全治2週間の傷害を受けて、「慰謝料はいくらもらえるのか」「適正な金額なのかわからない」「どうやって請求すればよいのか」と悩んでいませんか?
医師から診断書をもらったものの、法的な知識がなく、これからの手続きに不安を感じる方は少なくありません。
特に全治2週間程度の軽傷では「大した金額ではない」と軽く考えがちですが、適切な知識と交渉で数倍の差が生まれることも珍しくありません。
この記事では、全治2週間の傷害における慰謝料の相場から、自動車損害賠償保障法に基づく自賠責・任意保険・弁護士基準による具体的な計算方法、示談交渉で増額を狙うポイント、弁護士への相談タイミングまで、実務経験に基づいた具体的なノウハウを解説します。
さらに、よくある質問への回答や注意すべき落とし穴も詳しくご紹介。
この記事を読めば、あなたの状況に応じた適正な慰謝料額を把握し、効果的な交渉戦略を立てて、納得のいく解決を実現できるようになります。
この記事の目次
全治2週間の傷害で慰謝料はいくらもらえるのか
全治2週間の傷害を負った場合、慰謝料は請求可能であり、金額の目安は約10万円程度となります。
ただし、事故の種類や適用される基準によって大きく異なるため、具体的な計算方法と基準を理解することが重要です。

全治2週間という診断は、医師が初回診察時に推定した治癒期間を指します。
実際の治療期間は診断より長くなることも多く、その場合は慰謝料額も相応に増額される可能性があります。
傷害の原因が交通事故、暴行事件、労災事故など様々なケースがありますが、いずれの場合でも適切な慰謝料を請求する権利があります。
📝 慰謝料の3つの計算基準
慰謝料の計算には主に3つの基準が存在します。
まず自賠責基準では、入通院慰謝料は1日あたり4,300円として計算されます。
全治2週間で14日間の通院を想定した場合、4,300円×14日=約6万円が基本的な慰謝料額となります。
ただし、実際の通院日数が対象期間の2倍を超える場合は、実通院日数×2で計算される場合もあります。
国土交通省の自賠責保険制度 に基づく基準となります。| 基準の種類 | 計算方法 | 全治2週間の目安 |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 4,300円×日数 | 約6万円 |
| 任意保険基準 | 非公開 | 非公開 |
| 弁護士基準 | 月額19万円程度 | 約9万円 |
弁護士基準(裁判基準)では、月額19万円を基準として計算し、14日間で約9万円程度が目安となります。
交通事故以外の傷害事件(暴行など)でも、民事裁判で認められる慰謝料は同様に10万円前後が相場とされています。
医師の診断書と治療費の領収書など必要書類を準備します。
交通事故の場合は相手方の保険会社との示談交渉、暴行事件等では加害者との直接交渉または民事調停・訴訟という流れになります。
治療費、休業損害、交通費なども併せて請求することで、総額では20万円~50万円程度の賠償を受けられる場合もあります。

全治2週間という軽傷でも適切な治療を受け、医師の指示に従って通院することが重要です。
通院実績が乏しい場合、慰謝料額が減額される可能性があります。
また、事故発生から時間が経過すると因果関係の立証が困難になるため、速やかな対応が求められます。
弁護士への相談により、より適正な慰謝料を獲得できる可能性が高まるため、重要な選択肢として検討することをお勧めします。
- 診断書と治療費領収書の保管
- 継続的な通院による治療実績の確保
- 事故発生後の速やかな対応
- 弁護士基準での請求検討
全治2週間の慰謝料相場と計算の仕方
全治2週間の傷害を負った場合、被害者が加害者に対して請求できる慰謝料の金額は、適用される基準によって大きく異なります。
慰謝料の算定には主に自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づく自賠責保険基準と弁護士基準(裁判基準)があり、それぞれ計算方法と金額が異なるため、適切な基準を理解して現実的な請求額を把握することが重要です。

全治2週間のケースでは、一般的に通院期間も2週間程度となることが多く、この期間を基準として慰謝料が算定されます。
ただし、実際の通院日数や治療の必要性によって最終的な金額は変動するため、具体的な状況に応じた計算が必要となります。
・通院期間は全治期間と一致することが多い
・実際の通院日数により最終金額が決定される
民事の慰謝料基準と金額
民事上の慰謝料は、被害者が受けた精神的・肉体的苦痛に対する金銭的補償として、加害者が被害者に支払う損害賠償の一種です。
刑事事件における罰金や科料とは性質が全く異なり、被害者の損害回復を目的としています。
これは民法(e-Gov法令検索)第709条の不法行為による損害賠償請求権に基づくものです。
- 被害者の主観的な苦痛を金銭で評価する性質
- 治療費や休業損害とは別に請求できる独立した損害項目
- 加害者の故意・過失の程度は金額に影響するが、刑事処分とは独立して決定

ただし、傷害の部位や治療の困難さ、後遺症の有無などによって金額は変動します。
📝 慰謝料算定の考慮要素
民事慰謝料の算定では、傷害の程度、治療期間、被害者の年齢・職業、加害者の故意・過失の程度、示談交渉の経緯なども総合的に判断されます。
自賠責保険基準での計算方法
自賠責保険基準は、交通事故被害者に対する最低限の補償を確保するために設定された基準で、全ての自動車に加入が義務付けられている自賠責保険で適用されます。
この基準は自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づいて国土交通省が定めており、この基準による慰謝料は比較的低額に設定されていますが、確実に受け取ることができる金額として重要な意味を持ちます。

自賠責保険基準での慰謝料計算は、日額4,300円を基準として行われます。
具体的な計算方法は以下の2つの金額を比較し、少ない方を採用します:
| 計算式 | 計算方法 |
|---|---|
| 計算式A | 4,300円×実通院日数×2 |
| 計算式B | 4,300円×通院期間(日数) |
• 計算式B:4,300円×14日=60,200円
• この場合、少ない方の60,200円が慰謝料額となります
実際の通院回数が少ない場合でも、治療期間に基づいて一定額が保障される仕組みとなっています。

弁護士基準での慰謝料額
弁護士基準(裁判基準)は、実際の裁判で認められる慰謝料額を基準とした算定方法で、日弁連交通事故相談センターが発行する「損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)に記載されている算定表が広く使用されています。
この基準は自賠責保険基準よりも高額な慰謝料が認められる傾向にあります。
弁護士基準での全治2週間(通院2週間)の慰謝料額は、一般的に以下の範囲となります:
- 軽傷の場合:約10万円
- 重症の場合:約30万円
この金額は、傷害の程度や治療の内容によって調整されます。
例えば、骨折を伴う場合や、特別な治療が必要な場合には上位の金額が適用される可能性があります。

弁護士に依頼した場合の増額効果は顕著で、自賠責基準の約6万円と比較すると、2倍から3倍程度の慰謝料を獲得できる可能性があります。
弁護士基準が適用されるのは、主に以下のケースです:
- 弁護士が代理人として示談交渉を行う場合
- 民事調停や民事裁判を行う場合
- 弁護士費用特約付きの保険を利用する場合
全治2週間でも慰謝料が高くなるケース
全治2週間という診断書を受け取ったとしても、慰謝料額は一律に決まるものではありません。
実際には、被害者の状況や治療経過によって慰謝料が大幅に増額される可能性があります。
一般的に、全治2週間程度の軽傷であれば慰謝料は比較的低額になりがちですが、以下のような条件に該当する場合は、慰謝料の増額が期待できます。
これらの要因を正しく理解し、適切に主張することで、被害に見合った適正な慰謝料を獲得することができるのです。

実際の治療期間が長引いた場合
診断書に記載された全治期間と実際の治療期間が異なるケースは非常に多く発生しています。
医師が作成する診断書の全治期間は、あくまで初診時の見込みであり、実際の治療経過とは必ずしも一致しません。

診断書の期間はあくまで「予想」なんですね。
例えば、当初全治2週間と診断されたが、実際には痛みが続いて1ヶ月間通院が必要になった場合、慰謝料は1ヶ月分の治療期間に基づいて算定されることになります。
📝 治療期間延長時の対応
治療期間の長期化を慰謝料に反映させるためには、医師の指示に従って継続的に通院し、治療の必要性を医学的に証明することが重要です。
また、治療費の領収書や通院記録を丁寧に保管し、実際の治療期間を客観的に立証できるよう準備しておく必要があります。
- 治療費の領収書
- 通院記録
- 医師による継続治療の指示
精神的苦痛が大きい場合
身体的な傷害だけでなく、事件によって受けた精神的な苦痛も慰謝料の算定要素となります。
特に、暴行の状況が悪質であったり、被害者に大きな恐怖心を与えるようなものであった場合、精神的苦痛を理由とした慰謝料の増額が認められる可能性があります。
精神的苦痛による慰謝料増額が認められやすい状況として、以下のようなケースがあげられます:
- 人前で暴行を受けて屈辱感を味わった場合
- 継続的な嫌がらせや脅迫を伴う事件の場合
- 被害者が高齢者や子供など、特に配慮が必要な立場にある場合
- 職場や学校などの日常生活の場で発生し、その後の生活に支障をきたした場合

- 事件の経緯や被害状況を詳細に記録
- 必要に応じて精神科や心療内科での診断書を取得
- 事件後の生活への具体的な影響を整理して主張
精神的苦痛を慰謝料に反映させるためには、事件の経緯や被害状況を詳細に記録し、必要に応じて精神科や心療内科での診断書を取得することが効果的です。
また、事件後の生活への具体的な影響を整理して主張することも重要になります。
後遺症が残った場合
全治2週間という軽傷であっても、神経損傷や関節の可動域制限など、長期間にわたる後遺症が残る可能性があります。
このような後遺症が認められる場合、通常の治療費や慰謝料に加えて、後遺障害に対する損害賠償を別途請求することができます。

軽い怪我だからと安心せず、後遺症の可能性も考慮することが大切ですね。
後遺症による慰謝料の算定では、後遺障害の等級認定が重要な要素となります。
医師による詳細な診断と、後遺障害の程度を客観的に示す検査結果が必要です。
軽微な外傷であっても、神経症状や機能障害が残存する場合は、専門医による精密検査を受けることを検討すべきでしょう。
後遺症に関する損害賠償請求では、将来にわたる治療費、労働能力の低下による逸失利益、後遺障害慰謝料などが算定の対象となります。
ただし、示談成立後に新たな後遺症が判明した場合の追加請求は非常に困難であるため、治療が十分に終了し、症状が固定してから示談に応じることが重要です。
📝 損害賠償の対象項目
- 将来にわたる治療費
- 労働能力の低下による逸失利益
- 後遺障害慰謝料
後遺症が疑われる場合は、安易に早期の示談に応じず、医師と十分に相談して治療の継続や経過観察の必要性を判断することが、適正な損害賠償を受けるための重要なポイントとなります。

示談交渉で慰謝料を増額するやり方
全治2週間の傷害事件において、適正な慰謝料を獲得するためには、戦略的な示談交渉が不可欠です。
一般的に全治2週間程度の傷害では慰謝料相場は10万円程度とされていますが、適切な交渉により増額が期待できます。

保険会社や加害者側は初回提示額を低く設定することが多く、被害者が法的知識を持たないことを前提とした金額を提示してきます。
しかし、治療実態を正確に証明し、精神的苦痛の具体的な影響を主張することで、相場を上回る慰謝料獲得が可能になります。
示談交渉では感情的になることなく、客観的な証拠に基づいた論理的な主張を展開することが重要です。
医療記録、通院証明、日常生活への影響を示す具体的な証拠を整理し、相手方に納得させる材料を準備しましょう。
• 精神的苦痛の具体的な主張
• 客観的証拠に基づく論理的交渉
• 医療記録や通院証明の整理
医師の診断書で治療期間を証明する
診断書は慰謝料算定の基礎となる最も重要な証拠書類です。
全治2週間という診断であっても、実際の治療期間や症状の経過を詳細に記録してもらうことで、慰謝料増額の根拠となります。

初診時の診断書では、受傷機転、症状の詳細、治療方針を明確に記載してもらいましょう。
単に「全治2週間」だけでなく、具体的な症状(痛みの程度、可動域制限、日常生活への支障等)を記載してもらうことが重要です。
また、治療期間中に症状が長引いた場合は、追加の診断書を取得し、治療実態を正確に証明します。
- 受傷機転の詳細
- 具体的な症状(痛みの程度、可動域制限等)
- 日常生活への支障の程度
- 治療方針と見込み期間
医師との連携では、症状の変化や治療効果について率直に相談し、客観的な所見を診断書に反映してもらいます。
レントゲンやMRIなどの画像所見がある場合は、それらの結果も診断書に明記してもらい、傷害の客観性を高めることが効果的です。
📝 診断書取得のポイント
症状の詳細を正確に医師に伝え、客観的な所見とともに診断書に記載してもらうことで、適正な慰謝料算定の基礎資料となります。
通院日数を正確に記録する
通院日数と通院期間は慰謝料計算に直接影響するため、正確な記録が必要不可欠です。
治療開始から終了まで、すべての通院日を漏れなく記録し、領収書や診療明細書を保管しておきます。
📝 通院記録の詳細項目
通院記録では、以下の項目を詳細に記録することが重要です。
- 通院日時
- 担当医師名
- 実施された治療内容
- 処方された薬剤等

また、通院のために仕事を休んだ場合は休暇取得証明書、交通費については領収書やICカード利用履歴を保管し、付帯的な損害も証明できるようにします。
・交通費領収書
・ICカード利用履歴
・駐車場代領収書など
示談交渉時には、通院証明書や診療報酬明細書を相手方に提示し、治療実態を客観的に証明します。
厚生労働省の規定により、診療報酬明細書は医療機関から交付されるため、必ず保管しておくことが重要です。
通院が困難だった日があれば、その理由(症状悪化、仕事上の都合等)も記録し、治療に支障が生じた事実を主張材料として活用します。
精神的な被害を具体的に伝える
身体的な傷害だけでなく、精神的苦痛を具体的に主張することで慰謝料の増額が期待できます。
全治2週間の傷害であっても、日常生活や仕事に与えた影響を詳細に説明し、精神的負担の大きさを相手方に理解させることが重要です。
精神的苦痛の主張では、睡眠障害、食欲不振、集中力低下、不安感などの具体的症状を時系列で整理します。
また、仕事の効率低下、家事への支障、趣味活動の制限など、生活の質的な変化を具体例とともに説明し、傷害が及ぼした総合的な影響を明確にします。
- 睡眠障害、食欲不振、集中力低下、不安感などの具体的症状
- 仕事の効率低下や職場での評価への影響
- 家事への支障や日常生活の制限
- 趣味活動の制限や生活の質的変化

示談交渉では感情論ではなく、客観的事実に基づいた主張を展開します。
精神的苦痛により医療機関を受診した場合は診断書を取得し、職場での評価に影響が出た場合は上司からの証明書を用意するなど、精神的被害を裏付ける証拠を収集することで説得力のある交渉が可能になります。
全治2週間の傷害で慰謝料請求する時の注意点
全治2週間の傷害を受けた場合、適切な慰謝料を受け取るためには事前の準備と正しい手続きが重要です。
軽傷だからといって慰謝料が少額になるわけではなく、入通院慰謝料や精神的苦痛に対する賠償を適正に請求することができます。

傷害による慰謝料には、治療費、入通院慰謝料、休業損害、精神的苦痛への賠償などが含まれます。
全治2週間の場合でも、通院期間や治療内容によって慰謝料額は変動するため、自動車損害賠償保障法(e-Gov法令検索)に基づく自賠責基準ではなく弁護士基準での算定を目指すことが重要です。
慰謝料請求を成功させるためには、医師の診断書、治療記録、領収書などの証拠保全を確実に行い、加害者との交渉において適正な金額での合意を目指す必要があります。
感情的にならず、法的根拠に基づいた冷静な対応が求められます。
- 全治2週間の傷害でも適正な慰謝料請求が可能
- 弁護士基準での算定を目指す重要性
- 証拠保全と冷静な対応の必要性
示談する前にチェックすべきこと
示談書にサインする前には、慰謝料額の妥当性を十分に検証する必要があります。
加害者側から提示された金額が自賠責保険(国土交通省)基準に基づく最低限の額である可能性が高く、弁護士基準と比較して大幅に低額な場合があります。

示談書の内容についても慎重な確認が必要です。
「今後一切の請求をしない」といった包括的免責条項が含まれている場合、後から発見された後遺症や追加的な損害について請求できなくなる可能性があります。
治療の完了も示談前に確認すべき重要な要素です。
症状が完全に回復していない状態で示談を成立させると、後から発生する治療費や後遺症による損害を請求できなくなります。
医師から症状固定の診断を受けてから示談交渉に入ることが原則です。
- 慰謝料額が適正基準に基づいているか
- 示談書に包括的免責条項が含まれていないか
- 治療が完了し症状固定の診断を受けているか
弁護士に相談した方がいいケース
全治2週間の軽傷であっても、以下の状況では弁護士への相談が有効です。
加害者が任意保険に加入しておらず直接交渉が必要な場合、相手方が慰謝料の支払いを拒否している場合、提示された慰謝料額が明らかに不当に低い場合などが該当します。

複数の被害者がいる事案や、事故の過失割合に争いがある場合も弁護士依頼を検討すべきです。
法的な争点が複雑になると、一般の方では適切な主張や立証が困難になり、結果的に受け取る慰謝料額が大幅に減額される可能性があります。
以下の状況では専門家への相談を検討しましょう
- 加害者が任意保険未加入で直接交渉が必要
- 相手方が慰謝料の支払いを拒否
- 提示額が明らかに不当に低い
- 複数の被害者がいる複雑な事案
- 過失割合に争いがある場合
費用対効果の観点では、弁護士費用特約がある場合は積極的に利用を検討すべきです。
特約がない場合でも、弁護士基準での慰謝料増額分が弁護士費用を上回る可能性が高いケースでは依頼のメリットがあります。
全治2週間程度でも、通院期間や治療内容によっては10万円以上の増額が期待できる場合があります。
時効になる前に請求する
傷害事件による民事賠償請求の時効期間は、2020年4月の民法(e-Gov法令検索)改正により5年に延長されました。
被害者が損害及び加害者を知った時から5年、または不法行為の時から20年で消滅時効が完成します。
この期間を過ぎると、原則として慰謝料請求権が消滅してしまいます。
加害者が不明だった場合や、後から傷害の事実が判明した場合は、それらが明らかになった時点から5年間が時効期間となります。
• 内容証明郵便による催告
• 調停の申立て
• 訴訟の提起
催告の場合は6ヶ月以内に訴訟等の手続きを開始する必要があります。
確実な時効中断のためには、早期に適切な法的手続きを開始することが重要です。

刑事事件として立件されている場合でも、民事上の慰謝料請求は別途行う必要があります。
刑事手続きの進行により民事の時効が停止されることはないため、時効期間内に確実に請求手続きを完了させる必要があります。
刑事事件の進行に関係なく、民事の時効は独立して進行します全治2週間の慰謝料でよくある質問
全治2週間程度の傷害を負った際、被害者が抱く疑問は多岐にわたります。
慰謝料の相場は、入通院慰謝料として10万円程度から20万円程度が一般的ですが、実際の通院期間や治療内容により変動します。
傷害事件では、加害者に対して精神的苦痛に対する慰謝料だけでなく、経済的損失に対する賠償も請求できるため、総合的な損害を把握することが重要です。

示談交渉では、加害者側の対応や支払い能力によって進行状況が大きく左右されます。
特に個人間の傷害事件では、保険会社が介入しないケースも多く、被害者自身が適切な知識を持って交渉に臨む必要があります。
このような状況を踏まえ、全治2週間の傷害に関してよく寄せられる質問について、具体的に解説していきます。
慰謝料以外にもらえるお金はあるのか
全治2週間の傷害を負った場合、慰謝料以外にも複数の損害項目について賠償を請求することができます。
主要な項目として、治療費・通院費・休業損害・将来的な治療費などがあり、これらを合計した総損害額が示談金となります。

治療費については、診療費・薬代・検査費用などの実費が全額請求可能です。
通院のための交通費も、公共交通機関の実費または自家用車使用時のガソリン代相当額を請求できます。
休業損害は、治療のために仕事を休んだ日数分の収入減少について、給与所得者の場合は直近3か月の平均日額をもとに算定されます。
• 自営業者:確定申告書ベースの所得から日額算出
• 主婦:賃金センサス基準額による算定
自営業者の場合は、確定申告書をもとにした所得額から日額を算出し、休業日数を乗じて算定します。
主婦の場合も、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(賃金センサス)に基づく基準額により休業損害が認められます。
また、治療により後遺症が残る可能性がある場合は、将来の治療費や後遺障害逸失利益も損害項目に含まれます。
加害者が示談に応じない場合の対処法
加害者が示談交渉を拒否したり、連絡を無視する場合には、段階的な法的手続きを検討する必要があります。
まず、内容証明郵便による損害賠償請求書の送付から始めることが効果的です。
これにより、法的手続きへの移行を検討していることを加害者に示し、真剣な対応を促すことができます。

調停では、裁判官や調停委員が中立的な立場から話し合いをサポートし、双方が納得できる解決案を模索します。
- 調停費用は数千円程度と比較的安価
- 弁護士を依頼しなくても手続き可能
- 中立的な第三者による解決サポート
調停が不成立となった場合は、民事訴訟を提起することになります。
訴訟では、証拠に基づいて裁判所が判決を下すため、診断書・治療費領収書・休業証明書などの証拠保全が重要となります。
法テラスの利用により、経済的負担を軽減しながら弁護士に依頼することも可能です。
📝 証拠保全で重要な書類
- 診断書(医師による詳細な診断内容)
- 治療費領収書(全ての医療費の記録)
- 休業証明書(勤務先発行の収入減少証明)
- 事故現場の写真・状況記録

慰謝料の支払いはいつもらえるのか
示談が成立してから実際に慰謝料を受け取るまでの期間は、通常1週間から2週間程度が一般的です。
示談書に署名・捺印した後、加害者側が金融機関での送金手続きを行い、被害者の指定口座に振り込まれる流れとなります。
ただし、加害者の支払い能力や意思により、この期間は大きく変動する可能性があります。

支払いを確実に受けるためには、示談書に具体的な支払い期日と支払い方法を明記することが重要です。
分割払いの場合は、各回の支払い額と期日、遅延時の対処方法についても詳細に定めておく必要があります。
また、支払いが滞った場合の遅延損害金についても、年3%から6%程度の利率で設定することが一般的です。
支払いが約束通り行われない場合は、まず催促の連絡を行い、それでも支払われない場合は強制執行手続きを検討します。
ただし、強制執行には債務名義が必要となるため、公正証書での示談書作成や、調停・訴訟による解決を選択することも重要な判断となります。
加害者の財産状況についても事前に把握しておくことで、実効性のある回収手段を選択できます。
- 示談書に具体的な支払い期日と方法を明記
- 分割払いの場合は各回の詳細を記載
- 遅延損害金の利率設定(年3%~6%)
- 加害者の財産状況の事前把握



