される点や、手続き期間中に一部の職業・資格に制限がかかる点が代表的。手続き中は居住地の移動や郵便物の管理に制約が生じる場合もあります。

自己破産後に再びクレジットカードは作れますか?
信用情報の登録が解除される5〜10年程度が経過すれば、クレジットカードの申込自体は原則として可能になります。信用情報機関に登録された破産の情報は、一定期間が過ぎると削除される仕組み。
ただし登録が解除されたからといって必ず審査に通るとは限らず、各カード会社が独自の審査基準を設けているため、結果は申込先によって異なります。

自己破産すると家族の信用情報にも影響しますか?
自己破産の影響は原則として申請した本人の信用情報にのみ及び、家族の信用情報には影響しません。自己破産はあくまで本人のみの手続きであるため、配偶者や親・子どもの信用情報が登録されたり、家族がローンを組めなくなったりすることは原則としてありません。
ただし、家族がその債務の連帯保証人になっている場合は例外。債権者は連帯保証人である家族に対して返済を求めることができるため、家族の信用情報にも影響が及ぶ可能性があります。

個人再生と自己破産の違いまとめ
個人再生は借金を大幅に減額したうえで残額を返済し続ける手続き、自己破産は一定の財産を手放す代わりに返済義務そのものを免除する手続きです。最大の分岐点は「自宅を残せるかどうか」であり、住宅ローン特則を使える個人再生だけが自宅の維持を選択肢にできます。ただし個人再生には継続的な収入という条件があるため、返済の見通しが立たない場合は自己破産が現実的な解決策となるでしょう。
- 個人再生は返済が残るが自宅を維持できる可能性があり、資格制限もない
- 自己破産は借金が原則ゼロになるが、一定以上の財産は処分され、手続き中は一部の職業に就けない
- 信用情報への登録期間は概ね5〜10年で、両手続きに大きな差はない
- 費用の目安は個人再生が60万〜100万円前後、自己破産が30万〜60万円前後
どちらが適しているかは、収入・財産・職業・借金の原因を組み合わせて判断する必要があり、自己判断では本来使えた手続きを見落とすおそれがあります。選択肢が狭まる前に、弁護士や司法書士の無料相談で自分のケースを確認することをおすすめします。

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。
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