将来安定が魅力的な公務員は離職率が低いです。しかし、「違う仕事がしてみたいな…」「公務員の仕事は自分が想像していた仕事と違った…」と退職代行を利用して退職をする公務員が増えています。
サービス残業が多い教員や身体を駆使する自衛官・警察官・消防士など将来を見据えたときに「公務員を辞めたい…」と考える方も多いようです。また、働き方改革の影響を受けて、民間企業が副業の許可が下り始めている中で、副業に対する成約など公務員は縛りが多いのも事実です。
退職代行は公務員も利用できるのか
退職代行とは、労働者が「会社を退職したい」と考えた場合に、労働者の代理として退職手続きを行うサービスです。2018年頃から退職代行業者は増えました。この退職代行は、公務員でも利用できます。
公務員と民間企業の退職規定の違い
公務員と民間企業の退職規定は異なります。ここでは、どのような違いがあるのかを解説します。
退職辞令を受けなければいけない
公務員が退職をする場合は、毎年3月末に行われる退職辞令の式典に出席して、退職辞令を受けなければいけません。この退職辞令式は、退職者が集まり、任命権者(市長・教育委員会・消防局長・警察本部長・防衛大臣)から退職辞令を受ける式典です。
しかし、このような式典に参加したくないという方もいると思いますが、辞令交付式は欠席できます。欠席者には「退職辞令」を郵送で受けることになりますが、作成から発送まで時間がかかることを理解しておきましょう。
2週間後に退職可能は公務員には適応外
公務員の退職に関する規定は、各自治体の「辞令式規定」に定められていますが、内容はそれぞれ異なります。通常の民間企業の場合は、「2週間前に退職の意思を伝えること」と民法に退職規定が定められているため、2週間前に退職願を提出すれば退職できますが、公務員には民法は適用されません。
辞令式規定を確認することはできないため、退職前にどれだけの期間を必要とするのか把握できないことを理解しておきましょう。そのため、有給休暇を使用して会社側と顔を合わさずに退職するという公務員も多いです。
逆に退職を認めてもらえれば、早くに退職できます。
自衛隊法など、特殊な規定の職業もある
教員や国税専門官や裁判官、官僚、司書、役所職員など、ほとんどの公務員が国家公務員法や地方公務員法に基づいて退職することになります。
しかし、警察や自衛隊など特殊な規定が定められている職業があります。このような特殊な規定で定められている職業は、退職に関する規定が他の公務員と異なります。
例えば、自衛隊法では、人材不足により任務が遂行できないと判断されたときは、退職を承認しないことと規約が定められているのです。
公務員の責任者は分限免職処分ができる
公務員の責任者(任命権者)は職員に対して、分限免職処分を執行できます。「公務員としての適性が著しく乏しい」「精神的な状態が良くない」という意味での免職処分です。退職金は受け取ることができますが、免職処分が下ることで不利益を被るため、分限免職処分は避けたいものです。
現在、公務員が退職代行を利用したことを理由に分限免職処分を受けたことはないようですが、可能性としてはゼロではありません。
公務員はその日に退職できるのか
公務員は退職する際にも厳しい制約がありますが、退職できるのでしょうか?ここでは、そのような疑問に対して回答していきます。
公務員は無断欠勤をしてはいけない
「会社に行きたくない」という気持ちになっても、無断欠勤は避けましょう。公務員が無断欠勤してしまうと減給のペナルティーとなってしまうのです。無断欠勤が11日間以上続くと停職、21日間続くと免職(解雇)などの重たいペナルティーとなります。このようなトラブルを少しでもなくすために、無断欠勤は控えましょう。
有給申請でそのまま退職ができる
公務員でも有給休暇を使用すれば、そのまま退職できます。この方法は、退職辞令を受け取るまでの期間を有給休暇を使用して埋める方法です。有給休暇の申請は労働者に認められた権利のため、退職まで会社の人と顔を合わせたくない人は、有給休暇が使用できないかを確認しましょう。
もし、有給休暇を消化していない場合は、退職代行業者に有給休暇を使用して退職したい旨を伝えてください。
自衛隊は時期によって退職を断られる
基本的に労働者からの退職願を異なることはできませんが、自衛隊法では「任務に支障をきたす場合は、退職を承認しないことができる」と定められています。これは、自衛隊の仕事が国防や労災派遣と直結するためです。
災害派遣では、隊員一人一人の役割が大切になってくるため、この期間の退職は断られるかもしれません。
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公務員の退職代行の選び方
公務員が退職をする際は、さまざまな制約があることは理解いただけたと思います。そのため、退職代行業者は慎重に選びましょう。ここでは、公務員の退職代行の選び方をご紹介します。
退職代行業者は2種類ある
退職代行は大きく分けて「一般企業が行う退職代行」と「弁護士による退職代行」の2種類があります。違いをまとめると下記の通りです。
弁護士 | 退職代行業者 | |
---|---|---|
退職の意思を伝える | ○ | ○ |
会社と退職条件について交渉する | ○ | × |
退職に関する法律相談を受ける | ○ | × |
料金相場 | 高い | 安い |
一般的な退職代行業者は、退職の意思を伝えるだけのサービスとなります。そのため、退職時の会社のトラブルなどには応じてもらえません。
公務員の退職は厳しい規定が定められているため、退職条件の交渉や法律相談を受けられる弁護士のサービスを利用した方が安心できるはずです。
弁護士の代行業者を選ぶ
退職代行業者からの退職の申し出に対し、会社側が委任関係や代理関係を確認できないと退職拒否をする場合もゼロではありません。また、退職条件や退職時期について協議・交渉をされてしまい、代行業者では対応できないという事態もゼロではありません。
また、退職日までにパワハラ・セクハラなどの嫌がらせに遭ってしまうことも。そのため、退職日までの有給消化を利用して、会社に出勤せずに退職できないか考えてみましょう。退職代行を利用する際は、なるべく会社と接点を持たないように退職できないか検討しましょう。
弁護士の代行業者であれば、退職することができないかを会社側と交渉してもらえたり、退職に関しての助言が得られます。会社側と円満な形で退職を希望する方は、サービスが手厚い弁護士の代行業者を利用してみてください。
労働問題に注力している弁護士を選ぶ
弁護士に相談をすれば安心という訳ではありません。弁護士は特に力を入れている分野を持っています。そのため、労働問題に力を入れている弁護士に相談しましょう。
日頃から、あまり労働問題を取り扱っていない弁護士に依頼しても頼りになりません。そのため、労働問題に注力している弁護士を選びましょう。弁護士のホームページを見ると、労働トラブル解決に関する実績や経験年数などが掲載されていることが多いです。労働トラブルを解決した件数が多ければ、労働問題への対応に慣れていて、適切に対応してもらえるでしょう。
また、弁護士には実際に会ってみて、信頼できるかどうか判断しましょう。労働問題は非常にデリケートなため、信頼して相談できると思った弁護士を選ぶようにしましょう。
まとめ
公務員でも退職代行は利用できます。しかし、民間企業と比較すると公務員は厳しい規定が定められていたり、自衛隊や教員など職種によって規定内容が変わるため、公務員の退職手続きに関する知識を持った退職代行業者を選ばなければ、トラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。そのため、業者選びは慎重に行いましょう。労働問題を得意とする弁護士に相談しておけば、トラブルに巻き込まれてしまっても安心です。
あまた法律事務所では、労働問題に関するサポートを行っています。「退職代行業者を使用したら、会社側とトラブルが起きてしまった…」「公務員を辞めたいけれど、退職代行で手続きをしていいか不安…」「トラブルが発生して勤務先の人達と顔を合わせづらくなってしまった」などの悩みを抱えている方を法律の知識を活かしてサポート致します。