
いったいどのくらいの確率で交通事故を起こしてしまうのでしょうか?
交通事故の加害者となってしまった時、また巻き込まれたときには、どのような対策が必要なのか?実際に、事故を起こした時の行動はどうしたらいいのでしょう?今回の記事ではこの辺りを解説していきます。
交通事故の確率はどのくらい?
日本において一年間で交通事故を起こしてしまう確率はどのくらいあるのでしょうか?
また、交通事故に遭ってしまう確率はどのくらいなのでしょう?
交通事故を起こす確率
公益社団法人交通事故総合分析センターの統計によると、2019年全国で発生した交通事故の発生件数は38万1,237件です。
警察庁が発表している2019年の運転免許の保有者数が8,215万8428人なので、交通事故の発生件数を免許保有者数で割って計算してみると、免許保有者が交通事故を起こす確率は0.46%。
つまり約0.5%の確率で交通事故を起こしてしまうという計算になりますが、免許保有者の中にはペーパードライバーの方もかなりの数存在するため、実際に運転をしているドライバーに限ると、交通事故を起こす確率はもっとあがるでしょう。
また、交通事故の発生件数は人身事故の発生のみカウントされており、物損事故については統計の数字に入っていません。自損事故や負傷者のいない交通事故などを含めると、ドライバーが事故を起こす確率はさらに高くなります。
交通事故に遭遇してしまう確率
それでは交通事故に遭遇してしまう確率はどのくらいあるのでしょう?2019年の日本の人口は約1億2,000万人なので、年間の交通事故発生数で割ってみると、確率は約0.32%です。
自分が交通事故の被害者になるか加害者になるかはわかりませんが、かなりの高い数字で交通事故に遭遇する可能性があるということになります。
死亡事故の確率
それでは、交通事故の中で死亡事故に限定すると、どのくらいの確率になるのでしょうか?
2019年度の死亡事故発生件数は3,133件です。全ての交通事故の中で死亡事故の占める割合は約0.84ですから、人口で計算すると、約0.002%になります。
自動車を運転する時の事前準備
前述した通り、自動車を運転するということは交通事故を起こしてしまう可能性があります。自分が交通事故の加害者になってしまうだけではなく、被害者になる可能性もあるため、どんな人でも常に交通事故に遭うリスクはあります。交通事故に遭ってしまった時のために十分な備えが必要になります。
任意保険加入
車を運転する際には、保険に加入しなければならない義務があります。その保険というのが自賠責保険です。自賠責保険に加入していれば、交通事故により怪我をさせた相手に対しての治療費や、後遺障害に対しての慰謝料、死亡させてしまったときの慰謝料や葬儀費用などを保険から支払うことができますが、自賠責保険に加入しただけでは、十分な備えができているとは言えません。
何故なら、自賠責保険には、相手に対しての治療費や、死亡慰謝料に上限が設定されているため、その金額を上回る治療費、慰謝料の支払が必要になった時には、超えた部分については自己負担となってしまうからです。

任意保険に加入するメリット
・自賠責保険よりも補償金額の設定を大きくできる。
交通死亡事故を起こした場合、被害者の年齢や、職業などにより算出される慰謝料には違いがあり、自賠責保険の上限金額3,000万円では、不足してしまうケースも少なくありません。相手によっては億を超える慰謝料となる場合もあります。
任意保険では、対人賠償が無制限となっているプランがありますので、相手に対して負わせた怪我の治療が長引いたり、後遺症が残ってしまった場合や、死亡慰謝料が自賠責保険の上限を大きく超えた場合でも対応することが可能です。
・自分や同乗者の怪我についても補償がある
自賠責保険で補償されるのは、事故の相手のみとなり、自分が怪我をした場合や、同乗者の怪我に対しては補償されませんが、任意保険では、自分の怪我や同乗者の怪我の治療費なども補償されます。
・ロードサービス
任意保険に加入すると、ロードサービスが受けれるというところが多いです。
最近では、ほとんどの任意保険会社ではロードサービスが組み込まれており、サービス内容によって保険を決める判断材料にもなっています。
ロードサービスというのは、車の中にキーをしたままロックしてしまったり、道中でガス欠を起こして車が止まった場合や、バッテリーがあがってしまい車が動かなくなった時に、無料で処理してくれるサービスになります。
・弁護士特約
交通事故では、通常、相手の保険会社との話合いにより、賠償額が決定し、支払われます。
保険会社は、仮に裁判になった場合に、判決で支払を命じられる金額(適正な金額)よりもかなり低い金額を提示してくることが多いです。また、過失割合について争いがあった場合、相手方に都合のいい事実を主張してきます。
その場合、ご自身で交渉することが困難な場合、弁護士に相談や依頼をすることになりますが、その費用を補償してくれるのが弁護士費用特約です。
また、自分が被害者になってしまい、加害者側が保険に加入しておらず、相手に支払いをする意思がなければ、治療費や慰謝料を請求するには、弁護士に依頼したり、訴訟を起こしたりしなければなりません。その時に必要となる弁護士費用についても補償してもらえます。
ドライブレコーダー装着
自動車同士の交通事故で、相手も任意保険に加入している場合は、双方の保険会社の担当が話し合いを行い、事故の状況や双方の言い分、目撃者の証言などを判断材料として、過失の割合を決定します。
双方の過失の割合によって、保険から支払われる金額が決定するので、保険会社の担当にはなるべく多くの情報を渡さなければいけません。深夜や早朝などの事故で目撃者がいない場合で、双方の言い分が食い違っているときなどは、自分に過失が少ない場合でも、その証拠がない場合は、実際の過失よりも割合が大きくなってしまう恐れがあります。
車にドライブレコーダーを搭載して、事故の状況を録画し、正確な事故状況を保険会社の担当に伝えることができ、目撃者がいないために不利な状況になるのを防ぐことができます。
交通事故を起こしてしまったら
もし交通事故を起こしてしまったら、真っ先に行わなければならないのは、怪我をした人の対応です。相手が歩行者であっても、運転者であっても、事故によって怪我をしているのであれば、最優先で救急車を呼んで治療をしてください。
その次に行うのは、警察への連絡です。気を付けなければならないのは、高速道路などでの事故の際に、車から出て電話をすることです。高速道路で車から出て移動するのは非常に危険ですので、警察が到着するまでは車外には出ない方がいいでしょう。
道路を塞いでいる場合は、後続車に対して事故が起きて停車していることを知らせることも必要になります。
その後、保険会社へ連絡をします。保険会社には事故の状況と、車の破損状態などを伝え、自力で車を動かすことができない場合は、ロードサービスを依頼することになります。
自分が被害者の場合でも、加害者の場合であっても、相手と直接話をすることはなるべく避けて、保険会社の担当から電話口で話しをしてもらう方がトラブルになりにくいです。
交通事故を起こした後、双方にそれほどの被害がでていない時に、両者間で話し合って
連絡先を交換して、その場を離れるケースもあるようですが、交通事故を起こした場合は、警察に報告する義務が生じます。
事故の発生を警察に報告しないと、報告義務違反に問われ「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」の刑罰が科せられる可能性があります。
また、怪我人が出たのに、適切な処置を行わずにその場を離れた場合も、救護義務違反に問われ「5年以下の懲役または50万円以下の罰金」に処されます。自分が加害者であるにも関わらず、処置を怠ったのであれば、さらに重い「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処される可能性があります。
交通事故の警察への届け出は、物損事故、人身事故の届出があります。大きな違いは、人身事故で届出をすると、警察は実況見分を行って、実況見分調書が作成されます。過失割合に争いがあり、ドライブレコーダや目撃者もいない場合には、実況見分調書が役に立つ場合があります。また、人身事故の届出をすると、加害者は、刑事罰、行政処分を受ける可能性が出てきます。
まとめ
体調の悪い時には運転を控える、「かもしれない運転」を心掛けるなど、交通事故を起こさないように努力するのが一番ですが、どんなに注意をしていても、事故を起こしてしまうこと、また、自分には全く非がなくても事故に巻き込まれてしまうリスクは誰にでもあります。
安全運転を心掛けて事故を起こさないことだけではなく、事故を起こしてしまった場合や、交通事故に巻き込まれてしまった場合のことも考えて準備をすることが必要です。