自己破産すると預貯金などの財産はどうなる?

個人再生

借金が原因で自己破産をすると、持ち家や車といった財産は原則として処分されることになりますが、申立時に一定の預貯金がある場合、その預貯金はどのように扱われるのでしょうか?

そこで今回は、自己破産と預貯金の関係について解説します。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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1 自己破産をする場合において預貯金はどうなる?

自己破産をすると、住宅や車などのように、それなりの価値がある財産は処分されることになりますが、この点は比較的広く知られていることだと思います。
それでは、預貯金についてはどのように扱われるのでしょうか?預貯金についても処分されることになるのでしょうか?

この点は、自己破産の手続きが、同時廃止事件と(少額)管財事件の2つの種類に分かれているため、手続き別に見ていきたいと思います。

(1)同時廃止の場合

「同時廃止」とは、申立時において、「破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに不足すると認めるとき」免責不許可事由の調査が必要ない場合に採られる手続きです。

東京地方裁判所では、申立て時点において、以下の場合には(少額)管財事件として扱われることになります。
・33万円以上の現金がある場合
・20万円を超える預貯金がある場合
・20万円を超える生命保険の解約返戻金がある場合
・20万円を超える自動車がある場合
・退職金の支給見込み額の8分の1が20万円を超える場合

(2)(少額)管財事件の場合

「(少額)管財事件」とは、申立時において、破産財団をもって破産手続の費用を支弁できるとき、または、免責不許可事由の調査が必要な場合に採られる手続きです。

(少額)管財事件において、99万円以下の現金が自由財産として扱われます。

ですが、現金が99万円を超えている場合は、その超過分は債権者への配当に充てられるため、破産財団に組み込まれることになり、債務者は超過分に相当する金額を手放さなければなりません。

たとえば、申立時において、債務者が150万円の現金を持っている場合は、(少額)管財事件として手続きが進められることになります。
この場合、99万円の現金は自由財産として扱われるため、債務者が自由に使うことができますが、残りの51万円は破産財団に組み込まれ、債権者への配当に充てられることになります。

また、(少額)管財事件では、引継予納金として破産管財人に20万円を支払わなければならないため、実際に、債務者が自由に使うことのできる現金は、79万円ということになります。

(3)タンス預金の扱い

タンス預金であっても、債務者が現に保有する現金であるという点では現金と何ら変わりはありません。現金は、預貯金のようにその金額を証するものがないため、自己申告によることとされていますが、虚偽の申告をしたり、あえて申告しないようなことをすると、財産隠しとみなされる可能性があります。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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2 自己破産をする場合に処分される財産

自己破産において、処分される財産はどのような財産なのでしょうか?以下では、具体的にどのような財産が処分の対象となるかを見ていきたいと思います。

(1)同時廃止の場合は財産を残すことができる

裁判所は、債務者の財産や負債の状況などから「同時廃止」あるいは「(少額)管財」のいずれかの手続きを選択・決定します。

同時廃止として扱われた場合、財産が処分されることはありません。これは、先に見たように、処分・換価して債権者に配当できるだけの財産がないと裁判所が判断したためです。

同時廃止の手続きは、破産手続開始の決定と同時に破産が廃止される手続きです。そのため、同時廃止では、そもそも債権者への配当は予定されておらず、債務者が幾ばくかの財産を所有しているとしても、その財産を処分することまでは求められないのです。

(2)(少額)管財の場合における財産の処分

破産法上、処分の対象となる財産は、「破産者が破産手続開始の時において有する一切の財産」とされています。この文言からすれば、破産者が申立て時点で所有するすべての財産が処分の対象となるようにも思えますが、そうではありません。

もしも、すべての財産が処分の対象になってしまうと、債務者は、その後の生活が立ち行かなくなり、自己破産をする意味がなくなります。

自己破産は、債務者の経済的更生を目的とする手続きでもあるため、経済的に更生できるだけの財産を債務者の手元に残してあげることが必要になります。

そのため、先に見た「自由財産」を処分の対象から外し、自由に使うことのできる財産を債務者に残すことにより、経済的に更生するための道を確保しているのです。

この「自由財産」は、99万円以下の現金に限られていません。その他に、「新得財産」「差押禁止財産」も自由財産です。

「新得財産」とは、破産手続が開始された後に債務者が取得した財産のことを指します。たとえば、破産手続開始後に債務者が労働の対価として得た給料が「新得財産」にあたります。

また、「差押え禁止財産」とは、差押え(強制執行)をすることができない財産のことをいいます。たとえば、生活必需品は原則として差押え禁止財産にあたるため、自己破産をしても処分されることはありません。

さらに、(少額)管財において、「裁判所によって自由財産の拡張が認められた財産」「破産管財人によって破産財団から放棄された財産」も自由財産となります。

「自由財産の拡張」とは、債務者が保有する本来的な意味での自由財産だけでは、生活を再建することができないような場合に、自由財産の範囲を拡張するためのものです。裁判所に自由財産の拡張を申し立て、認められれば、自由財産の拡張が認められた財産は、処分の対象になりません。

東京地裁における自由財産拡張基準では、例えば20万円以下の預貯金、処分見込額が20万円以下の自動車などは換価処分が不要とされています。

たとえば、債務者が車を所有する場合であっても、その査定額が20万円を超えない場合には、自由財産の拡張によって自由財産として手元に残すことができます(東京地裁・自由財産拡張基準)。

また、査定額が20万円を超える場合であっても、車が生活上欠かせないなどの事情がある場合には、自由財産の拡張を申立て、裁判所によって認められれば、手元に残せる可能性があります。

なお、現金99万円との均衡から、原則として、現金や拡張された財産の総額が99万円以下の範囲内で、自由財産の拡張が認められると考えられています。

さらに、破産財団に組み入れられた財産であっても、処分・換価することが難しい財産もあります。

このような場合、破産管財人は、破産財団からその財産を放棄することができ、破産財団から放棄された財産は、自由財産として扱われることになります。
そのため、破産財団から放棄された財産についても、処分の対象から外れるということになります。

このように、(少額)管財においては、自由財産(拡張した自由財産を含む。)にあたらない財産が、処分の対象となる財産ということになります。

なお、持ち家に関しては、まず換価処分されてしまうので、同じ家に住み続けるには、親族等に買い取ってもらうなどしないと、住み続けることはできません。

3 財産隠しをした場合のペナルティー

財産を手放したくないという強い思いから、「申告しなければバレないだろう」などと考えて、財産を隠そうとする方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、財産を隠すようなことをすると、免責不許可事由にあたることはもちろんのこと、場合によっては、詐欺破産罪に問われる可能性があります。

ここでいう「詐欺破産罪」とは、債権者を害する目的で、財産を隠匿・損壊するような犯罪行為をいいます。たとえば、(少額)管財事件を避けることを目的として、財産を隠匿・損壊する行為は、詐欺破産罪にあたる可能性が高いといえます。

詐欺破産罪が成立すると、1ヶ月以上10年以下の懲役、1,000万円以下の罰金のいずれか、または両方を科される可能性があり、刑罰も非常に重くなっています。

このように、自己破産との関係で「財産隠し」をしてしまうと、取り返しのつかない事態になる可能性が高いため、正確に財産を申告したうえで、手続きを進

めることが大切です。

4 自己破産を検討しているならまず弁護士に相談しよう

自己破産をすると、すべての財産が処分されてしまうというイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

ですが、自己破産をする目的の一つは、経済的に更生して生活を立て直すことにあります。そのためには、一定の財産を債務者の手元に残してあげることが必要であり、破産法は、その目的を実現するために、債務者に対し、一定の財産を「自由財産」として手元に残すことを認めているのです。また、生活上・仕事上の理由から、本来の自由財産だけでは経済的に更生することが困難な場合には、自由財産を拡張することも可能です。

とはいえ、自由財産制度そのものや、自由財産になるものとそうでないものの区別などがわからないという方もいらっしゃると思います。また、自由財産の拡張制度をご存知の方は少ないでしょう。

この点、弁護士などの専門家に相談・依頼すると、できるだけ多くの財産が債務者の方に残るよう尽力してくれます。特に、財産をお持ちの方が自己破産を検討する場合には、本当に自己破産をすべきか、自己破産が最適な解決方法か、といった観点からも検討する必要があります。

弁護士法人あまた法律事務所は、自己破産を含む債務整理全般に実績のある法律事務所です。債務整理には、自己破産のほかにも、任意整理や個人再生といった手続きがあります。債務者の状況などから最も適した解決方法に導いてくれます。

不明点や不安を解消するためにも、一度無料相談にお越しいただくことをお勧めします。

5 自己破産まとめ

財産をお持ちの方が自己破産をする場合、どの財産が処分されて、どの財産を手元に残せるのかという点は、一番気になるところだと思います。
この点を不明確にしたまま、自己破産を申立ててしまうと、不満が残る結果に終わる可能性があります。

あたま法律事務所では、無料相談を日々実施していますので、一度ご相談いただくことをお勧めします。

執筆・監修者、豊川祐行弁護士

2010年、早稲田大学卒業後、同大学大学院法務研究科を修了し、2016年東京弁護士会にて弁護士登録。都内法律事務所での勤務を経て独立し、数多くの人を助けたいという想いから「弁護士法人あまた法律事務所」を設立。

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