債務整理をしてブラックリストに載ると、どのようなデメリットがあるのでしょうか。ブラックリストに載っている期間についても気になるところです。
1 債務整理をするとブラックリストに載る?
債務整理をすると、そのことが「事故情報(金融事故)」として信用情報機関に登録されることになります。これがいわゆる「ブラックリストに載る」ということです。
ここでいう「信用情報機関」には、以下の3つの機関があり、加盟会員や情報の保有期間などにおいて違いがあります。
(1)JICC(株式会社日本信用情報機構)
JICCには、主に消費者金融やクレジット会社などが加盟しており、改正貸金業法で「指定信用情報信用機関」として定められている機関です。
債務整理をした場合、そのことが事故情報(金融事故)として登録されます。任意整理・個人再生をした場合は完済した日からおよそ5年間、自己破産をした場合は免責が確定した日からおよそ5年間はその記録が残ります。
(2)CIC(株式会社シー・アイ・シー)
CICには、主にクレジットカード会社や信販会社などが加盟しており、国内で加盟会員の多い機関です。
債務整理をした場合、JICCと同様に、そのことが事故情報(金融事故)として登録されます。
ブラックの期間についても、基本的にはJICCと同じで、任意整理・個人再生をした場合は完済した日からおよそ5年間、自己破産をした場合は免責が確定した日からおよそ5年間とされています。
自己破産をした場合・・・免責が確定した日からおよそ5年間
(3)KSC(全国銀行個人信用情報センター)
KSCには、主に銀行や銀行系列のクレジットカード会社、銀行と同視できる信用金庫等が加盟しています。
債務整理をした場合、KSCにもそのことが事故情報(金融事故)として登録されることになりますが、ブラックの期間については、JICCやCICと若干の違いがあります。
KSCに債務整理をした旨の情報が登録された場合、任意整理・個人再生をした場合は完済した日からおよそ5年間、自己破産をした場合は免責が確定した日からおよそ10年間は記録が残ります。
このように、債務整理をするとそのことがブラックリストに載ることになっています。ブラックの期間は、CICやJICCが完済後およそ5年間であるのに対し、KSCでは、自己破産をした場合に限り、およそ10年間とされています。5年間で登録は消えますが、自己破産して官報にのったという情報自体は10年間保管されています。
もちろん、この期間は一般的に言われていることで、これ以上の期間に影響が出てくる可能性もありますし、逆の場合もあります。後述するブラックリストに掲載されるデメリットについて、ブラックリストが原因かどうかは各社に信用情報の開示をしてもらうことで分かります。
2 債務整理をすると信用情報はどうなる?
借り入れやローン等を申し込んだ際に信用情報機関に登録される一定の情報を「信用情報」といいます。
各種ローンの利用状況や返済実績などを「信用情報」として登録することにより、利用者と金融機関の信用取引が安全に行われるように図られているのです。
(1)信用情報機関に登録される「信用情報」とは?
「信用情報」は、信用情報機関にあるデータベースに登録されており、主に、信用情報機関の加盟会員から登録される情報と、信用情報機関が独自に集めた情報の2つの種類があります。
具体的には、返済の延滞情報や残債額・請求額などといった支払状況、クレジットカードやローンの契約内容・返済状況などが「信用情報」にあたります。
金融機関は、利用者から融資やローンなどの申し込みがあると、まずは、利用者にかかる信用情報を確認し、利用者が経済的に問題がないかなどを調査し、融資などの是非を判断します。
仮に、このような仕組みがとられていないと、返済能力に問題のある利用者に新たに融資を実行してしまう可能性があります。そうすると、不良債権を抱える要因になってしまうなど、健全な取引を阻害する可能性もあります。
(2)債務整理をした場合の信用情報は?
それでは、債務整理をすると信用情報はどうなるのでしょうか。
①事故情報として登録される(ブラックリストに載る)
先に見たように、債務整理をすると、そのことが「事故情報(金融事故)」として信用情報機関に登録されることになります。この状態が、いわゆるブラックリストに載っている状態です。
実際にそのようなリストが存在すると勘違いしている方もいますが、ブラックリストという名前のリストが実際に存在するわけではありません。
「事故情報(金融事故)」として信用情報機関に登録されるのは、債務整理のほかにも、返済が一定期間延滞している場合や保証会社が債務者に代わって代位弁済をした場合など、いくつかのケースがあります。
②社内ブラックとして残り続ける可能性
事故情報(金融事故)としてブラックリストに載ると、一定期間は記録が残るものの、その期間が経過すれば、基本的に記録は抹消されます。
もっとも、債権者は社内でその情報を保有し続けることが一般的です(いわゆる「社内ブラック」)。
そのため、債務整理の対象となっている債権者との関係では、債務整理をしたという事実が記録として残り続けるということになります。
ブラックリストから記録が消えたとしても、社内ブラックとなっている債権者との関係では、新たに借り入れを申し込んでも、審査に通らない可能性があります。
③過払金があるケース
過払金がある場合、それが、過払分を減額した後に借金が残る場合と、借金は完済されており、さらに過払金が発生している場合とでは、信用情報の扱いが異なります。
前者にあたる場合、減額後の借金について債務整理をし、分割による方法で返済をすることで和解が成立すると、信用情報機関には「契約見直し」として登録されることになります。
ここでいう「契約見直し」とは、信用情報機関の加盟会員が過払金の返還請求に応じたことを表す情報として登録されることを意味します。
一方、後者にあたる場合は、「契約見直し」とはならず、特に、信用情報機関に情報が登録されることはありません。
このように、債務整理をすると、過払金があるケースを除いて、そのことが事故情報(金融事故)として登録され、一定期間ブラックリストに載った状態が続くことになります。
3 事故情報としてブラックリストに載った場合どうなる?
事故情報(金融事故)として、ブラックリストに載ってしまうと、主に、以下のようなデメリットが生じます。
(1)ローンやカードの審査が通りにくくなる
ブラックリストに載っている間は、新たにローンやクレジットカードの発行を申し込んでも、その審査に通りにくくなります。
ローン会社やクレジットカード会社は、ローンやカードの新規発行の申し込みを受けると、申込者の返済能力などを調査するために、信用情報機関に申込者の情報を照会します。
そのため、信用情報機関に申込者の事故情報が登録されていることがわかると、返済能力に問題があると判断され、審査に通らない可能性が高いでしょう。
新たにローンを組んだり、クレジットカードの発行を受けたい場合には、ブラックリストから事故情報が抹消されるのを待つほかありません。
これ以外でも、分割払いは信用のもとで成り立っているため、携帯電話の本体代の分割払いなどが出来なくなってしまう点には注意したいです。
(2)保証人になれない
ブラックリストに載っている間は、保証人なることが難しくなります。
たとえば、住宅ローンを組むような場合には、多くの場合で保証人を立てることを求められます。
このような場合にも、ローン会社は保証人になろうとする人の情報を信用情報機関に照会します。その結果、信用情報機関に保証人の事故情報が登録されていると、返済能力に問題があると判断され、保証人になることは難しくなるといっていいでしょう。
(3)借り入れが困難になる
ブラックリストに載っている間は、新たに借り入れをすることが難しくなります。
ローンやクレジットカードの場合と同様、借り入れの申し込みを受けた金融機関等は、申込者の返済能力などを調査するために、信用情報機関に申込者の情報を照会します。
そのため、信用情報機関に申込者の事故情報が登録されていることがわかると、返済能力に問題があると判断され、審査に通らない可能性が高いでしょう。
4 まとめ
債務整理をすると、そのことが事故情報(金融事故)として、信用情報機関に登録される(ブラックリストに載った状態)ことになります。
ブラックリストに載ると、経済的な信用を失い、新たに借り入れをすることが難しくなります。経済的な信用を回復するためには、できるだけ早いうちに、債務整理をするなどして、借金問題を解決しましょう。
一度登録されてしまうと、借金問題を解決してから一定期間を待つ以外に、信用情報機関への事故情報の掲載を削除する方法はありません。
なるべく早くに完済し、期間を短くすることが大切です。